第8話
おじいさんとの賭けに勝ち、サックナイフを手に入れた俺だったが、今はヒースと共に商店街に来ている。
「ご主人様!今日は何をするんですか?」
ヒースがこちらを見ながら尋ねる。
「食べ歩きかな?何事にも休息は必要だし」
そういうと、ヒースは目を輝かせながら、
「食べ歩き!それはとても魅力的ですね!」
「今日はヒースが食べたいものなんでも食べていいぞ」
そう言って、俺はヒースの頭を掻きまわす。
「それじゃ、あの串焼きが食べたいです!」
ヒースが指をさした方向を見ると、そこにはランテージベアの肉を串に刺して、炭で焼いたものだった。
「すみません、この串3本ください」
「あいよ、銅貨5枚だよ」
そして、香ばしい匂いをまとっている串をもらう。
「はい、ヒースは2本ね」
俺は、三本の内2本をヒースに渡す。
「いただきま~す」
ヒースが食べるのと同時に俺も食べる。
噛むと、肉汁があふれてきて、炭火焼き独特のにおいがかすかに香る。
「うまい...」
俺が、余韻に浸っていると。
「そうですね、おいしいですね!」
リスの様に、口を大きく膨らませているヒースがいた。
あれ?2本でそんな口いっぱいになるか?
そう思いながらも、自分が持っている串にかぶりつこうとしたが。
スカッ、っとからぶった。
俺の串に刺さっていた肉はヒースに食われてしまったようだ。
「ヒースは食いしん坊なんだな」
こういった直後に、ヒースの顔が火山の様に赤くなったように見えたが、気のせいだろう。
そして、他の屋台をめぐっている時に、柄の悪い男に絡まれている少女がいた。
「なぁお嬢ちゃん、ちとお兄さんと遊ばねぇか?」
そいつらは、二人がかりで少女を口説いていた。
「やめてください....」
どうやら本当に嫌がっているようだが、余計なことにはかかわりたくないので無視しようとしたが、
「おい!そこのガキ!なに見てんだよ!」
この言葉に俺は思わず、
「は?」
と、喧嘩を売るような言葉を言ってしまった。
絡んでいる2人の内1が、こちらに指を鳴らしながら近づいてくる。
「ごめんねぇお兄ちゃん、こんなとこを騎士団に言われたら、俺たちはめんどくせぇことになるってことはわかってんだよな?」
「だからさぁ...」
その男は、そうゆうと同時に、腕を俺の首裏に置き。
「ちょいとの間、眠ってもらうよ」
男は注射器のようなもので手の血管付近に対してぶっさし、注射器の中にあった液体を体内に注入する。
余計なことには関わりたくないが、こうなってしまったからにはしょうがない。
それに、今ここでこいつらに暴行を振ったとしても、注射器を証拠として出せば俺は罪にはならないだろう。
「キュアウォーター」
体内に巡っている液体を全て無効化し、毒素が入っている水を手に移動させる。
その水は魔力でコーティングし、球体のようなものになっている。
どうやら麻痺系の毒のようだ。
「毒、返すよ」
そういうと、男は驚いた顔をして、
「なんでしゃべ...」
その瞬間に、手にあった毒素入りの球体を男の口の中にぶち込む。
その瞬間男は倒れて、ぴくぴくと動いている、どうやらかなり強い類の毒のようだ。
「ヒース、少し待ってて」
そういうとヒースは、
「は~い」
と、とても暇そうだった。
「おい!お前俺の相棒に何をした!」
もう一人の男が大きな声で聴いてくるが、そんな言葉に俺が反応するわけがなく、俺は男の足を思いっきり踏み、掴み前ではなく後ろに押し出し頭を地面にたたきつけた。
なぜ前にやんなかったのかというと、単純に痛いから、というのが理由だった。
「あの..あなたは...」
絡まれていた少女が話しかけてきたが、俺はそれを無視して、
「これから気をつけなよ~」
と、軽いのりで警告しておいた。
「ヒース、宿に行くよ」
「えぇ...食べ歩き終了?...」
ヒースが残念そうにこちらを見る。
「分かった、あと何個かの屋台を寄ったら行こっか」
俺が、食べ歩きの続行を言うと、ヒースは悪い顔をして、
「ご主人様のお金がなくなるまで食べようっかな~?」
と、言うが、俺にはこの発言を実行させない言葉を知っている。
「じゃあ帰るぞ」
「分かりましたぁ!せいぜい銀貨20枚程度で済ませます!」
よし!忠実でよろしい!いやでも意外と高いな....
そういえば、さっき絡まれてた少女....人間では見ない、独特の魔力の気配を放っていたが.....まぁ...気のせいだろう。
俺はヒースと宿に行き、今後の作戦を練ることにした。
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