02
弥が検査を受けている頃、ダイニングでは長老が持ってきた情報に、遼太が頭を悩ませていた。
新種の怪人へのワクチンサンプルの効果は、わかり易いほどに出ており、あとはそれをヴェーベへと持ち帰る。それが当面の目標ではあるが、
「アオと
表向きは、先日現れたタコツボがウミナメと同じように増殖を行なったことから、既に一度ウミナメを撃退しているヴェーベの能力者に話を聞きたいという名目だ。加えて、新種を一撃で倒した、偶然居合わせた能力者についても、話を聞きたいということらしい。
「白菜が呼び出されるって、ルーチェパパ平気なのか?」
「!」
拓斗がギターを鳴らす手を止めながら、珍しくまともなことを聞けば、ルーチェが心配そうに遼太を見つめる。白菜がルシファエラの暗殺命令を能力で抑えているのだ。その白菜が本土に来てしまったら、人質でもあった研究機関の人間が既に逃げ出した今、ルシファエラの暗殺が行われるかもしれない。
「一応、白菜が生きてる間は、洗脳は解けねぇだろうが……」
「その彼女が本土に呼ばれ、そのチームのリーダーである少年も呼ばれた。しかも、その少年はヴェーベの責任者の息子ときた。さて、どうなるかのぉ?」
まるで先が分かっているかのように、笑う長老に、遼太も頭をかく。
「長老。俺たちの味方するんじゃねぇのかよ?」
「もちろん、そのつもりじゃ。しかし、それはあの新種を倒したワクチンをヴェーベに届けるためじゃよ。その二人がどうなろうと、関係の無いことじゃ」
あくまで、ワクチンに利用価値があるというだけだ。遼太は軽く舌打ちをすると、頭の中を整理する。
「息子はよく似た弟がおるそうじゃな。長男を残すために、弟と入れ替わってる可能性もあるんじゃないかの?」
「いつの時代の話してんだ。だいたい、変身したらすぐにバレる」
「しかし、リーダーが罪を償うという事実が欲しいだけなら、それで十分じゃろ」
おそらく、白菜は意味なく一般人に能力を使ったことを理由に、相応の処罰を、蒼哉はリーダーとしてその管理をしなかったこと、もしくはそれを指示したとされて処罰されるだろう。
今回の目的は、主な目的は白菜の方だ。しかし、蒼哉まで呼び出したのは、ヴェーベ、つまり能力者への不信感と内部分裂を狙ったことだろう。能力者から人造怪人へ、国の兵力をすげ替えたいなら、国民に能力者への不信感を持たせる必要は十分ある。
しかも現在、貢献度トップである蒼哉が悪事を行なっていたとなれば、ヴェーベの内部でも、帝国軍に入る可能性を潰されているような錯覚を起こす可能性は十分にある。そうなれば、特にA級の混乱は防げない。
ならば、罪を償うという意味でも二人を見捨てるという選択枝はある。しかし、
「それはないな」
ここで帝国に媚を売るのは、能力者らしいかもしれない。だが、それは四年間付き合ってきた友人たちとの時間を否定することになる。なによりも、つまらない。
「な――」
「オッケー」
「任せろ!」
「当たり前だろ!」
「……俺、まだ何も言ってねぇよ」
声をかけようとしただけだというのに、すでに了承してくる三人に呆れていると、ルーチェまで頷いた。
「助けましょう! 私は、あまり力になれないかもしれないけど……もう、私のせいで誰かが傷つくのはイヤなんです。泣いて、待ってるのは、もうイヤです」
「……後悔すんなよ? お姫様」
決意した目で頷くルーチェに、遼太も口端を上げた。
「正直な話、アオの話聞いて弥が黙ってるわけないしな」
木在の言葉に、全員が青い顔をして乾いた笑いを漏らした。
***
地下から地上に出ると、ヴェーベでは見たことない人数が行き交っていた。
「うわぁ……道迷いそう」
「出て右だから、こっちか?」
「反対です。こっちです」
ルーチェが間違った方向に進みそうになる遼太を止める。
