第10話

時刻は21時50分、俺は手甲に投げナイフをはめ、サックナイフを持つ。


サックナイフは血を吸えば吸うほど強くなっていく、特殊なナイフだ。




今のところ、俺の血しか吸わせていない。


強度は少ししか上っがていないようだ、なにせもったいなくて普通のナイフで済ませていたから、それが今になって裏目に出た、




「じゃあみんな、そろそろクエスト開始時刻だ、それぞれのチームは作戦場所に移動、合図を僕が送るから、それと同時にデビルウルフに攻撃を始めてくれ!」




総勢200人ほどの冒険者たちがそれぞれの場所に移動する。


Aが100人BとCがそれぞれ50人ずつらしい。




前方を確認する、そこには赤黒い毛で覆われている狼がいた。


「みんな、攻撃開始!」




カーネストは剣を空に振り、空に光が打ちあがる。


どうやらカーネストの剣技、光剣のようだ。




ばらばらになっているデビルウルフに冒険者たちが攻撃を始める。


「ヒース、行くぞ!」




「はい!ご主人様!」


着ているローブから顔を出し、俺の呼びかけに応じる。




ヒースには少々隠れてもらった、それもれのはず、こんな少女を危険な戦場に行かせるわけにはいかないだろう!なんていう意見が出てくるのは目に見えてる、だから少しの間隠れてもらった。




まだブラッドウォーターは使わない、最初から使ってしまっては、そのあとの動きが鈍くなる。


サックナイフを構え、デビルウルフに向かって走る。




どうやら今は、カーネストがデビルウルフと善戦しているようだ。


後方からは攻撃魔法が飛んでくる、いい作戦かもしれないが....




「うわぁぁぁ!」


デビルウルフが前衛を次々と裂き殺していく。




俺は、ヒースには中距離攻撃のウォーターキャノンを打つように命令し、デビルウルフに切りかかる。




デビルウルフはその攻撃を避けたが、それと同時に打たれたウォーターキャノンはよけきれなかったようだ、みたところ少しは効いているようだ。




カーネストはデビルウルフに向けて光剣の斬撃を放ち、すかさず突っみ、大剣で攻撃するが、デビルウルフはそれを片手の爪で受け止め、もう片方でカーネストを殺そうとしたが、俺はそのもう片方の爪をサックナイフで受け止める。




「お..恩に着るよ」


カーネストは力づくで大剣を振り下ろし、さらに攻撃を繰り返す。




俺もすかさずサックナイフで反撃をし、ヒースの攻撃魔法で体力を削っていく、順調だ。


デビルウルフから離れて他のBチームとCチームを見ると。




「えぇ...マジかよ...」


ほとんどが全滅、死亡してる人は少ないようだが、どれも致命傷を受けて、動けなくなってしまっているようだ。




このままではまずいと思った俺は全身に水を巡らせる。


「ブラッドウォーター」




全身に行きわたったことを確認した俺は、Bチームが担当していたデビルウルフに向かって高速移動、あまりにも急な出来事で、デビルウルフは困惑しているようだ。




俺は、そのすきを逃さず、首をサックナイフで切り落とす、引っかかる感じはまったくしない、さすが調合済み武器。




のこり50秒、次はCチームが担当していたデビルウルフに高速移動。


もう困惑はしていないように見えたため、すこしフェイントを入れてみよう。




片手の手甲にはめている投げナイフを全て投げる、当然それをデビルウルフは避けるが、その避けた方向を予測し、後ろには俺がいた。




そして、首を切り落とす、やはり一撃で殺せるのはとても楽だ、俺の筋力が上がったこともあるだろうが、ナイフの切れ味のこともあるだろう。




「き...君は本当に白級かい?...」


カーネストが俺に聞いてくるが、俺は、




「はい、ただの白級です」


残り30秒、あとはこの一匹だけだ、できるだけブラッドウォーターの効果時間内に終わらせたいものだ。

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