「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」を観た。

 本日ファンが首を長くして、ろくろ首になるほど待った「エヴァンゲリオン」の最終章が公開された。10年程度のファンである私は朝一でグッズを買いに映画館に向かった後、夕方に作品を観賞した。今回はネタバレが多分に含まれる。注意されたし。まだの方は絶対に読まないで欲しい。初見で見とけばよかったと後悔するのはよそう。

 まず、はじめに言いたいのは「ようやく完結したな!」と言う感じである。もう続編はないだろう。そういった作品になっていた。長いファンだと、25年待っただろう。だが、10年程度のファンである私には完結編として最高の出来だったと思える。(旧テレビシリーズからQまで全て視聴済みである。昨年ブルーレイ買ってしまった~)ここから、シーンやテーマについていくつか書きたいことを書いていくが、私は設定マニアではないので、そこらへんはそうした分野の方にお任せする。どちらかというと、感動を共に味わいたい人向けに書く。

 一つ目にトウジやケンスケが生きていてホンマ良かった。前作ではほとんどの人類が絶滅してしまったかのように描かれていたが、いくつか村ができて人の住める集落があるそうだ。交易もヴィレの直轄組織が行っているらしい。そして、そうした人々とシンジとレイ(そっくりさん)はしばらく過ごすことになるのだが、前作のヴィレのクルーと違い、トウジやケンスケはシンジを温かく迎えるんですよね。前作でオーバーにいじめられていたシンジ君が人の温かさに触れられて見てるこっちもなきそうだったよ。でも、シンジは自分を責めて中々そうした彼らの気持ちを受け取れない。その様は変にリアルで見ていて心臓が締め付けられた。しばらく心を閉じたシンジだが、村の人と触れ合って変化していくレイ(そっくりさん)と話をするうちにまた少しずつ心を開いていく。その後もケンスケの仕事を手伝ったりするシンジだったが、レイ(そっくりさん)が生命維持できず、LCLに還元されてしまったことで決意を新たにし、アスカがヴンダーに合流する際に搭乗を決意。シンジ君成長したな……

 ここのシンジが立ち直るまでが丁寧に描かれていてすごく好印象だった。結構映画だと早足で描かれたり、ベタに描かれたりする部分なので。

 その後、ゲンドウと冬月のフォースインパクトを阻止するためにセカンドインパクトが起こった南極に向かうヴィレだったがそこにヴンダーの2番艦が立ちはだかるんですね。ここの戦闘シーンの曲、エヴァっぽくなかったけど何かの作品の曲を使わせてもらったのかしら?

 結局、ゲンドウの策略にはまり、使徒となっていたアスカを媒体に儀式が行われ、アナザーインパクト(その後、アディショナルインパクト)が起こってしまう。だが、父との、対峙を決意したシンジがアナザーインパクト阻止のためにゲンドウのいるマイナス宇宙に向かう。一方、ミサトやヴィレのクルーはアナザーインパクト阻止のために新たな槍を精製しようとするのだった。

 マイナス宇宙で初号機で綾波と再開するシンジ、そしてゲンドウと13号機とのタイマン対決が始まるのだった。ここでの戦闘シーン、なんかCGがちゃっちくて「?」となったが、何か意図したことだろうか? とおもっていたら案の定、シンジの記憶世界で戦っているからだった。初号機の発進から、街、ミサトさん家、綾波部屋などでエヴァが戦うシーンは面白かった。そして、ついに描かれるゲンドウの目的と過去について語っていく。まず、彼の目的はアディショナルインパクトを起こすことで、現実と幻想を混同させること。そうすることで、死んだユイに会おうとしていた。そして、彼の過去から彼がいかにユイを愛し、シンジに冷たく当たっていたか語られる。ゲンドウのすべてが語られることはこれまでになかったし、もしかしたら賛否が分かれるかもしれないが、今まで向き合ってこなかった息子にようやく向き合う父としてしっかりと描かれていて私としては非常によくできていたと思う。このシーンはおそらく一番繊細な表現が要求されたと勝手に思っている。

 父親の目的を理解し、そのうえで自分の考えでアナザーインパクトを阻止し、ミサトさんが自らの命と引き換えに届けた新たな槍で世界を変えるインパクトを起こそうとするシンジ。こうして最終局面へと話が進んでいく。このミサトさんが艦に一人で残って槍をシンジに届けようとするシーンは涙が出そうになった。帽子をとり、髪留めを外して、昔の髪型に戻した後、昔のような「やってやろうじゃないの!」って感じのミサトさんがみれたときには本当にもう……

 最後、槍を使ってエヴァのない世界に作り替えようとするシンジ。だが、媒体に初号機を使わばならず、シンジは自らに槍を突き立てるが……ここでユイさんが出てくるんですね。それと、それを見届けに来るゲンドウ。息子の最後の願いを親子そろってかなえるのは泣きそうになりました。旧作では初号機に食われるイメージで保管されたゲンドウ。今作のゲンドウは最後に息子と向き合ったゆえに幸せを掴んだのでしょうか。ここで、新しい世界(NEON GEBESIS)とタイトル回収するんですよね。長い歴史の作品だからこそ感慨深い回収でした。

 ここからは総論を、今回のテーマは「自立」、そして「希望と絶望」かな。自立はシンジの自立。そして、ファンのエヴァからの自立。シンジがエヴァのない世界に作り替えること、そして、最後私たちの住むような世界に変わった世界で徐々に実写に変わっていく様はそういうメッセージで演出されたと思う。監督への脅迫などファンとの距離が悪い意味で近かった「エヴァシリーズ」、もういい加減エヴァから卒業しろ、と総監督に言われている気がします。そして、最後のシーンではシンジ君も声変わりして、緒方さんもシンジ役からようやく解放されたんですね。

 演出も面白くて、記憶世界が張りぼてだったり、最後、シンジ君の絵が色が抜けて、ラフになっていったり……とアニメならではの演出だなと思いました。もう一つのテーマの「希望と絶望」ですが、前作や旧劇場版で絶望のシーンだったものが希望のシーンとしてオマージュで登場します。長年のファンの方は感動したでしょうね。

 それとこれは今作を観る前から思っていたのですが、やっぱりタイムリープしていたんですね。新しい世界を作ることをレイに話すときにテレビシリーズの各話タイトルが流れたり、「もう時間は戻さない」と言っていたり、しっかりとセリフで言及がありました。そして、シンジ君の願いは生みの親(ユイ)と育ての親(ミサト)の二人によってかなうんですね。それにしても、レイやアスカ、シンジがそれぞれの居場所を見つけれて良かった。そう言う意味でも自立なんですかね。(アスカとケンスケの距離が予想以上に近くなっててビビった)とりあえず、幸せな鑑賞後の気分に浸りながら、心の赴くまま書いた感想でした。お付き合いありがとう……ありがとう……ありがとう……


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