「リョウちゃんが珍しぃ~」
「地下の建物が多過ぎるんだよ。どれが目印になるかもわかんねぇ」
「似た建物も多いな」
さすが首都というだけはある。人も建物の数も大きさも、ヴェーベとは比べ物にならない。しばらくの間は、長老が味方してくれるということもあり、突然襲われる危険はなくなり、こうして外に出られる。
今回は、弥、和樹の班と、拓斗、遼太、木在、ルーチェの二手に分かれて調査をする。蒼哉、白菜のどちらかを発見もしくは情報を手に入れし次第、連絡をすることになっている。
「じゃあ、ルーチェ。案内頼んだ。俺たちは回る箇所多いからな」
「はい!」
長老がこの件に協力しない以上、調べるのは自分で行うしかない。四人がルーチェの案内で、怪しい施設を回り始める。
「あの……」
「なんだ?」
「弥さんって、アオさん? と仲がいいんですか?」
先程、蒼哉の話を聞いた時も、まだ知り合ってから日の浅いルーチェですらわかるほどの不機嫌だった。戦いの最中ですら、あまり表情の変わらないというのに、ただの先輩後輩というわけではなさそうだ。
「弥はアオと……アカもだけど、昔、同居してたんだよ」
「え!?」
「同居っつか、居候だけどな。なんつーか、あいつの家は少し複雑で」
珍しく言いよどむ遼太に、ルーチェもなにか察したのか、それ以上聞くことはしなかった。
自然と沈んだ空気に、拓斗もなんとも言えない表情になり、なにか別の話題を探そうと辺りを忙しなく見渡すと、木在が思いついたように声を上げた。
「昔っていうと、俺たちが初めて会った時の拓斗はマジ、ヤバかったよな」
「あーアレはさすがにヤバかった」
「アレ、前日にメチャクチャ考えてやったんだぞ! 第一印象は大事だろ!」
一人、状況が分からないルーチェが首をかしげると、遼太が五人が初めて出会った時のことを語りだした。
***
高等教育は生活力を身につけるため、全員が寮に入ることになっている。特に人数の少ないA級となれば、初めてチームを組み、チームでひとつの家で一緒に住む。教育機関はどの地区でも希望すれば入ることができるが、人数の調整が行われた場合を除き、自分が今までいた地区からわざわざ出ることはない。
しかし、その年は少々異常だった。
どの地区の高等教育機関に入学するか決めることのできる最終日。北東教育機関、A級能力者の顧問である怜子は、暫定的に決まっている入学者の人数を見て、凍りついた。
「一人……」
通常なら、四、五人もしくはゼロだ。生徒だってバカではない。貢献度を本格的に争うようになるこの時期に、少人数、まして一人など将来を捨てているようなものだ。しかし、個人の意見を尊重するため、希望を出してきた生徒に対して、別の教育機関を勧めるようなことはあまりしない。逆に五人を超えそうになると、希望を出していない生徒に別の場所を勧めて調整する。
「あ、でも、湊さんは持ち上がりの予定だから、二人……」
現在の北東教育機関の一年生、つまり、来年の二年生は生徒がいない。訓練の補佐などが心配ではあるが、それ以上に、二人という人数が不安だった。
「大丈夫かしら……」
しかし、その不安も翌日には払拭されることになった。最終日に、慌ててやって来た生徒が三人、北東教育機関に入学することを決めたのだ。
そして、入学式。
A級能力者の顔合わせの教室では、知り合いでもないからか、向かい合うように置かれた机に、全員ができる限り遠くになるように席が埋まっていく。
忙しなく三人を見る男に、備え付けられているポットからお茶を取ってきて飲んでリラックスしている男に、同じようにお茶を飲み何を考えているのかわからない女。そして、その三人を静かに観察していた男。
机から数えると、残りは教師を除いて、一人だが、その最後の席が埋まる前に、顧問が来てしまった。
「あれ……? まだみんな、そろってない?」
