第5話 焚き火を囲んで(2)
僕はリディアさんたちが落ち着いてから話しかけた。
「なるほど。よくわかりました。ところで一つだけ質問があります。お答えいただけますか?」
「勿論です。なんでも仰って下さい。この際です。」
「うん。さっきの薬の事件はわかりました。あなた達はそれについてどう思いますか?ああ家のことは置いておいて下さい。あくまであなた達個人の事が知りたい。」
僕はこの質問で二人を見極めようと思った。
「わかりました。では私からお答えします。公爵家の娘ではなく私個人としてやはり許せません。どんな犯罪でも許せませんが・・・もし善良な人を無理やり薬で罪を犯させ処罰させるなどとても許せません。
その方々にも家族がいて幸せでいたはずなのに・・突然犯罪者にされ正気にもどった本人も家族も大変悲しいでしょう。ましてやもし処刑されていれば・・・筆舌にし難い怒りを覚えます。なんとかして解決したい、そう思っています。」
リディアさんは目をつぶって僕にそう答えた。
「私も姫様と同じ気持ちだ。そして王国に住む者としてなんとかそんな不幸を無くしたいと思っている。」
グレイスさんは強い眼差しでそう言った。
「その薬を作った人が何か事情があって薬を作っていたらどうします?」
「その時は作成者から話を聞き・・・そこに何か本人にどうにもならない事情があるならばその問題ごと解決してあげたい、私はそう思います。」
リディアさんはそう言いグレイスさんも頷いた。
うん、優しい良い人たちだ。
信用できる。
僕も覚悟を決めよう。
「わかりました。ならば僕も覚悟を決めましょう。僕にもまだ話せない事もありますがそれでも僕もあなた達を信用したいと思いました。僕が今から話す話を他言しない。そう誓えますか?」
その問いに二人はお互いに顔を見合わせ頷きながら
「女神セレスに誓って。他言しません。」
とリディアさんは言い
「私も他言しないと誓う。」
とグレイスさんも言った。
さあ、僕の話を始めよう。
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