第81話 打ち上げの後 sideシエイラ(1)


 私は、リョウマさんとの会話を終えた後、バルコニーから戻りました。


 リディア様とグレイス様が目線で訴えてきたので、私は頷き返します。


 リディア様はとても聡明なお方、今のでわかって頂けたと思います。


 その後は、皆さんで談笑して、お父様の酔いが回った頃にお開きとなりました。


 私達はリョウマさんと別れ、自室に戻る前に、リディア様のお部屋を伺いました。


 リディア様とグレイス様は、私をテーブルに誘いました。


 着席すると、リディア様が話を切り出しました。


「さて、シエイラさん。お話があるのですね。お聞きします。」


 流石はリディア様です。

 私の意図を汲み取ってくれています。


「バルコニーでの事をお話したいと思っています。ですが、一応先に確認させて下さい。リディア様、グレイス様、お二方はリョウマさんをお慕いしている・・・という事でよろしかったでしょうか?」


 私がそう尋ねると、


「はい。私はリョウマさんの事が好きです。」

「私もです。」


 二人はそうお答えになりました。


「わかりました。それではお話します。私はリョウマさんに私の気持ち・・・共に未来を歩みたい・・・そうお話しました。」


 私がそう言うと、お二方は少し驚いて、


「・・・まさか、そこまで言われると思っていませんでした。やんわり好意を伝えられる位だと・・・」


「それで、リョウマの返事はどうだったのでしょう?」


 そう言われました。


 少し、緊張しているように見えます。


 私は笑顔を作り、


「お断りされました。相手がいるからと。オウカさんと仰られるのですよね。あやうく涙が出そうになり、耐えるのが大変でした。」


 そう話しますと、リディア様が、


「シエイラさんは凄いですね・・・私は、そこまではとても言えませんでした。リョウマさんの気持ちが、オウカさんに向いているのが、痛いほど分かってしまったので・・」


と俯き、自嘲気味に仰られました。


 グレイス様も、


「私もだ。断られるの前提でというのは・・・経験も無いので勇気がなく・・・」


と悔しそうに仰られた。


 ですので、私も本音でお話しようと思います。


「お二方ともお顔をお上げ下さい。それに・・・お二方とも、全てが終わった後、オウカさんの許可を得て、婚姻関係を得ようとされているのでは?勿論私もですが。」


と問いますと、リディア様は顔をお上げになって、


「流石シエイラさんですね。そこまで考えていたとは。そのとおりです。私もグレイスもそのつもりでいます。しかし、この計略は、リョウマさんの気持ちがこちらにも向いているのが前提のもの。今はとても成功させるビジョンが見えない・・・いえ、ごまかすのはやめましょう。怖くて言うことができないでいるのです。」


と仰られた。


 いつも、自信に満ち溢れておられた、リディア様とは、かけ離れて見えます。

 それくらいに、落ち込んでおられます。


 そんなリディア様に私はこう告げました。

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