第17話

「ちょっと~ご主人様~、なんで私のベットで寝てるんですか~?」


ヒースが、俺の体を揺すりながら問いかける。




「うっさいな~...少しぐらいいいだろ...」


俺は、気絶するように倒れて、寝てしまったが、そのあとにまた起きて、ヒースのベットによしかかっていた。




「あ!起きてたの!じゃあいいや!」


だったら起こすな!




「はぁ....これじゃ寝れるものも寝れない...風呂入ってくる、入ってくるなよ」


「は~い、おとなしくしてま~す」




本当か?こいつ?


体を洗いながらも考える、




白教会の情報は手に入らなかったが、アリスと関係を作れたのはとても好都合だった。


アリスを通じて、白教会の情報を手に入れることが...できる...かもしれない。




...この生活も、あと少しで終わる、気を引き締めていかなば。


後ろから、ガシャン!と、大きな音が聞こえる。




どうやら、ヒースがまたここに来るようだ。


「ご主人さ...」




その瞬間、ヒースは水の壁に包まれる。


ウォーターウォール、俺がウォーターシールドを応用して作った魔法だ。




ヒースが入っている水の壁は、硬度をほぼ無くしているため、その中に入ることができているが、高密度にすることによって、本来の硬度を発揮する。




壁の中でヒースが口をパクパクしている。


「ヒース、生物はな!学習するんだよ!罰として、10分間放置だ!」




溺死はしないだろう、水の精霊なんだし...


久しぶりに、ヒースに勝った気分だ。




そのあと、ヒースからのお返しとして、巨大な水の手のようなもので殴られた。


俺もあの魔法を使ってみたいな...あとでヒースから聞いておくか。




そのあと、俺はヒースと一緒にギルドに向かった。


「今日は何を受けるんですか?ご主人様?」




「う~ん...ファントムスネークの撃退クエストかな...」


ファントムスネークは、幻術魔法を使ってくる蛇で、見つけることが困難な魔物。




「了解です!それじゃあ行きましょ~!」


いつもどうり1時間程歩いて、ロック森林に着く。




意外と遠いんだよな....


ファントムスネークは、とても素早く、森林の景色と同化してることが多いため、1日で見つけることは困難なため、ほとんどの場合は野営をする。




まだ夜にはなっていないので、ファントムスネークを探す。


「ヒース、周りをよく見ろよ」




「は~い、分かりました~」


この状態のままで、3時間が経過した。




「....ご主人様..これいつまで続くんですか?..正直に言ってもう、目が限界です..」


「我慢しろ...こんな地味なクエストだけど、報酬は破格だから」




いや、こんなに地味なクエストだからこそ破格なのか。


そしてまた3時間が経過。




「ご主人様..お腹へりました...」


ヒースが腹をさすりながら、こちらを見る。




「分かった、ほら!」


俺は、ポーチにあった非常食をヒースに向かって軽く投げる。




「干し肉...」


「このあとにクマでも見つけて調理するから、我慢してくれ...」




日が沈み、肌寒くなる。


この日は結局、ファントムスネークを見つけることはできず、やはり野営になった。




「ヒース、少し待っていてくれ、ちょいと肉取ってくる」


また町まで戻って、飯を買うのもいいが、それだと時間がかかりすぎるので、ロック森林で調達するのが1番手っ取り早いだろう。




「ブラッドウォーター」


森林内を高速で移動し、飯の原材料となりうる生物を探す。




「いた...」


ランテージベア、こいつは懐かしい。




すぐに懐に潜り、全身をサックナイフで切り裂く。


食べることができる部位をポーチに入れ、ヒースがいるところまで、また高速移動。




「ヒース、戻ったぞ」


「も~遅いです!ご主人様!」




頬を膨らませてこちらを見る。


「悪かった、そんじゃ調理するか...」




俺はすぐに木の枝を集め、火を起こす。


そういえば、野宿って初めてかも。




俺は、ポーチに入っている肉を取り出し、普通のナイフで食べやすいサイズに切り分ける。


サックナイフで切り分けようとも思ったが、食事前にあの不気味な光景を見たくないのでやめた。




単純に塩をかけて、火を通してから食べる。


「う~ん....微妙...」




「え!?結構おいしいと思ったんですけど!?」


ヒースが驚いた顔をして、俺をジト目で見る。




あ~..ローズベアの肉を食ってしまったせいで、俺の舌が、贅沢な物しか受け付けないようになったのか...




「もしかして...私が寝てる間に、お高いレストランにでも行きましたか?」


「いやぁ..別に?..俺が疲れてるからじゃないかなぁ?」




そのあとに、ヒースに脅されて、自白した。


「へぇ~、私抜きでお高いレストランに行ったんですかぁ~、へぇ~、しかもタダ飯で!」




俺は、ヒースの前で正座をしている。


「ふぅ~ん..許すわけありませんよね!」




それと同時に、この前の巨大な水の手を俺に向けて振りかぶる。


「く~らえ~!」




もちろん、瞬時に避けることもできずにぶん殴られた。


これ普通に痛いんだよなぁ...

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る