閑話「出会い 後 2(リディア視点)」

 彼に依頼を受けていただけることになりました。

 おそらく、彼も私たちを信用してくれていると思います。

 

 そして、こちらから更に今後の動きを提案してみました。


 彼の強さも、目的達成のため重要だと思えたし、感情的にもこのまま離れるにはあまりにも惜しい。

 

 ここは攻めの一手ですね。

  

 身体を捧げる的な事を言ってみると、明らかに照れて狼狽していました。

 

 あんなに強いのに・・・からかうと、とても可愛い。

  

 別に本当にしてもいいのですよ?

  

 そしてグレイス・・・本音が漏れてますよ・・・


 なんとか彼に、名前を呼び捨てにさせることに成功しました。

 

 恥ずかしいのか、照れながら名前を呼ぶ彼の顔を見ると・・・たまりません。

  

 便乗してグレイスも呼び捨てにさせていました。

  

 やはり侮れません。

  

 本気ですねグレイス・・・

 

 ひとしきりからかったあと、就寝のために私とグレイスは、馬車で休むことにしました。


「姫様はリョウマを完全に信じるのですか?私にはまだ少し荒唐無稽の話としか・・・」

 

 グレイスが私に問いかけます。

 私の答えは決まっています。


「彼は信じるに値する人です。私のこの「眼」にかけて。それに性格もとても好ましいでしょう?強さも申し分ありません。」

 

「そうですね・・・私も彼は気に入っています。強さも尊敬に値する。」


 グレイスはそう言って目を閉じました。

 口元は少し微笑んでいます。


「彼はグレイスの理想ですものねー。」

「ちょ!?姫様!?」

 

「事実でしょう?それに私も彼を気に入りました。いえ・・・好きになってしまったと言っても過言ではありません。」

 

 私がそう言うとグレイスは唸るように、


「・・・メイビスの至宝と呼ばれ、全ての縁談を跳ね除ける才女の姫様が本気になるとは・・・いえ・・・それも仕方がないかもしれません。彼は規格外だ。勇者ではないと言いましたが、あの強さは勇者と呼ばれるに値する。というか彼の話を信じるなら勇者よりも強いでしょう。同じ世界の人間のようですし。」


と言いました。


「姫様がその気であれば私はサポートに・・・「いえそれはいけません」姫様?」


 グレイスは不思議そうにしています。

 私は考えを伝えます。


「彼はそのうち世界に名を轟かせるでしょう・・・そんな人物です。公爵家の娘であっても難しくなるかもしれません。でも今は!チャンスがあるのは私たちのみです。二人で攻めましょう!私は姉のようなあなたも大好きですので我慢させるのは嫌です。それに彼には恋人がいます。私とあなたは敵ではなく敵(恋人)に立ち向かう同士です。一緒に頑張りましょう。父様もきっとわかってくれます。」


 私の熱弁をグレイスは瞳を潤ませながら聞いてくれます。


「わかりました。一緒に彼の心をつかみましょう!おねえちゃんにまかせて下さい!」


と頼れる姉としての決意をしてくれました。


 これで態勢は整いました。


 さあリョウマさん!覚悟してくださいね!「恋人」に負けないようきっちり私達に振り向かせてみせますよ!!


                 第1章 完

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