第86話 冒険者ギルド(3)
四人で後をついていくと、応接室に通された。
そこには既に、40代後半と思われる男が待っていた。
「シエイラ様、ご無沙汰しております。それで、こちらが紹介状にあった者なのでしょうか。」
こちらを見ている。
その目は何かを探っているように見えた。
「お久しぶりですね。その通りです。彼の名前はリョウマと言います。そして、こちらにおられるのは、メイビス家のご令嬢のリディア様と、五剣姫の一人であるグレイス様です。」
そう言って僕らを紹介するシエイラ。
ギルドマスターは目を見開いてからすぐに頭を下げ、
「お初にお目にかかります。私は、このギルド支部のギルドマスターをしておりますケイルと申します。公爵家の方まで来られるとなると、何か色々ご事情があるとお察しします。まずはお掛け下さい。」
僕たちはその言葉に従い着席した。
「それで、彼を冒険者に推挙したのはわかりましたが、我々としてもおいそれとランクを上げる訳にはいけません。規定では定められていますが、念の為確認させて頂きたい。事情を伺っても?」
そりゃそうだろうね。
「詳細を申し上げることは事情によってできません。しかし、簡単に説明しますと、彼は近日中にご帰宅されるリディア様の護衛として、指名依頼が出されることになっています。その為には、Dランク以上である必要があるのです。」
「彼の強さは私と、グレイスが保証します。」
そこで、リディアとグレイスが会話に入ってきた。
と、言っても、グレイスは頷いただけだったけど。
「・・・なるほど。それはよくわかりました。であればやぶさかではありません。しかし、一点、彼の強さを測りたいのですが・・・確証もなしにいきなりDランクにはちょっと・・・ねぇ?」
そうギルドマスター・・・略してギルマスが言う。
しかし、それを聞いたリディアは眉をピクリとさせ、
「・・・メイビスの者と、テロア家の者、五剣姫の紹介があっても、できない言われるのですね?私達の見る目がないと?紹介者された者の、力量を見なければならないという規定は無かったように記憶していますが。」
すると、ギルマスは慌てたように、
「い、いえそうではありません!しかし、それでは、他の冒険者への示しと言う か・・・不満というか・・・そういったものもありましてですね・・・」
と言ったが、それはさらにリディアを不機嫌にさせたようで、
「・・・私達の保証よりも、他の冒険者のご機嫌取りを優先すると?不満を解消するのもギルドマスターの仕事の内では?」
「そ・それはそうなのですが・・・王都の本部への説明もあるので・・・手続きも大変で・・・色々言われるのですよ。突発の昇格は。」
うーん・・・これは、このギルマスそれが面倒くさいだけでは・・・
僕がそう言うと、リディアはパンッと手を叩いて、笑顔で、
「わかりました。」
と言った。
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