第一章 出会編

第1話 最初からクライマックスです(1)

「よかった・・・無事に出られたか・・・ん?」

 僕が視線を前に向けると目の前には30人位の人相の悪い武器を持った男たち。


「なんだ!?なにが起こった!?なんだてめえは!!」

「どこから出てきやがった!!いま何しやがった!!」


 男たちは口々に僕にがなり立てて来る。

 騒がしい。


「誰か知らねえがこいつに構ってる暇はねえ。さっさと殺して仕事を終わらせるぞ!」


 男達の中心にいた一際体格のいい男がそう言って僕の後ろに目を向けていた。

 あいつがボスかな。

 僕は気になって後ろを振り向くとそこには少し離れたところに崖を背に向けた二人の女性と一つの馬車がある。


 よく見ると馬車の近くには何人か武装した人が倒れておりおそらく死んでいると思われる。


 女性たちに目を向けると、一人は美しく長い銀髪をストレートに下ろしていて目は淡い青色、華奢な体躯なのに出るところは出ており見ため凄く可愛いく、今は酷く怯えた顔をしている。

服装はとても高そうな時代がかった洋風のワンピースだから上流階級っぽい感じ。


16歳位だろうか。


 もう一人は長い紺色の髪をポニーテールにしており目の色は黒色で凛々しい顔立ち。

 今は悔しげで怖い表情をしているが美人だ。

 体格は・・・凄い。

 軽装の鎧っぽいのを着込んでいるのにスタイルの良さがわかる。

 銀髪の子の胸もそこそこありそうだけどそれを越える巨乳・・・おっといけない。 

 ふくよかな胸に引き締まったウエスト、すらっとした脚線美。

 18歳くらいかな。

 うむ、眼福。


 女性達を見ていると男たちが


「てめえがだれだか知らねえが死んでもらう。おい」


とボスっぽい男が言って近くの男に目配せした。

 目配せされた男は剣を持って僕に近づきながら


「運が悪かったな坊主」


と言って剣を振り上げてきた。


 遅い。


 僕は頭から振り下ろされた剣を半身になりながら躱し男の鳩尾に掌底を打ち込んだ。

 男は呻き声をあげそのまま前のめりになって倒れ込んだ。

 ぴくりとも動かない。

 それを見て男たちは殺気だった。


「てめえなんだ。冒険者か?だが突然現れたし・・・まさか勇者?俺達に手出しするなら殺すしかねえ」


 ボスっぽい男が言った。

 いやいやさっき殺すって言ったじゃん。頭悪いの?


「いいえ勇者じゃないです。ただの迷子です。」


「迷子だと?なめてんのかこいつ?」


 僕はボスにちゃんと答えたのにボスは信じてくれない。


 仕方がないので顔だけ振り向き二人の女性に


「君たちこいつらに襲われてたってことでいいよね?もう手は出しちゃった後だけどこいつらみんなやっちゃっていいのかな。仲間じゃないよね?」


と聞くと紺色髪の女性が


「そうだ。こいつらは突然襲ってきて護衛を殺した。今の動きを見るに腕に自信がありそうだな。私達が逃げる時間を稼いで欲しい。共に戦うし後で礼はする。頼めないか」


と言ってきた。

 勿論助けますとも。

 美人は正義!まあそれは冗談にしてもこの二人は悪い人には見えないよね。


「いいよ。でも一人で十分だから君はその子守っておいてよ。」


と僕が言うと紺色の髪の女性は訝しげに


「まて、相手は30人くらいいるし(赤月)という有名な盗賊達だ。一人では無理だ。」


と言った。


「まあ見ててよ」


と言って僕は男達に歩いて近づいていく。

 

 男たちは僕を血走った目で睨みつけてくる。

 舐められたと思ったのかな。

 ボスっぽい男が


「やれ!こいつを血祭りにあげて後ろの二人を絶望させてやれ!逃がさないように囲みは続けておけよ!」


と叫ぶ。

 崖を背にした僕たちを盗賊たちは半円状に囲んでいるので逃げられない。

 紺色の女性は多分僕が戦って手薄になったところの囲みを突っ込んで破ろうと思ったんだろうね。


でもその必要は無いなぜなら・・・


そして戦闘が始まった。

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