第12話

いつもどうり、朝早くにロック森林でブラッドウォーターの練習をしている。


今のところ1分20秒程継続が可能となった。




ブラッドウォーターは、全身に大量の浸透性の高い水を行きわたらせ、ウォーターシールドなどの、硬い水で水が通るところをコーティングするため、まぁまぁ魔力を消費する。




練習が終わったので、帰ろうと思ったが、サックナイフを見て、自分の血を吸わせようと思った。


サックナイフで指先を軽く切る、そして、そこから出てくる血をサックナイフの刀身にかける。




その瞬間に、血は次第になくなっていき、完全になくなった途端、赤く光出す。


「何回見ても不気味だな....」




このナイフはいつ見ても不気味だが、血を吸わせるときはさらに不気味になる。


だが、普通のナイフでは、俺の復讐相手である魔族には歯が立たないことは明確、多少のことは気にしちゃいられない。




そもそも魔族ってどこにいるのだろうか?魔族という存在は誰もが知っているが、どこに拠点を置き、どこの領域で生息しているのかは、誰も知らない。




嘘かもしれない噂だが、魔族の拠点や生息している領域は、勇者が生まれるとされる王国が知っていて、その際に勇者一向に知らされるらしい、そして、何故情報が隠されてるのかというと、理性がない魔族が人間を食べると、覚醒し、理性を保てるようになり戦闘能力が格段に上がってしまい、人間側に勝ち目がなくなってしまうから、らしい.....




噂にしては、本当にありそうな話だな...


そろそろ時間になったので、ヒースが眠っている宿に向かおうとした瞬間、前からドンッ!と、地面が割れるような音がした。




その瞬間、前方から白い服装をした少女が、こちらに向かって剣をもって、猛スピードで俺のもとに斬りかかる。




俺はとっさにブラッドウォーターを発動し、少女の斬撃をサックナイフで受けとめる。


そして、少女は様々な方向から斬りかかる。




俺は、それを全て受けとめる、しかし、とてつもなくその斬撃は早く、ブラッドウォーターを使ってもギリギリだった。




合計で7回程斬撃を受け止めたところで、少女の後ろから声が聞こえる。


「ちょっと~アリスさ~ん!急にどっか行かないでくださいよ~」




随分とのんきな声だな...


そうして、後ろから来た少女を確認した少女は剣を鞘にしまい、後ろから来た少女に対して、




「ユ...ユリマ...これはその....精霊の気配感じたから....」


いや怖いな、なんだこいつら。




「何を言ってるんですか!?抹殺条件は、反政府思想があると見られる精霊使い、ですよ!しかも、精霊の気配って言ったって、その人が精霊使いだとは限りません!」




そう、怒った声で言うと、アリスという少女は、


「ごめんなさい...」




と、俺に対してペコリと頭を下げ、謝る。


「今回はアリスさんが剣を使わなかったから、相手も無事ですみましたが、これからも気をつけてください!」




少女が、そう警告をすると、アリスは、


「剣は使った」




そういった瞬間、ユリマは顔を固める。


「え?素手でやったわけじゃないの?...」




「剣で、ちゃんと全力の7連撃で殺そうとした、でも全部受け止められた」


そうアリスが言った瞬間に、ユリマは固まっていた顔から、驚いた顔に変わり。




「え!?ちょっと待ってください!?ってことはこの人が総督幹部のアリスさんの斬撃を受け止めったってことになりますよ!?」




「うん...完全に受け止められた....」


「って!こんなことをしている暇ではありません!そこの人!うちの先輩がご迷惑をおかけしました!お詫びのほどはまた後日致しますので!ではさよなら!」




そう言って、ユリマという少女は、アリスを担いで、森の中に消えていった。


「え?結局なに?」




困惑しながらも、考えた結果。


精霊使いの抹殺命令、白い服装、ここ最近活発になってきている、白教会とやらの関係者だろう。




だが、さっきの奴らを見た感じ...やば!殺しちゃった...でもいいやみたいな感じで死者を出しているのだろう。




「できれば、もう関わりたくないな~」


でもなぜだろう...白教会とは、切っても切れない何かがあるように感じた。

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