第71話 決着


 僕は、連環腿という蹴り二連撃をフェイルに食らわせた。


 フェイルは、20メートル位打ち上がり、天井にぶち当たると、そのまま落ちてきた。


 僕は、落ちてきて地面に激突したフェイルに、そのまま震脚で止めをさそうとして・・・やめた。


 フェイルの体には、そこら中にヒビが入っている。


 ヒビからは黒いモヤが抜け出し、祭壇に置かれている黒い水晶体・・・黒水晶に吸い込まれていった。


 ジードの力のかけらを取り込んだ反動だろう。


 フェイルはすでに虫の息だった。


 僕は、フェイルに近づき、見下ろしながら、


「お前はもう終わりだ。最後に聞く。お前たちの目的はなんだ?」


と聞いた。


 正直、答えは期待してない。


 しかし、フェイルは、目でこちらを見て口を開いたんだ。


「・・・我々の目的は、神ヴァリスを讃え、裏から世界を支配すること。そのために、まず王国を支配しようとした・・・」


「驚いたな・・・答えると思わなかったよ。」


「・・・我もまた、ジラート卿と同じだったという事だ。しかし、決定的に違うのは、我は自らその力を得るために、真神を崇めようとしただけだ。しかし・・・欲望を増幅され精神誘導されていたとはな。貴様の放った蹴りで正気に戻れた。これで人として死ねる。礼を言う。」


「・・・そっか。」


「我の命を奪った事は、気に病む必要は無い。我はあまりにも多くの命を奪いすぎた。あのままであれば、更に多くの命が失われていただろうよ。」


 そう答えたフェイルは、誠実そうな目をしていた。


 これほどの武の技量を持っていただんだ。


 元は、素晴らしいモンクだったのかもしれない。


「なんでそんなに力を求めたの?あなたは十分強かったはずだ。それだけの技量を持っていたよ。」


「・・・今となってはな。我の事は良い。愚かだっただけだ・・・ぐふっ・・・それよりも時間が無い。忠告をしておく・・・これで・・・終わりではない。真の神を崇め・・・る者達は、他にも計画を・・・進めている。用心せ・・・よ。あと・・・ここには・・・我ら・・・以外に・・・真の神を知る・・・者は・・・いない・・・地・・・下の・・・部屋も・・・他の者・・・は・・・知らない。」


「!!」


 息を飲む僕に、フェイルはさらに、


「・・・魔神の・・・封印の・・・数は・・・あと5つ・・・六芒星・・・に・・・なって・・・いて・・・こ・・・こは・・・南東に・・・位置・・・す・・・る・・・中・・・心に・・・は・・・・・・・・」


「おい!フェイル!中心には何がある!?おい!!」


「・・・・・・・・・・」


 フェイルの声は既に聞き取れないくらいになっていた。


 体が足元から塵となって消えていっている。


 僕は最後の質問をした。


「お前たちの頭は誰だ!」


 僕はフェイルの口元に耳を近づける。


「・・・・教・・・・皇・・・・さ・・・・ま・・・だ・・・・・・」


 そして、フェイルは完全に塵となって消えた。

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