09 復活の誓い
「じゃあな、コリン村」
『バアル、本当にいいの?』
ルミスが心配してくれたのか、声をかけてくる。
「あぁ、いいんだ。こんな村、なんにも未練はありゃしないよ」
ルミスに優しく答えた。
そう、爺ちゃんも過去に囚われるなって言ってた。
こんな村に囚われちゃいけないんだ。
俺はルミスと、未来を生きていく。
そのためにルミスを蘇生させるんだ。
だからこんな村、もういらない。
俺は
「
瞬間、空は快晴だというのに、雷鳴が響き渡る。
落ちてきた雷は、コリン村の中心に炸裂した。
その純粋な衝撃により、村の建物は崩壊する。
そして、どこかで火の手が上がったかと思えば、見る見るうちに村全体に燃え広がっていった。
この村の住人は俺が全部殺した。
この村の建物は俺が全部壊した。
この村は、死んだのだ。
この村への復讐は終わった。
次は、世界への復讐だ。
見てろよ神様。あんたが作ったふざけたルールに復讐してやる。
俺は、俺は──
「──絶対にルミスを生き返らせてやる」
『えぇ、嬉しいわバアル。私、その時までゆっくりと待っているわね』
「あぁ、待ってろルミス。絶対に……絶対にお前を生き返らせて──」
俺は左手で抱えた
死後硬直しており、ルミスの表情は悲痛そのものではあるが、魂から聞こえてくる声はそよ風のように心地いい。
炎と血で真っ赤に染まった世界の中で、唯一ルミスだけは俺を癒してくれる。
「──ルミス、お前を幸せにしてやる!」
『嬉しいわバアル。今でも十分幸せだけど、私、待ってる。バアルが生き返らせてくれるのを、ずっと待ってる』
二本の魔剣を腰に携え、俺は元コリン村を後にする。
『それで、どうするのバアル。どうやって私を生き返らせるの?』
正直あてなどない。
だけど、ルミスを安心させるために、俺は自信満々な表情を繕う。
「町に出て、冒険者になろうと思うんだ。ルミスが昔話してくれたように、都会だと凄い魔法使いがいたり、凄い薬がありそうだし」
『なるほど……いい考えね! なんだかキラキラしてそうで、楽しそう!』
前途多難な冒険も、ルミスが一緒なら楽しい旅行のようにも感じられる。
こうして、俺達は歩き出したんだ。
アフラシア王国の中心に向かって。
★★後書き★★
以上で一章完結となります。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
本作品で初めましての方がいらっしゃましたら、自作「タナトフォビア」もお読み頂けたら更にお楽しみいただけるかもしれません。
それでは引き続き、バアルとルミスの旅をお楽しみください。
★★★★★★★
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