第58話 ゾルディア商会での攻防〜決着(2) sideグレイス


 ゾルドの掛け声で、敵が押し寄せてきた。


「はあああっ!」


 私は、リョウマに教わった魔法のイメージで、身体強化魔法を使用する。


 今の私はの身体強化は、以前の概ね2倍くらいだ。


 私が身体強化を全開にしている中、リディアちゃんの詠唱が聞こえてきた。


 だが、その最中、三人ほどが、リディアちゃんに接近した。


 まずい!


 私は、リディアちゃんの方に、行く敵を切ろうと顔をむけると、リディアちゃんの口元は少し上がっていました。


 これは・・・大丈夫そうですね。


『カイーナ』


 そうリディアちゃんが魔法を使用した瞬間、リディアちゃんの周囲に吹雪の竜巻が現れ、そのまま飛びかかった敵3人を粉々にしていく。


 凄い・・・そう思って見ていたが、そのままで終わらず、竜巻は前方に弾け、さらに4人ほど粉々にしていった。


 おおお・・・これがリディアちゃんの新しい境地か・・・


 負けられない!


 私の身体強化も完了した。


 一気に、10人位固まっているところに飛び込んだ。


 敵は私の動きが、よく見えていなかったようだ。


 そのまま剣を横薙ぎする!

 

 すると3人まとめて胴体から真っ二つになった。


 よし!効果が出ている!


 これは、リョウマに教わった技。


 私は生来から魔力を放つことが苦手だった。


 だから、それでも戦えるよう身体強化魔法を練習し、剣技を磨いてきた。


 リョウマにそれを伝えた時、リョウマが教えてくれたのは、


「なるほどね・・・それならグレイスは魔力を[留める]事が得意なのかもね。ならこういうのはどう?」


 それは、武器の延長上に魔力を伸ばした状態で留め、攻撃範囲を広めるというものだった。


 私は、リョウマにコツを聞き、練習してみると、すぐに剣に魔力を乗せることができるようになった。


「これの利点はね、攻撃範囲の拡大だけじゃなくて、魔力を乗せることによって威力も増大することなんだ。それに魔力には重さがないからね。剣を振る速さは変わらない。といっても、応用次第なんだけどね。」


 そう言って肩をすくめるリョウマ。そして、


「それでも、ただこれだけでも、剣の間合いを増やせるし、うまく活用すれば、ギリギリで見切れていた剣をかわそうとしたところ、範囲を伸ばして切ることができる。グレイスの剣技があれば強力な武器になるよ。上手くなれば伸ばした魔力の切れ味も上げられるし。」


と、笑顔で言った。


 正直これは凄い技だ。


 身体強化魔法の向上、この攻撃範囲を伸ばす技。


 私はまだまだ強くなれる!


 そう思って、それから、暇な時間や寝る前など、この2つの鍛錬をしていた。

 

 どちらも、練習に場所を選ばないのが素晴らしい。


 そしてその鍛錬の結果が、


「せええええぇえい」


 縦に振り下ろした剣が、さらに2人を頭から縦割りにする。

 

 そのまま、振り向きざまに突きを繰り出すと、まとめて3人を串刺しにした。


 これで8人!


 身体強化を全開にしているので、魔力は湯水のように減っている。


 でも、このまま最後まで行ってやる!


 次はリョウマと肩を並べて戦うんだ!

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