第2話 最初からクライマックスです(2)

男たちが僕に突っ込む。

僕に正面から突っ込んで来た男が剣を振り下ろす。

学習しないなあ。


僕はまた左半身で避け喉に突きを入れる。

男の喉に拳大の凹みができ倒れる。

そこに左から僕に剣を突き刺そうと別の男が突っ込む。

僕はさらに回るように円の動きで剣をそらしすれ違いざまに頚椎に左手刀を入れる。骨を砕く感触。


お次は正面から槍を持った男が突きを入れてくる。

僕は槍が体に触れる前に右手で円を描きながら槍を跳ね上げそのまま懐へ入り左拳で鳩尾に突きを入れる。

男は血を吐きながら倒れる。


そこに今度は後ろから斧を振りかぶる男が襲いかかって来る。

僕は左足で思い切り地面を蹴りつけ前へ飛び込みがてら右足で踏み込み2メートル位前方にいた男の顔面に右手で突きを入れる。


そのまま振り返りながら空ぶった斧が地面に突き刺さって引き抜こうとしている男に後ろ回し蹴りを当てる。

男の首が折れる。

そのまま少し体をずらし右前方にいた男に右足刀。

こっちも首がありえない方向に曲がる。

ここまで10秒程度。

男達の勢いがなくなり静まり返る。

目の奥には怯えの色。


「・・・なんなんだ。こんなガキ相手に情けねえ。俺がこいつの相手をするからお前らはあの二人を攫ってこい。女騎士の方は殺してもいいが生きて連れてきたらそっちは楽しませてやるぞ!!」


ボスっぽい・・・ボスでいいや。

ボスが仲間に発破をかける。


「やったぜ!さすが頭目だ!」

「いつものことだが早い者勝ちだぜ!壊れるまで楽しもうぜ!」

「もう一人はダメなんで?」

「馬鹿!あっちは依頼人が抱いてからだろう!散々楽しんでからこっちに回して貰うことになってるだろうが!」


男達の目の色が変わって囃し立てる。

後ろで女性二人も息を飲んだ。

そして・・・僕の目の色も変わる。

 表情は無表情になってるかもね。


「女性に乱暴か・・・本当にクズだな。少し様子見しながら戦ってたけど気が変わった。お前らはもう二度と暴力を振るえないようにしてやる。」

僕は少し本気を出すことにした。


「何を調子づいたことを・・・グ!!?ギャァァァァァァ」


目の前にいた僕に何か喋っていたボスが絶叫をあげる!

 ボスの前に僕の姿はない。

 ボスの近くには剣を持ったボスの腕が落ちている。

 その後ろには僕の姿。

 そして右手には刀を持っている。


「グッ・・・てめえいつ後ろに来やがった!?その変な形の剣はどこから持ってきた!?

てめえ一体何なんだ!!」


 ボスは錯乱してうずくまる。

 何言ってんだ。

 少し早く動いてすれ違いざまに切っただけだ。


「そんなことはどうでもいい。お前ら全員逃がさない」


 僕の姿はまた掻き消える。

 そして男達の中心からいくつもの絶叫が響き渡る!

 見る見る内に倒れる男の姿が増えていく。

 混乱が場を支配した。


「バケモノだ!!」

「もう嫌だ!!」


 逃げようとする男達の姿。

 逃がす訳が無い。

 僕は左手のひら向ける

『炎弾』

 1メートル位の火の塊が男に向かう。

 男は絶叫を上げながら火だるまになった。


 そのまま別の方向に逃げる男に左手を手刀をするように振り

『エアスラッシュ』

 逃げていた男は胴から真っ二つになった。


「魔法か?詠唱も無しで?最初のはファイヤーボールか?なんであんなでかいんだ?ていうかあいつ魔法まで使えるのかよ!」

「もう終わりだ・・・頼む!助けてくれ!!」


 男たちはガタガタ震えながら命乞いを始めた。

 泣いている者もいる。

 知ったことか。


「僕はお前達に対する天罰だ。自分がしてきたことを悔やみながら死ね。」


 残りはあと5人ほど。

 ボスは既に呆然としている。


「・・・赤月が・・・俺の赤月が・・・嘘だ・・・」


 そしてボス以外に動く奴らはいなくなった。

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