第85話 冒険者ギルド(2)

「おい」


 僕がウキウキで振り向くと、そこには男が一人立っていた。

 その男は筋骨粒々で、いかにも冒険者って感じの人だった。


 テンプレ来たか!?


 僕が黙っていると、その男は、


「お前見ない顔だな。浮ついた感じがするし新人だろ?なら登録はそっちのカウンターじゃねぇ。向こうだ。」


 そう言って男はL字になっているカウンターの端を指差した。


 良い人だったーーー。


 僕はお礼を言ってそちらに向かう。


 カウンターに着くと、受付のおねいさんが、


「冒険者ギルド、バルムス支部にようこそ!新規登録でよろしかったでしょうか?」


と言ってきた。


 ほう・・・流石プロだ。

 僕が、登録に来たのを見破っているなんて・・・


 表情に出ていたのでしょう。


 おねいさんは、クスクス笑いながら、


「さっきのやり取りを見ていたのよ。それにこのカウンターに用事があるのは新規登録の人だけだから。」


と言った。


 そういえばそうか!恥ずかしい!

 どんだけ浮足立っているんだ僕!


 後ろで、リディア達がクスクス笑っている。


 くぅ〜!!恥ずかしい!!


「冒険者ギルドについて御説明しましょうか?」


 おねいさんが笑顔のままそう言うので、僕は気を取り直して、


「ランクなんかはすでに聞いていますので、依頼の受注と達成の報告、後、昇格 の方法なんかを教えて下さい。」


と、言うと教えてくれた。


 簡単に説明すると、


・ クエストは掲示板か、カウンターで紹介される。

・ 受注できるのは、基本的にはひとつ上のランクの依頼まで。

・ ギルドの作りは、基本他の所でも大差がなく、長いカウンターの所に、掲示し     

てある依頼書を持っていくか、直接行って受付嬢に聞く。

・ クエストは3つまで同時に受注可能だが、未達成の場合は罰則あり。

・ 3回連続での未達成はギルドからランクが降格される。

・ 問題を起こした場合や素行などで再三の警告、指導を受けても治らなければ除名処分される。

・ クエストの達成状況によってランクの昇格が可能。

・ Bランク以上の昇格は試験あり。

・ 達成報告は受注したカウンターまで。


との事だった。


「それと、基本的には、冒険者同士の争いにギルドは不介入だけど、クエストの妨害や、抜剣したり魔法を使用しての揉め事には罰則があるから注意してね。」」

 ふ〜ん・・・やっぱり揉め事自体はあるのでね。


「それで、登録されますか?」

「お待ち下さい。彼には紹介状があります。」


 シエイラが割り込んでそう言った。


 おねいさんは、シエイラから受け取った封筒を、しげしげと見ていたけど、裏の封蝋の印を見た瞬間目を見開いた。


「お気づきになられたようですね。私はシエイラ・テロアです。ギルドマスターへその紹介状を渡していただけますか?」


「お・お待ち下さい!」


 おねいさんはすぐに奥に引っ込んでいった。

 少し待っていると、おねいさんが戻ってきて、


「ギルドマスターがお待ちです。こちらへどうぞ。」


 と奥に案内された。

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