第16話

何も聞こえない....


体も動かない....手も動かない....って!どこここ!




俺は今、椅子に縛り付けられている、手には鉄の拘束器具がついている。


あ~...俺、捕まったのか。




装備も全て奪われてしまっているようだ、奪われたというか...部屋の隅に置いてある。


白教会の総督幹部、アリスに鉢合わせして、速攻腹パンされて、気絶し、今に至る。


「いやぁ~どうしよ...」




今の状況は....はい、かなりまずいですね。


魔法で拘束器具を壊そうと思ったが。




「ですよねぇ~」


魔力が全く集まらない。




こうなてってしまっては、もう何もできなくなってしまう。


辺りを見渡すが、真っ暗な部屋で、鉄格子は見当たらない、俺以外に捕まっている人はいない。




これじゃ助けも呼べない。


あ~、詰んだな、俺。




脳内で、終わったな~っと思っていると。


ガシャン!と、大きな音をたてて、扉が開かれる。




なんだ?俺のことを拷問するために、屈強な男でも出てくるのか?


しかし、その扉の奥から現れたのは、金色の髪の少女のアリスだった。




いや、どっちにしろキツイわ...


アリスは、この見た目に反して、とんでもなく強い。




「あ、起きたの」


俺は、その発言を無視して、沈黙を貫き通す。




「少し待って」


アリスは、部屋から出て、どこかに行った。




「え?結局なに?」


俺に待ち受けてるのは、痛くてつらい拷問じゃないのか?




脳内で混乱していると、また部屋にアリスが来る。


「お腹、空いたでしょ?」




アリスの手には、スープらしきものがあり、それをすくったスプーンを俺に向ける、俺のために持ってきたのか?作ってきたのか?


まぁ、どちらにせよ自白剤や、毒が入っていたら面倒なので、もちろん無視をする。




「大丈夫、何も怪しいものは入っていないから」


そんな言葉を信じるほど、俺は甘くない。




抵抗の意志を見せると、アリスはスプーンの中にあるスープを口に含む。


.....なんだ、俺に対する精神的な嫌がらせか?




心の中で毒を吐いていると、アリスは、こちらに向かって顔を近づける。


えっと~、これって~。




どんどん顔が近づいてくる。


うん、完全に口移ししようとしてるね、この人。




「分かった!分かったから!ちゃんと飲みます!」


俺が、降伏すると、アリスは残念そうな顔をして。




「そう...」


いや、なんで落ち込むんだよ...




アリスは口移しをあきらめ、どこからか椅子を持ってきて、俺の目の間に座る。


「はい」




スープが入っているスプーンを俺に向ける。


俺はそれを口に含み、味わってから飲む。




うん、普通の野菜スープだな..特に変な味はしない。


てか、これどんな絵面だよ。




この食事は、10分程続いた。


「全部、食べた」




はい、美味しくいただきました。


アリスは、また部屋から出た。




う~ん、アリスは一体何をしたいんだ?


俺はそう考えながらも、同時進行でこの場からどうやって逃げ出すのかを考える。




魔法は使えない、手も動かせない。


いや、無理だよ、やっぱり。




もうあきらめて、自分の死をまとう。


ありがとう、俺の今までの人生...さようなら、人生。




俺が、悟りを開く瞬間に、また重い扉が開かれる。


現れたのは、またアリス。




俺の前にある椅子に座り、俺を見る。


「何しに、ここに来たの?」




さぁ...ここをどうしの凌ぐか。


「どうやったら、白教会に入れるのかと思って....」




さすがにきついか?.....


アリスの顔を伺うと。




瞳をキラキラと光らせて。


「本当!それじゃあ申請してくるね!」




やばいやばい!教会に仕えるなんてまっぴらごめんだ!


「いや!その、あくまで検討中だったので....」




そういうと、アリスはまた残念そうな顔になり。


「そう...」




また落ち込む。


「その~...そろそろ拘束を解いてもらいたいんですが...」




いや、これは無理か。


アリスは考えるような仕草し、俺に提案をもちかける。




「その拘束を解く代わりに、なってほしいことがあるんだけど...」


なんだ?あなたの奴隷か?




「えっと~..その.....」


何だ早く言え。




「友達....友達なってください...」


アリスが、顔を赤くしながらも、俺を見る。


は?....総督幹部ってこんなに甘くていいのか?




「はい...友達になりましょう...」


いや、だからさっきからこの絵面は何なんだ?




「私は、白教会の総督幹部、アリス・イノセンス・ロマロフ」


あなたも貴族ですか...気のせいかもしれなが白教会には貴族が多い気がする。




「俺はアキト、冒険者だ...」


こうして、拘束を解かれて、装備も着て、無事に白教会の拠点から抜け出した。




「情報は...諦めたほうがいいな」


次、アリスに捕まれば、完全に逃げれなくなる。




俺は無事に宿屋まで戻るこ都ができた。


部屋に入ると、まだヒースは寝ているようだ。




俺も疲れた,...寝よ....


俺は、すぐにその場で寝てしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る