第111話 朝が来て(2)


 アイシャとメイちゃんの覚悟は見せて貰った。

 なら僕は全てを明かそう。


「長い話になるけど聞いててね。」


 僕は、自分の置かれている状況について話した。

 バルムスでの事も併せて。


 アイシャもメイちゃんも目を丸くしてる。


「ここまではいいかな?」


 僕がそう聞くと、二人はこくりと頷いた。

 すると、アイシャが、


「リョウマは伝え聞く勇者って奴なのか?」

「違う違う僕はただの迷子だよ。」


 僕がそう言うと、リディアとグレイスは苦笑いをしていた。

 アイシャもメイちゃんも首を傾げている。


「異世界から来た奴を勇者ってんじゃないのかよ?」


 アイシャがそう言った。


「勇者は、勇者召喚によって喚ばれた存在でしょ。僕は次元穴に吸い込まれて、帰り道がわからなくなってるんだから迷子だよ。」


 というかね、勇者なんかやりたくないんですよ。

 ジードを封印した人みたいにヴァリスの操り人形なんかごめんです。


 アイシャ達は、納得しかねるみたいな顔してる。

 まあそれはいいとして、


「続けるよ。先に一つ聞くけど、メイちゃんは帝国で、教会から何か特殊な飲み物貰わなかった?」


 僕がそう聞くと、メイちゃんは考え込んでたけど、思い出したように顔をあげて、


「・・・そういえば、教会の奉仕をした時に、聖水が出てきた時があったかも。いつもはただの水なんだけど・・たしか、教皇様から信者へのお礼だって事で・・」


 あ〜それだな、多分。

 あれ?


「アイシャは飲まなかったの?」


 そう言うと、アイシャはバツが悪い顔をして、


「・・・正直あたしは、メイほど信心深くないんだ。だから、月に一度の教会奉仕の時には、依頼を受けて参加しないことの方が多かった。」


 なるほどね。


「結論からいうけど、今回のメイちゃんのは病気じゃないよ。」

「「「「えっ!?」」」」

 

 みんな驚いてる。

 そりゃそうなるよね。


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