教師がどうしようかと悩み出したその瞬間、開いていた窓から教室に飛び込み、ゴロゴロと転がりながら現れた男。
「ヘェイッ! ここであったが百年目、もとい一回目! 俺は、
全員が何事かと言葉を失っている間に、その四柳と名乗った奴は、一度教室のドアを開けると、立てかけてあったらしいギターを取ってくると、それをかき鳴らしながら頼んでもいない自己紹介を始めた。
「趣味はギター! 将来はミュージシャン! 座右の銘は、輝けるスター☆だッ!」
ほぼ全員がこいつは色々ヤバいと直感、いや、実感した。ただ一名、妙に波長のあってしまった一人を除いて。
「か、かっけェ!!」
「そりゃ、スターだからなッ! ユー、名前は?」
「
「よろしくな! 後藤!」
「よろしく! 四柳!」
一瞬にして、教室に嵐が起こったが、どうにか落ち着き、まともな話に変わる。そうなれば、やはり気になるのは、全員の出身だった。
「普通、中等教育と同じ地区に行く人が多いんだけど、今年は一人だけなのよ。あとは、みんなバラバラ。これって、すごく珍しいパターンなの。よければ、みんなの理由、聞かせてもらえる?」
そう言われた瞬間、立ち上がったのは案の定、四柳だった。
「俺は出身は南西地区だけど、地元にこもって売れても、それはローカルなスターだ。俺は全国的なスターになりたい! だから、反対の北東地区で活躍して、それが裏側の南西地区届いたら、その時こそ、俺は本当のスターになれると思ったんだ!」
意外に、まともと言えばまとも、というよりも真面目な理由だ。そもそも、四柳の言ってるスターってやつは、おそらく、絶対に能力者の意味ではないことは想像できるが、ここにそれを否定する人はいなかった。
「俺は、単純にここの希望者が一人だったから、ぼっちでかわいそうな奴だなって思っただけ」
もちろん、その一人というのは四柳だ。
「あ、俺もここが一人だったから。どこでもいいし、決めてないならここにしない? って言われたから」
「俺もー」
和樹と木在まで同じことを言い出した。
「でも、なんで一人だったんだ? 中等教育って、弥ちゃん一人だった?」
「他に二人いた」
「じゃあ、他の人は?」
「別の場所」
「なんで? というか、弥ちゃんは、なんでここに一人残ったの? 友達とか一緒に同じところに行こ! とか無かったの」
「無い」
はっきりと言い切る弥に、和樹がわかりやすくずっこけたが、それはこの場にいる全員に言える。全員が初対面で、別の地区に来てるのだ。どちらかと言えば、弥は地区を変えていないのだから、普通だ。
「まぁ、俺も時々テンションとか存在がめんどくさいって言われたりするから、基本ぼっちだったし、気にすんな!」
拓斗なりの気遣いらしいが、いまいち弥には伝わっていなかった。
「俺はマイペース過ぎって言われるな」
「なんかわかる」
「自覚ある」
「でも、結局、なんで他の二人は来なかったんだ?」
和樹の疑問に、和樹、拓斗、木在の三人が頭をひねらせているが、答えは出ない。
「中央局の息子がいるからだろ」
遼太が当たり前のように答えをいえば、三人は不思議そうに首をかしげた。どうやら本気で知らないらしい。
「中央局の息子は、A級能力者かつ能力も最先端の研究の援助を受けているから、実力は相当ある。もうその世代の貢献度トップは、そいつらがいるチームだって言われているし、特A級能力者になることは約束されてるようなものらしい。
そんな奴らが、来年、晴れて北東高等教育機関に入ることが決まってる。二年上や同世代、下であるなら特に問題はないか、恩恵を受けることも出来るだろうが、一つ上の場合、自然と比べられるのに加えて、後輩の方が自分たちよりもできるって劣等感が常に付きまとうことになる。それが嫌で、ほとんどの奴は、ここにこないんだよ」
