第15話

「おいヒース起きろ!ヒース!」


昼になっても寝ているヒースを起こす。




「あと24時間.....」


「一日過ぎるだろ!」




体を揺さぶって、強引に起こす。


「おふぁようございます...」




あくびをしながら、背を伸ばす。


「俺はちょいと出かけてくるから、少し待ってくれ」




今日は、白教会の奴らの拠点に潜入する予定だ、精霊使いを殺す理由を突き止めるためである。


「分かりました~、それじゃおやすみなさ~い...」




いやまた寝るのかよ....


まぁ、そっちの方が都合がいい、潜入においてヒースは少し足手纏いだ。




俺は宿屋から出て、作戦を考える。


まず、どうやって拠点を見つけるか...




この点については、町にいる、アリスやユリマが来ていた服装をしている奴らを尾行すればなんとかなるだろう。




町の中を探していると、全身が白い服装の男を発見。


俺はその男を尾行する。




その男は、どうやら食べ歩きをしているようだ...


早く拠点に行け!そう心のなかで思っていると、食べ歩きをやめて、ロック森林の方に歩きだした。




しかし、町からロック森林までは1時間程なので、バレずに尾行するのには、細心の注意が必要だった。




そして、やっとの思いで、拠点らしき場所にたどり着いた。


「これは....」




そこにあった建物は、あまりにも大きすぎた、こんなサイズの建物がロック森林にあったのか?


貴族の屋敷よりも一回り大きい教会があった。




「骨が折れそうだな、こりゃ」


帰ろうとは思ったが、尾行にかかった労力を考えれば、そう簡単に帰れない。




俺が尾行していた男は、正面から門番に何かを見せて、建物の中に入っていった。


しまったな....どうやって入ろうか。




まだ人を殺すには抵抗があるし,,,門番を殺して強行突破っていうのはできない。


俺は、入り口の近くまで隠れていき、門番の視線内に石を投げた。




「ん?なんだ?」


門番がその音を聞きつけて、石のところまで近づく。




よし!これで入れる!と思った俺は、すぐに建物の中に入る。


「以外と警備が緩いな....」




ところどころ警備兵がいるようで、様々なルートを巡回しているようだ。


このバカでかい建物から情報を盗むには、かなりの難易度だな。




いっその事、その警備兵から情報を聞き出そうと思った俺は、廊下の角に隠れて、警備兵を待つ。


ん~...後ろから警備兵が来たら....どうしよう。




俺が今待っている方向に来れば、拘束して脅せば、情報が手に入る、しかし、後ろから来れば。


「侵入者!侵入者だ!」




と、仲間を呼ばれて、フルボッコにされるだろう。


角待ち作戦をあきらめた俺は、廊下のところどころにある部屋の中に入り、小さな穴をあけて、警備兵を待つことにした。




これなら、バレる心配はない。


5分程待った後、警備兵が穴の前を通る。




俺は、すぐに扉を開け、警備兵を後ろから拘束。


ナイフを首元に当て、




「喋るな」


と、小声で脅し、部屋の中に入る。




「お...おい!」


と、警備兵は俺を見るが。




「喋るなといったはずだ」


首元に当てていたナイフで、少し皮を切る、そこからは当然血が出てくる。




警備兵の顔が、真っ青になる、どうやら実戦経験がまだ浅い、ルーキーのようだ。


これなら、情報を引き出すのは楽そうだ。




「今から質問をする、最低限のことしか喋るな」


警備兵は、コクリとうなずき、質問に耳を向ける。




「資料室はどこだ」


こんなでかい建物だ、資料をまとめている部屋があるはずだ。




「し、資料室?...確か、3階の、階段を上って、目の前にある廊下の一番奥の部屋だよ....なぁ頼むよ、命だけは..」


そっか、情報は引き出せた。




俺は、首を絞めて、意識がなくなるまで絞め続けた。


死んでないよな?...




少し不安はあるが、警備兵を、その部屋のクローゼットに入れておいた。


階段を見つけて、1階から三階まで登り、さっき言っていた、奥の部屋まで突き進む。




その最中に、声が聞こえて、すぐに止まる。


「なぁなぁ、最近有名な冒険者って知ってるか?」




「有名な冒険者?あぁ...確か、魔法戦士の~誰だっけ?」


どうやら、警備員たちが話しているようだ。




「アキトだよ!ほぼほぼ単独で魔族を倒したんだよ!」


「単独で?おいおい冗談も程ほどにしろ、無理に決まってんだろ」




この会話は...どうやら俺が知らないうちに、有名人?になっていたそうだ。


有名になりたくて冒険者になったわけじゃないが、少しうれしいな。




とゆ~か、危なかった....あと少しでバレるところだった。


安堵のため息をつき、警備兵がいなくなったことを確認した俺は、目の前の資料室まで行こうとする。




よし!あともう「なにしてるの?」


......え?....




恐る恐る後ろを振り向くと、


金色の髪の毛の少女が不思議そうにこちらを見ていた。




俺はすぐに、サックナイフを取り、戦闘態勢に移ろうと思ったが、


「ぐふ!」




アリスの強烈な腹パンによって、それは防がれた。


い..意識が持ってかれる。




こうして、潜入に失敗した、俺だった。

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