第7話

「んじゃはじめようか」


おじいさんが慣れた手つきでトランプをシャッフルする。




「お兄さんはポーカーは初めてかね?」


いや、そもそもギャンブル自体やったことがないんだが....




「ルールはあまり詳しくはありません」


「それじゃあ今回は特別ルールでやるか」




おじいさんがトランプを5枚俺のところに投げる。


「ポーカーは、同じカードはそろえばそろうほど強くなるんだ、そしてカードの強さはAエースが最も強く、”K, Q, J, 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2”の順だ、そして、今5枚配ったろ?その中で気に入ったカード以外は俺に渡してくれ、またランダムで配ってやる、でもそれは一勝負一回だけだ、そして今回は2番勝負かな?」




「同じカードがそろう以外にも、5、6、7、8、9、の様に順番に数字が並ぶストレート、5枚とも全部同じマークのフラッシュ、同じ数字が2枚に、他の数字の同じ数字が三枚のフルハウス、まぁ...口で説明してもわかりにくいから、実際にやってみるか」




俺は自分のカードを自分の方にめくり、カードを確認する。


ハートの10、スペードのJと8、クローバーの2と7。




俺は、クローバーの2をおじいさんに渡す。


「なかなか早い判断じゃないか」




俺の狙いは、7、8、9、、10、Jのストレート。


「そうだな、今回のルールは、カードの組み合わせだけで勝負しようか」




そう言って、俺に一枚別のカードを渡す。


きたカードはクローバーの3....外してしまった...




そして、お互いのカードは表にする。


おじいさんはスペードの6とクローバーの6、ハートのKとダイヤのK、そしてはずれのダイヤの7。


見事なまでのツーペアだった。




「おにいさん、ちと狙いすぎたみてぇだな?」


そう言って、俺のカードを回収する。




「これで1対0」


そう言って、またカードをシャッフルする。




カードを5枚、俺に投げる。


すかさず、カードの内容を見る。




ハートのAと5と7と6と8とフラッシュだった。


今回の俺は少しだけついているようだ。




「おぉ...お兄さんの交換はなしか、そうとう自信があるな?」


そして、お互いのカードを見せ合う。




おじいさんはJのハートとスペードとダイヤのスリーカード。


それ以外はハートのKとクローバーのQ。




今回は俺の勝ちのようだ。


「なかなかいい手札がこねぇな..」




そう言いながらもおじいさんはカードを回収しまた5枚ずつ配る。


「さぁ...これで最後だ..」




俺の手札は、ダイヤの6とスペードの6、Kのダイヤとハート、クローバーの5、この時点でツーペアは確定だが、この手札よりも強くなれる可能性があった。




俺はおじいさんにクローバーの5を投げる。


そして、一枚新しいカードが投げられる。




カードを見て、俺は少し笑ってしまった、こんなタイミングで奇跡を引いてしまったのだから。


「ん?いいカードかな?残念ながら俺もかなりいいぜ」




おじいさんも俺と同じように笑っている。


お互いのカードを見せ合う。




俺の手札は、ダイヤの6とスペードの6、Kのダイヤとハートとクローバー。


ポーカーでは4番目に強いフルハウスだった。




「なにぃ...」


おじいさんが驚いた顔でこちらを見る。


どうやらおじいさんの手札は、すべてがハートのフラッシュだった。




「勝てると思ったんだけどなぁ!」


おじいさんが頭を掻きながらこちらに近づく。




「調合、してやるよ」


そう言って、こちらに手を伸ばす。




「いや...でも侵食が...」


変異種の核には、濃すぎる魔力で覆われている。




「じじいをあんまし舐めるんじゃねぇ、俺だってもともとは冒険者だ」


「へぇ..じゃあお願いします」




俺は、ポーチに布で包んでしまってあった核をおじいさんに渡す。


「この核は..オークの核かな?」




「ちょいと待ってろ!すぐに終わらせる!」


そう言って、おじいさんは奥にきえてしまった。




しばらく、店内を見ていると、ドン!と大きな音共におじいさんが現れた。


「待たせたな!成功したぞ!調合!」




そうして、俺にナイフを渡す。


ナイフ全体が黒くて、ところどころ赤い模様がある。




「おっとお兄さん気をつけろよ!鉄をバターのように切っちまうバケモンだ、扱いには気をつけな」


おじいさんが笑いながら言葉を続ける。




「はい、約束の銀貨40枚だ、そのナイフにはちと特殊能力があってな、生物の血を吸えば吸うほど強度や切れ味がどんどん上がっていく、名付けて、サックナイフってところかな?」


こうして、かなり得をした俺だった。

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