閑話「出会い 後 1(リディア視点)」
私はまず私が何者か、どんな目的を持つのかを話しました。
彼は、口でこそ私を姫様と呼ぶようになりましたが敬う感じはしません。
ちょっと驚きです。
ましてや可愛いと・・・同年代に綺麗とか美しいと言われたことはあったのですが可愛いだなんて・・・照れてしまいます。
彼は女性の敵かもしれません。
それにしても、普通公爵家といえば誰もが恐れるのですが・・・軽口をたたけるとはどこかの王族でしょうか?そのような感じもしないのですが・・・
私たちは、助けていただいた事のお礼を言いました。
思わず感極まって涙が出てしまいましたが、まあ許してもらいましよう。
いくつか話をした後、彼は一つの質問をしてきました。
それは薬の事件をどう思うかというもの。
私は自分の思うまま答えました。
彼が、私たちの回答で誠実さを見ていると感じたからです。
グレイスも同じように感じたようで、私と同じような回答をしました。
彼は私達の本心に納得をして貰えたようでした。
すると、彼は他言無用だと前置きして、自身の事を話してくれると言いました。
勿論言う気はありません。
信仰するセレス様に誓って。
彼から聞いた話は驚愕でした。
思えば、本日何回彼に驚かされたかわかりません。
それは、彼が勇者と同じ世界から来たこと、過去に封印された魔神の弟子だということ、セレス様が封印されており、今神託を下しているのは偽神ヴァリスであるということ・・・全てこの世界を揺るがすものばかりです。
しかし、私のスキルが嘘ではないと証明しており、秘匿情報と符合することがいくつもありました。
信じるしかありません。
そして、彼から話を聞いて、ますます彼に興味を抱きました。
嘘です。
好きになってしまいました。
彼はとても優しく誠実であり、とても強い。
それがよくわかりました。
盗賊を殲滅した時も、あれは頭目の言葉に激怒したからでしょう。
恋人がいるというのは少しショックでしたが・・・あきらめるつもりはありません。
今はこちらがチャンスです。
横目でグレイスを見ます。
ああ・・・やっぱり私と似たり寄ったりですね。
はっきり言って彼女はモテます。
見た目もスタイルも抜群ですから。
しかし、彼女は常々、自分より強くて優しく、そして屈強な見た目よりも線の細い男性がいいと言っていました。
周りからはそんな人間いるわけないと言われ続けていたので、自分の理想が現れた今、逃がす気はないでしょう。
数多の男性を袖にし続けて来た彼女の本領が発揮されるようです。
ふふふ・・・いくら姉のようなものとはいえ負けませんよ。
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