第80話 夜風に吹かれて(2)
僕に宣言するシエイラさんに、思わず見惚れてしまった。
そんな僕を見て、シエイラさんは悪戯な笑顔を浮かべ、
「もっとも、それは私だけでなく、リディア様やグレイス様も同じかもしれませんけどね。二人の気持ちに気づいているのでしょう?」
と言った。
・・・そうだね。
気づいちゃったよ。
うすうすは気づいていて、気づかないフリをしていたんだよね。
直接は言われていないことを良いことに。
僕が無言でバツが悪そうに頭を描いていると、
「もし、お二人が気持ちを伝えたら、真摯に向き合ってあげて下さい。受け入れる受け入れないどちらにしても。」
「・・・わかった。その時は逃げないよ。」
そう言うとシエイラさんは、頷いた後、ふうっと一息ついて、
「私から一つお願いがあります。まずは私を呼び捨てにしてくれませんか。友人として。」
そう言った。
はあ・・・これは手強いな。
僕は苦笑して、
「友人として・・・ね。まずは友人としてって事だよね。まあこの際リディア達も呼び捨てだし、それはわかった。シエイラ、これからよろしく・・・友人として、ね。でも僕も全て受け入れたわけじゃないよ。それはリディアもグレイスも同じ。君たちの事は好きだけど、あくまでも友人として、だよ。」
「はい、今はそれで結構です。後は、こちらの仕事です。ふふふ・・・とても楽しみです。さあ!戻りましょう。多分リディア様達やお父様はヤキモキしていますよ!二人のお隣に並んだことをお伝えしなければいけません。」
シエイラはそう言ってとても良い笑顔で笑った。
告白したんだから、並んだわけじゃなくて一歩先に出たのかもね。
は〜・・・このまま行くと、桜花に顔合わせるのが怖くなりそうだなぁ・・・
僕はそう思って苦笑しながら、シエイラと一緒に室内に戻るのだった。
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