第117話 アルメスの夜


 リディアの紹介の宿は高級そうな感じで、三人でキョロキョロしてしまった。


「こんな高そうな宿は初めてだぜ。」


 アイシャもメイちゃんも驚いている。


 ちなみに部屋は二部屋。

 現在の宿の宿泊状況の関係で、二人部屋を二部屋とった。


 最初アイシャは一部屋で良いって言ってたけど、僕の拒否と、頑なに一部屋を認めないリディアにより、二部屋となった。


 残念とか思ってないよ。

 本当だよ。


 食事は部屋でも食べられたけど、折角だから宿の食堂でアイシャとメイちゃんと一緒に食べた。


 そして事件はその後起きた。


 アイシャとメイちゃんが僕の部屋で寝るって言い張っている!!


「つがい同士で部屋を共にするのは当然だ!いいじゃねぇか!!なんにもしねぇって!・・・ボソッ(寝る時はいつも服着ねえけどな。)」

「そうだよお兄さん!メイ達を信じて!!仲間だったらいつも一緒に居なきゃ駄目なんだよ!お母さんがそう言ってた!!・・・ボソッ(好きな人が出来たら絶対離れず隙を見て既成事実を作れって)」


 駄目だってば!

 僕は強引にアイシャ達を二人の部屋に押し込み自分の部屋に入る。


 そして外から結界を張った。


 これで、朝まで外には出られないだろう。

 トイレは部屋にあるし大丈夫だろう・・・多分。


 なんかアイシャとメイちゃんが最後ぼそぼそ言ってたけどなんだろう?


 そして翌朝、いつもどおり日の出前に起きて、部屋の中で、八極拳の套路をなぞる。

 套路というのは空手なんかで言う型だね。

 

 震脚をするので、部屋に結界を張り、床が抜けたり音が漏れないようにする。

 一汗かいた後に結界を解き、濡れた布で身体を拭いていると、ドアがノックされる。


 Tシャツを来てドアを開けるとそこにはアイシャとメイちゃんが居た。

 ムスッとしていたので、


「おはよう。どうしたの?」

「どうしたもこうしたもねぇ。部屋から出れねえようにしたのリョウマだろ?折角のチャンスが台無しだぜ。」

「お兄さん酷い。」


 メイちゃんほっぺがぱんぱんである。

 つついていいかな?


 それよりご飯にいこう、と誘ってみると、二人はお腹が空いていたようで、おとなしく付いてきた。


 食堂でご飯を食べると、その頃には二人の機嫌は完全に治っていた。


「おはようございます。」

「おはよう。」


 そこに、リディアとグレイスがやってきた。

 挨拶を返す僕たち。


「色々聞きたいこともありますが、とりあえず準備ができ次第我が家へむかいましょう。お父様にお待ちいただいています。」


 そして各自準備を整えて、リディアの家に出発したのだった。

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