「へぇ……」
「すごいやつはすごいんだなぁ」
「俺の輝きは、誰にも消せないんだぜ!」
「まともな能力者なら、ちょっとはその辺考えろって話なんだけど」
やはり、全く気にしない三人に、怜子が苦笑いを浮かべていたが、遼太は目を弥にやった。
「ところで、お前、その双子と一緒にいたよな。校門で」
校門で遠巻きに、弥についてきていた二人を見つけていた遼太が聞けば、首をかしげながら頷いた。
「アオとアカのこと?」
その呼び名はわからないが、確かあの双子の名前に、蒼と赤という漢字は入っていたはずだ。そこをもじったのだろう。
「あぁ。その二人。随分、仲良さそうだったろ」
「二人の家に居候させてもらってる」
さすがの遼太もそこまで仲がいいとは思っておらず、言葉を失い、驚いて聞き返したのは、和樹だった。
「何で!?」
「成り行き?」
何が起きれば、中央管理局の家に居候することになるか、全くわからないが、拓斗一人だけ頷いていた。
「わかるわかる。俺も、気がついたら、その日知り合ったおっちゃんの家に泊まってたりしたし、ごはんごちそうしてもらったりするし」
「それも意味わからない!」
「いや、何があったわけじゃなかったんだけどさ。朝、海辺で釣りしてたら、変なおっさんが声かけてきてさ、なんかやばそう雰囲気だったから、全力逃げたんだよ。そしたら、そのおっさんも血眼になって全力疾走してきて」
その時点で十分事件性があるというか、朝からそんな恐怖体験したくないし、おっさんにはその血眼になって追っているのが男でいいのかと、色々ツッコミを入れたくなるが、全て飲み込んで話を聞いていれば、
「さすがに逃げ切れないと思って、近くの家の裏口で、変なおっさんに追われてるから、避難させてくださいって頼んだんだけど、そっから出てきたのが、メチャクチャ、ゴツイくてデカいイカツイおっさんで、腕とか顔に傷はあるし、グラサンかけて、しかも手に血の付いた包丁持っててさ。
さすがの俺も、ヤバいお家かな? 俺、死んだ? とか思うレベルだったわけよ。でも、『中に入ってな』って言われて、入ったら台所が生臭くて、赤黒かったんだよ」
「それ、ここで話しても平気な話!?」
たまらず和樹が声を上げたが、拓斗は笑っていた。
「俺もさ、逃げたほうがいいかな? とか思ったんだけど、外から『子供泣かせるアホォはどこだァ!? オラァ!!』って聞こえてきたから、あ、いい人って思ってそこにいたんだけどなー」
「そ、その度胸がスゲェ……」
木在の言葉に、全員が頷いた。普通の精神を持っていれば、隠れて逃げだすだろう。
「あ、結局、その人、B級能力者の漁師でさ。ちょうど、朝とってきた魚捌いてたところで、朝ごはんごちそうになったんだけど、それ以降おやっさん、俺の夢を応援してくれててさ……おやっさんのためにも、俺はスターになりたいんだ!」
「いい話“風”だな」
つまり、血のついた包丁は魚の血で、生臭さも魚、台所が赤黒いのも魚の血ってわけか。会ってからまだ数分ではあるが、はっきりいって、この拓斗はこの五人の中で一番ヤバい気がした。それは多分間違ってはいなかったと、全員が思っている。
そして、なんだかおもしろそうな予感もしていた。A級能力者の特上切符の行き先はひとつかもしれないが、このチームで進む道は、波乱に湾曲、目的地にはたどり着くかもしれないが、それはただのA級能力者ではない予感が、心の中に生まれていた。
「あ、そうだ! チーム結成記念に写真撮ろうぜ!」
拓斗が携帯を取り出し、腕を精一杯伸ばし、全員の体の一部がどこかしら入るように工夫するものの、その半分以上を拓斗の顔が占領していた。
「俺、見切れてない!?」
「腕一本は言ってればいいだろ?」
「ひどっ!」
「よっしゃ! 撮るぜ? はいピー――ふぎゃっ」
