第7話 魔神と呼ばれるモノとの出会い(1)

 何も言わない僕にそのナニカはもう一度問いかける。


「答えよ。お前は何者だ。何故ここにいる?」


 僕は答えようと思ったけど水分もとっていなかったから口を動かすこともできず話せなかった。


 あなたはだれですか、そう聞きたかった。

 するとそのナニカは


「質問を質問で返すとは失礼な奴だ。まあいい。我は神の敵、魔神と呼ばれたものだ。」


と言った。


 魔神・・・なにそれ怖い・・あれ?僕喋ったっけ?


「喋れないのだろう。心を読んだだけだ。」


 魔神はそう言った。

 凄い・・・それに言葉もわかるんだ・・


「これくらいは簡単に出来る。それよりも質問に答えよ。」


 僕はそう言われて、頭の中で自己紹介と、何が起こったかを話したんだ。

 すると魔神は


「ふむ・・次元穴か・・・・数百年に一度あるかないかで基本30秒位しか開かぬものに吸い込まれるとは・・・なんと運の無い者だ。」


 マジで?嘘でしょ?ついてなさすぎだろ・・・神様殴りたい・・


「くっくっく・・・それを我に言うとは面白いやつだなお前。」


 いや~それほどでも・・・ていうかなんで僕怖がらずに話出来ているんだ?


「それは我が精神耐性極という効果の付与魔法をお前に使用したからだ。普通にしていたら会話できぬからな。我は暇なのだ。ここに封印されてから初めての会話できる者だからな。」


 そっか・・・魔法か凄いや・・・さすが魔神・・・って敬語使わなくちゃいけないかなヤバイ・・・


「構わぬ。それよりもあまりにも今の状態は酷いな。どれ。」


 魔神がそう言うと、ぼくは一気に力が湧いてきて、立ち上がることができた。


「お前の時間を巻き戻した。これで喋ることができるだろう。空腹も解除された筈だ。」


 本当だ。

 ありがとうございます。


「おい、ちゃんと喋れ。治した意味がない」


 しまった。

 僕は魔神に頭を下げながら


「直していただきありがとうございました。これからは魔神様と呼んだほうがいいですか。」


 と聞くと魔神は


「頭の中では魔神と呼んでいるのだ。今更変えても意味はない。」


 と言われてそのとおりだと思った。

 それから魔神は色々教えてくれたんだ。


 ここは次元の狭間・・要は世界と世界の狭間だね。

 ここでは時間は進まない事や他には何もない事・・・正確に言えば一緒に吸い込まれた色々な物は落ちてたけどゴミみたいなものだね。

 魔神の本当の名前がジードと言うこと。

 今後はジードと呼んで欲しいこと。

 ジードが封印された理由は、力を持ちすぎたただの魔族だったジードを恐れて、神が全世界に神託を下し世界対ジードで戦ったこと。

 勇者と呼ばれる存在に、最後魂と体を切り離され別々に封印されたこと。


「勇者は他の者よりは強いが我ほどでは無かった。しかし神が与えた神剣と呼ばれる聖剣を越える剣の力と大規模術式による力の増加による勇者の一撃が凄まじかった。」


というジードに僕は少し疑問に思った事を聞いた。


「増加の力はそんなに凄かったの?」


というとジードは憎々しげに言った。


「普通はそんなことはない・・が神はその神託により・・・人類種・・要は人型の生き物・・・亜人や魔族。人の全世界の3分の2を大規模術式の生贄に捧げおったのだ。その力の上昇は凄まじかった。それに勇者も神剣を使用したことにより命を落とした。」


 とんでもない話だった。

 というか神託の結果といえどよくそこまでしたな。

 よっぽどジードが悪いことをしたのかな?


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る