レビューとネタバレの水準は難しい

 最近Youtubeを見ると、グレーゾーンの本編映像を使用したレビュー、まとめ動画がたくさん出てくる。そして、オススメに出てくるようなレビュー、まとめ動画は何万回と再生されているのだ。そうした中で私が憂いていることがいくつかある。

 ひとつは映画の本編を見ず、そうした動画ばかり見る人間が増えることだ。それでは映画を観たことにはならないし、ただ知識として映画の中身を知り得たに過ぎない。映画を観るとは体験なのだ。ただの知識であってよいはずはない。なので、本編を見たこともない人に向けたネタバレありのまとめ動画を私はひどく嫌っている。

 もうひとつは本編の良さはまとめやレビューでは語り切れないはずであるということだ。私も昔はそうした動画を見ていたが、どうも見当違い甚だしい解釈がされていたり、他の感想ブログの内容を引っ張ってきたようなものがいくつか見られた。動画作成者全員が映画が好きだから動画を作っているわけではないと思う。どうも中には承認欲求や金のために作っているとしか思えないものもある。そんなずさんな動画で映画のすべてを語ったような風にはしてほしくない。そして、視聴者もそんな動画で映画を観たような気になってはいけないと思う。そんなことをしていては映画の解釈がねじ曲がり、映画本来のメッセージが伝わらなくなる恐れがある。解釈はやはり自分で考えて(たまに他の人の感想と見比べて)すべきことだ。

 この前観たアニメ映画の関係者挨拶でも声優の一人が言っていた。人間というのは物事の解釈を捻じ曲げ、事実すら変えてしまうことがある。それはニュースも映画も同じ。みな、自分の都合のいいようにしか解釈しないし、過激な言葉にしか耳を傾けない。そういうのはもう終わりにしないか?聞きたくないことに耳を傾け、事実だけを求め行動する。ジョジョ的に言うなら「真実に向かおうとする意志」をもって生きようじゃないか。一人一人がそう心がければ世界は少しは変わるはずである。(たまにはジャンクに味付けされたものではなく、生の素材をそのまま楽しもう。素材が良ければ味付けが必要ないこともあるのだ)

 とだんだん宗教臭くなってきたが、なぜ、今日これを書いたかというと今後私がレビュー動画を挙げる際はネタバレありで書くということを伝えたいからだ。つまり、文章を一度見たことがある人に向けて書くということだ。基本、有名な作品しかレビューしないので映画マニアの人には問題ないと思う。(逆に読んでも面白くないかもしれない)

 最後に、よく見かける小説家志望の方々に言いたい。有名な映画は最低一回は見たほうがいい。自分が憧れた作品が文化という長い歴史の中でどのポジションにあるのかは知っておいた方がいい。(ガンダムの富野監督も言っていたが、今あなたの見ているものが素晴らしいものだとは限らない)小説で手がついてないジャンルやメッセージが他の媒体ですでに扱われていることは十分にあり得る。昔から扱われている古い内容で勝負するのは、研究されつくした分野を今頃引っ張り出すようなものだ。(たまにそれで新しい事実が判明することがあるけれども)そして、そうした文化の流れを無視して新しいものは生まれない。無視して生まれたものはたいてい独りよがりで誰の心にも届かないまやかしとなるだろう。

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