第11話
残り30秒、できればブラッドウォーターの効果時間内には倒したい。
「ヒース!そのままウォーターキャノンを続けてくれ!」
「了解しました!」
と、やる気のある声が聞こえた。
まずは、正面からデビルウルフに切りかかる、デビルウルフはそれを爪で防御する。
俺は、それを予想し、横に移動してデビルウルフのもう片方の腕を切り落とす。
これで奴は片手しか使えない、そう思った俺は首に切りかかり、とどめを刺そうとしたが、デビルウルフが出した、黒い衝撃波によって阻まれた。
それと同時にブラッドウォーターの効果が切れる、どうやら体が限界のようだ。
俺は遠くに飛ばされ、カーネストも飛ばされる。
「なんだよ...あの黒いオーラは...」
先ほどのデビルウルフとは打って変わり、黒いオーラをまとっている、しかも俺が切ったはずの片手が再生されている。
「本気じゃなかったてことじゃないかな?」
カーネストが俺に言う。
「倒せそうですか?」
俺はカーネストに聞く、だが、
「無理..かな?...格が違いすぎる...」
しかし、カーネストは前に出て。
「冒険者なら、どんな状況でも立ち向かわないとね!」
カーネストが大剣を構えて、デビルウルフに対して走る。
「ヒース、ちょっと来てくれないか」
俺はヒースを呼び、とある提案をする。
「え!?ご主人様って魔法を使えたんですか!?」
あ~そういや言ってなかったな。
「とにかく、時間を稼ぐためにカーネストを援護してくれ、分かった?」
「了解です!」
俺はその間に、高威力の水魔法の準備をする。
ヒースはカーネストと共にデビルウルフの足止めをしている。
「き...君は?...」
カーネストがヒースに尋ねる。
「喋る暇があったら手を動かす!」
ヒースが強めにカーネストに言う。
カーネストは横に大剣を振り払うと同時に光剣の斬撃も放ち、一気に2回の攻撃をデビルウルフにくらわせる。
ヒースはウォーターキャノンで、すかさず援護。
デビルウルフはしびれを切らしたのか、一旦カーネストから離れて、何かをため始めた。
ヒースが何か悪い予感がしたのか、カーネストに、
「そこのおじさん!そこから離れた方がいいよ!」
と、警告し、それを受け取ったカーネストは大剣をしまい、何かをためているデビルウルフからさらに離れようとした瞬間に、デビルウルフから黒いブレスがはかれた。
ブレスはあたり一面を黒の炎で燃やし尽くす。
ギリギリカーネストは避けられたようだ。
「カーネスト!ヒース!ちょいと衝撃波がくるから備えてくれ!」
俺は、魔力を今の状態で極限まで一部の部分に集中させ、その魔力を水に変化させ、一気に放つ。
「コンプレッサー(高圧力放水)」
見事にデビルウルフに直撃し、体を貫く。
デビルウルフが纏っていたオーラが消え、倒れる。
「やっと終わったか....」
俺は休憩しようと思ったが、
「あ...手当しねぇと...」
重傷者は多数いる、
「ヒース、重傷者の手当てをするぞ」
少々だるいが、少なくとも今回のデビルウルフ討伐作戦に協力してくれた冒険者たちだ、一人でも多く生還させたい。
「え~..もう魔力カラカラなのですが...」
ヒースがジト目で俺の目を見る。
「大丈夫だ、魔力を回復させるポーションなら何個か持ってる、ポーション飲んで、元気だせ」
この後、重傷者の治療をするために30分程時間がかかったが、無事180人程生還できた。
カーネストが、ギルドの近くにある酒場で声を張り出して叫ぶ、
「デビルウルフ!討伐成功に!乾杯!」
ラム酒が入った、木製の入れ物をぶつけ合い、みんなで話し合う。
カーネストが俺のもとにやってくる。
「君!名前を教えてくれないか?」
おぉ...銅級戦士に声を掛けられるとは、実に光栄なことだ。
「アキト、白級の冒険者だ」
「アキト...覚えておくよ!これからもクエストで協力することがあるかもしれないから、よろしく頼むよ!」
握手を交わしながら、カーネストは俺に尋ねる。
「ちなみに~職業は?」
やはりそうなるか....最近は、前よりも精霊使いを殺す、白教会、黒教会とやらの動きが活発なので、精霊使いのと似たような職業の俺は、できるだけ他人には本当の職業を言っていない。
幸い、精霊術師は精霊使いとは違って、精霊のサイズがでかすぎて、そもそも精霊だと気づかれないので、自分の口から言わない限りバレることはないだろう。
近接戦闘ができて、魔法も使える職業.....
「俺の職業は魔法戦士、この子は俺の助手だ」
「魔法戦士!?中級職じゃないか!?だからあんなに強いのか...それならちゃんと納得いく...」
カーネストが、驚いた顔で俺を見る。
「まだ駆け出しですけどね...」
「今回のクエストでプレートランクも上がるんじゃないかな?」
「それじゃ!僕はあっちに行くよ」
カーネストはどうやら別のパーティーのもとに行ったようだ。
「ねぇねぇご主人様!その~ヒースは今日がんばったよね?」
ヒースが人差し指をぶつけながら、俺を見る。
「だから...その....」
俺はヒースを見る。
「ご褒美ちょうだい!」
......ん?...
「なんだ、そんなことか...何か欲しいものでも食べたいものでもあるのか?」
ヒースは横に首をブンブンと振り、否定する。
「頭..撫でて...」
.....そういやスキンシップとか全然とってなかったな。
俺はヒースの頭に手を乗せて、こんなことでいいのだろうかと思いながらも撫でていく。
意外とサラサラしているな....それに少し甘い匂いがする...手入れとかもしているのだろうか?
う~ん...後ろの方の髪の毛もちゃんと手入れをしているようだ...
ん?なんか手元がすごいくらい熱くなってきたな....
俺はヒースの顔を見ると、真っ赤になっていることに気づいた。
どうやら撫ですぎてしまったようだ。
俺は、ヒースの頭から手を離そうとするが、それはヒースの小さな手によって、またヒースの頭に手を乗せる。
「あともう少し」
こうして、ヒースの要求によって、30分程頭を撫で続けた
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