第13話
俺は、軽く殺されそうになった後に、ヒースを起こしてギルドに向かった。
この前の討伐クエストによって、俺のプレートランクは白級から鉄級まで上がっていた。
「ヒース、何か受けたいクエストある?」
俺は、今のところ面白そうなクエストがないので、ヒースを頼る。
「う~ん...撃退クエストもいいですけど、たまには採集クエストもいいのではないでしょうか?」
採集クエスト...少し嫌だな...
「分かった、ちょっといいの選んでくるよ」
俺は、回復ポーションなどに使われるヒシンという植物を取るクエストを選んだ。
「ポーションの存在、忘れてたわ...」
戦士や魔術師などの職業の場合は、回復手段がポーションしかないため、クエストに行くときは必ずポーションが必要なのだが、今の俺は、回復魔法と攻撃魔法を使えるため、ついつい忘れてしまうことが多い。
ヒシンは、日光が当たっている木の近くに生えていることが多いらしい。
見た目は、花びらが白色で、とてもいい匂いがするとのことだ。
クエスト内容は至って単純、ヒシンを3本程収納してほしいとのことだ。
ヒシン1本でポーションが50本作ることができ、かなり濃厚なエキスなのだろうか?
ロック森林の中で、ヒースに語り掛ける。
「ヒースは、特定の植物を探し当てるのって、得意か?」
ヒースはピカピカの笑顔で答える。
「い~や、全然得意じゃないよ!」
そんな風に言われてもな...
採集クエストは、魔法に頼って探し当てることはできない。
だから経験が必要なのだが、少々時間がかかりそうだ。
未だに一個も取れていないときに、ヒースがはしゃいで木のもとに走る。
「ご主人様!これじゃないですか?」
ヒースが持ってきた花は、花びらが白く、客観的にみるとヒシンだが。
いい匂いはまったくしない、それどころか、少し臭い...
ヒースが持ってきた花に対して、
「キュアウォーター」
花の中に毒がないか確かめてみると。
「これは...」
この花は、麻痺系の毒を持っているようだ。
この前の柄の悪い男達が使っていた毒とかなり似ている、調べてよかった....
「ヒース、この花は探してる花とは少し違うみたいだ....」
ヒースは、落ち込み、俺に対して頭を下げて、謝罪の言葉を述べる、
「ごめんなさい」
俺はその下げた頭に手を乗っけて、ポンポンと軽くたたく。
「気にしなくてもいいよ、ヒースが一生懸命探していることはわかったから、一緒にがんばろ?」
ヒースは、落ち込んでいた顔から、どんどん笑顔に変わり、
「はい!了解です!」
と、元気よく返事をするようになった。
これなら、案外早く終わるかもしれない、感情は最も行動に影響を及ぼす。
「ご主人様!これではないでしょうか!?」
いやすごいな、俺の何倍動いているんだ?...
「すごい...3本とも全部ヒシンだ...すごいぞヒース!」
俺は、ヒースを褒めたたえる。
「今回も頑張ったから!ご褒美!」
う~ん...またか...
最近ヒースとのスキンシップが多いような気がする...
信頼を上げるためとは思っているんだが...ねぇ?...
そう、客観的にみると、完全なるロリ〇ンである...
でも、公の場ではないので、ヒースの頭を撫でる。
撫で始めて3分間はとても気持ちよさそうな顔をしているのだが、10分間たったら、ほぼほぼ耐久勝負の様になっているのが現状、これが当然となる日が来るのだろうか?
こうして、ヒースが恥ずかしさに耐えれなくなって、無事ギルドに戻り、クエストを達成できた。
俺はヒースと宿に戻り、風呂に入るように命じる。
ヒースは俺のことを見て、
「え~?私が先ってことは....ちょっとご主人様~、残り湯とか飲まないでくださいよ~?」
こいつ....
「そんな事しないし!お湯もちゃんと変えるわ!」
はぁ...今日は疲れた...
俺は、目の前のメモ書きを前に、ため息をつく。
「お詫びなんていらないのに...」
そこには、白教会の関係者と思われるユリマという少女からのお詫びをする場所。
集合場所は、このサマール王国の中で、最も有名な超高級レストラン。
貴族なども行っているという、とんでもなく高いところ。
「しかもお詫びで、な~んでこんなところ選ぶのかなぁ...」
なんで俺がこんなに悩んでいるのかというと。
そのレストランに行っている人たちは、それ相応の服装をしているが、その中に、ポツンと一人だけ貧相な服装をしていることになるので、当然目立つ。
行きたくない気持ちと、そんなレストランの料理を食べたいという気持ちが渦巻く。
まぁ...結局のところ絶対に行くのだが、一つだけ決めていることがある。
「ヒースと一緒に行ったら終わるな....」
ユリマにも変な目で見られるので、ヒースは連れて行かない...それが絶対条件だ。
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