遠慮なく、和樹と遼太に顔を抑えられた拓斗は変な声を上げながら、逃れようとするが、遼太が携帯を持った手を掴むと、
「ピースっ!」
シャッターを切った。
「ちなみに、これがその時の写真」
拓斗が携帯を操作して見せると、ルーチェは先程までの顔以上に微妙な顔をした。
「なんだか、この状態までの光景がすぐに想像できて……」
だいぶ拓斗たちに毒されてきているルーチェに、木在が困ったように頬をかくが、こればかりはどうしようもない。
「でも、みなさんといると、なんでもなんとかなっちゃいそうな気がして、不思議ですね」
「それを世間じゃ、お気楽って言うんだぜ」
「お気楽上等! リラックスしてる方が、いい結果出せるって聞くぜ!」
「リラックスしすぎって話だろ?」
笑う三人につられ、ルーチェも笑い出す。
***
部屋に漂う物々しい雰囲気に、小人内は静かに部屋を見渡す。別に、何かおかしな物があるわけでもない。ただの執務室だ。だというのに、この空気の重さ。その全ては、目の前の男が発しているのだろう。
「それで、その娘から取れた、増殖を止める物質の効果の実証はできたのか?」
「はい。おそらく、検体108を倒したのも、そのおかげでしょう。でなければ、半永久的に分裂可能な怪人を倒すなど不可能です。今回は、核に直接物質を打ち込むことで、分裂を止めたようですが――」
「その物質の培養はできたか?」
「い、いえ! それはまだ……ですが、それは向こうも同じでしょう。娘の血液から直接精製しているはずです」
そう聞くと、男は少しだけ口元を歪めた。
「ならば、先に手を打っておいてよかった」
その言葉に小人内が聞き返せば、男は冷たく言い放った。
「君のことは、研究については信用している。だから、研究だけしていたまえ。怪人とその物質の培養。天才の君なら容易だろう?」
「もちろんです。お任せ下さい」
これ以上、お前に話すつもりも作戦に参加させるつもりはないと、そう突き返されていた。小人内は逃げるように、その部屋を後にすると、すぐに入ってきた体格のいい男。
「能力者二名の護送、終了いたしました」
「そうか」
港は、タコツボの影響でしばらく使えない。つまり、研究所の人間が逃げ出すことは、まだできない。しかし、人質だった研究員が逃げ出した今、外へ逃げ出されてしまった日には、帝国が、自分たちの立場が危ういことなど分かっていた。猶予は、港が直るまでの数日間。
「まったく、バカな奴だ」
適当に罪状や理由を突き付けはしたが、言い逃れはできずとも、逃げることは出来たはずだ。特に、局長の暗殺を食い止めていた能力者は、任務を優先するなら、わざわざ捕まるようなマネをする必要はない。どうにでも言い逃れして、リーダーの首一つで済ませてしまえばよかった。それができないのが、子供なのだろうが。
だが、脳波をコントロールできる能力を応用すれば、いろいろなことに使える。そちらについては、小人内とは別の研究者に任せ、男にとって必要なのは、その能力者が手の内にいることだ。
洗脳していた能力者が死ねば、洗脳は解ける。そうなれば、ルシファエラの命は、男の自由だ。ルシファエラの命が惜しいなら、その娘であるルーチェを差し出せと、改めて交渉すれば、あちらもある程度の譲歩をするしか無くなる。
「乗ってきますかね?」
ルーチェは向こうにとっても重要な人物だ。それを、いくら局長とはいえ、引き換えるとは思えない。
「子供というのは、そういうものだよ。どこか、自分がヒーローだと勘違いしている、無力な奴らだ。あぁ、だが、念の為、二つの施設に護衛を送っておけ」
その交渉の前に、能力者を救出でもされたら、交渉どころではなくなる。頷いた男は、早々に部屋を出た。
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