第19話
俺はヒースに、周辺の木の枝を集めるように言い、俺は食べれるものを探すという役割分担になった。
この前と同じように、ブラッドウォーターを発動させ、森林内を高速移動。
ファントムスネークにかけられた幻術魔法は、もう解けているので木に衝突してしまうなどというまぬけで恥ずかしいことは起こらない。
ランテージベアは、連日夕食にして食い飽きたので、できれば別の魔物にしたい。
そう考えながらも高速移動。
おぉ...見つけた。
全身が白い毛で覆われていて、瞳はゴブリンと同じように赤く、とてもかわいい見た目をしているウサギ、ローフラビット。
だがこの見た目に反して、鋭い牙と、荒い性格が特徴の魔物。
しかも、集団を行動をするので、気が付いたら囲まれていた、なんてゆうことがざらにある。
このかわいい見た目に油断してしまって、体中を食い破られて殺されている冒険者は毎年出ている。
俺の目の前にいるのは、合計で10匹、周囲に潜んでいる可能性はあるが、強力な攻撃をすれば逃げていくだろう。
瞬時に俺は、目の前にいるウサギ達に向かって、ウォーターキャノンをぶち当てる。
通常の場合よりも、サイズを大きくしたバージョンのウォーターキャノン。
まぁ大きくなる代わりに、威力が下がってしまうのが欠点だが、ローフラビットなら大丈夫だろう。
予想どうり、10匹全員パタンと倒れている。
そのあとには、周囲の草むらから音を鳴らして、ローフラビットは逃げていく。
俺はその場で10匹のローフラビットを解剖し、皮と肉をナイフで切り分ける。
しっかりと血抜きをし、ポーチに入れたが。
「ぎゅうぎゅう詰めだな...こりゃ...」
さすがに10匹はきつかったようだ。
俺は、愛用のポーチが壊れないことを祈りながらも、ヒースとの集合地点に向かった。
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「ご主人様~...遅いですよぉ....」
ヒースが待ちくたびれた様子で、文句を言う。
どうやらかなり前に木の枝を取り終わっていたようだ。
「すまんすまん」
俺は、枝と枝をこすり合わせて火を起こさせる。
ヒースと契約前は、火を起こすためにかなりの時間を要したが、今では5分程度で起こせるようになった。
これは、精霊術師のスキルがあってこその成長なので、少しうれしいものだ。
まぁ、そんなことを言っても、契約後は、力加減が難しすぎて、何度も何度も木の枝を折ってしまったことが、深く記憶に刻まれている。
結局身体能力も物事には重要なのだが、経験というものも、必ず必要なんだと実感した。
ポーチからヒースラビットの血抜き済みの肉を取り出し、それぞれに串を刺していく。
そして、そのヒースラビットを刺した串を焚火の近くに置いて、じっくりとやいていき、いい感じに中まで火が通っていることを確認すればすぐにとり、ヒースに渡す。
俺もとり、かぶりつく。
「うまい....」
舌がばかになっていてもうまい....
ちゃんと弾力があって、肉汁もある。
やはりずっとジャンプしているから、足の筋肉が発達しているのだろうか?
そう思っていながらも、ヒースラビットの串焼きを堪能してゆく。
ヒースも、申し分のない顔をしている。
まだまだ量はある、
「ヒース、どんどん食べていいぞ」
そういうと、ヒースの食べるスピードが、がぜんと上がっていく。
我慢でもしていたのだろうか?
なんにせよ、この時間はとても幸せな時間だった。
ヒースラビットの串焼きを、すべて食べつくしたヒースは、すぐに寝てしまったようだ。
俺もそれに続いて、寝る。
少し肌寒いが、我慢我慢。
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朝になり、いつもどうり俺の方が早く起きて、ヒースをたたき起こす。
はぁ...こいつ起こすの意外と体力使うんだよなぁ....
面倒なので、もう魔法で作った水を全てぶっかけてやった。
しかし、反応はない。
.....そういやヒースは水の精霊か..忘れていた...
だとしても、結構強めな衝撃があるはずなんだがな...
結局俺は、体を揺すり、起こしてあげた。
「おい、もうもどるぞ」
「あと1年間...」
「ふざけんな!」
俺は、もう面倒くさくなったので、おんぶして町まで歩いて行った。
その途中に、アリスに出会い。
「その....明日予定空いてる?」
.....意外だな...
「うん、空いてるよ」
「それじゃ、明日、あそこの噴水で会いましょう」
そう言って、アリスはどこかに行ってしまった。
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