閑話「出会い 中 2(リディア視点)」

 結論から言うと、男の子に手助けはいりませんでした。

 

 達人のように簡単に盗賊を倒していく男の子・・・その舞うような戦い方を見て思わず見惚れてしまいました。


 グレイスも同様のようです。

 

 口をぽかんと開けて、目を皿のように大きくしています。

 長い付き合いですが、初めてこんな表情を見ました。


 劣勢になったと判断したのか、頭目が下劣な事を言い部下に発破をかけました。

 

 部下の目の色が変わったのがわかります。

 

 私たちの方にも襲いかかって来るのでしょう。

 

 グレイスも臨戦態勢を取りました。

 

 しかし、それは必要ありませんでした。

 

 頭目の言葉を聞いて、男の子の顔つきが変わったのがわかりました。

 

 そして、その体から重く圧せられるような尋常じゃない殺気・・・思わず震えてしまいました。

 

 しかし、その中に温かみを感じることができたのは、男の子の優しさの表れでしょうか。

 

 グレイスも冷や汗を流しながらも、男の子の動きを見つめています。


 そこからはまさに蹂躙というべき戦いでした。

 

 どこからともなく不思議な形状の剣を取り出し、盗賊達を駆逐していきます。

 

 見たこともない威力の魔法を叩き込みます。


 頭目も呆然としています。

 

 すでに残すは頭目だけとなりました。


 その頭目も腕を切られて戦うことはできないでしょう。


 男の子は、私たちに頭目の生死を問いました。

 

 生かしておく事をお願いすると、聞いたことない魔法で昏睡状態にしました。


 凄い。


 でも、何者かわかりませんので警戒してしまいます。

 

 グレイスは私以上に気を張り詰めています。


 男の子と自己紹介をしました。

 

 話してみた感じと性格、それと私のスキル:真実の眼を使用してみると、男の子は誠実そうに見えました。

 

 なぜなら、このスキルは嘘を見抜けるからです。

 

 彼は一つも嘘をつきませんでした。

 

 私は男の子を信じてみることにしました。

 

 というかですね、命と尊厳を守ってくれて誠実そう、ちょっと不思議な雰囲気・・・悪印象があるわけがありません。

 

 それどころか・・・まあそれはいいです。

 

 グレイスもしぶしぶ従ってくれたみたいです。

 

 ひとまず協力関係をお願いしようと思いました。

 

 本当のことを打ち明け、助力を求めようと思いました。

 

 野営の準備をして、一緒に焚き火を囲みました。

 

 そして衝撃の話を聞くことになるのです。

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