第3話

ミーナから、精霊術師の詳細について教えてもらった後に、俺は町に出た。


精霊は、特定の領域に滞在していることが多いため、術師の方から精霊にコンタクトを取らないとならないのだが.....




「精霊.....どこ?.....」


精霊がいる領域って...どこ?....




一応ミーナにも聞いてはみたが、


「さぁ?さっぱり分かんないや」




とのことだ、


いや、そこらへん把握しとけよ、と言いたかったが詳細を教えてくれただけでもありがたかったので、一応黙っておいた。




しっかしまぁ~、都会ってすげぇなぁ~、俺がいた村なんかより、建物が多いし、豪華だし、暮らしやすそうだな....人がめっちゃいることを除けばの話だが。




ちょっと腹が減ってきたな....近くに果実を売っている店があったので、買いに行こうとしたが、


「金...ねぇじゃん.....」




そうして俺は、金を稼ぐために、ギルドに行った。


「ギルド登録をお願いしたいのですが」




「分かりました、少々お待ちください」


ここのギルドでは、主に、採集クエストと、撃退クエストを扱っているようで、討伐クエストは緊急時のみらしい。




周りを見る限り、下級職、中級職が大半を占めている。


上級職って....かなりレアなのかな?




父さんから聞いた話だと、


「上級職は、世の中ではかなり珍しいって言われてるけど、案外いっぱいいるぞ」




って言ってたけど...全然いないやん...そう思っているうちに、


「お待ちしました、登録版です」




ギルドの受付の人から、登録版を渡された。


えっと~、名前、出身地、職業、功績。




意外と少ないなと思いつつも書いていく。


「すみません、登録版、書きました」




「はい、受け取りました」


そう言って、受付人は登録版を見ていくが、




「すみません、えっと~、精霊術師ではなく、精霊使いでは?」


「いえ、精霊術師であってます!」




色々と面倒になるので、バリバリの笑顔で押し通す。


「登録完了です、がんばってくださいね~」




そういわれて、白色のプレートを渡される、


「階級には、白級、黒級、鉄級、銅級、銀級、金級、白金級がありますのでがんばってください」




ん~.....採集クエストは....行きたくないな.....


撃退クエストを探していると、俺が行けるクエストは...クラッシュボア撃退しかないな。




そう思ってから、掲示板の紙を取り、受付人に渡してから、現場に向かった。


そうして、1時間程歩き、現場のロック森林についた。




どうやら、この森の近くで働いている農家の人たちの畑が、何回もクラッシュボアに荒らされているそうだ。




クエスト内容は、5個以上の右耳、それ以外は、畑の半径10㎞まで追い出すようだ。


撃退クエストなのに数体殺さなければならないのは、物的証拠が必要だかららしい。




そうして俺は、ナイフを構えて、周囲を見張る。


匂いもしなければ、物音もしない。




ここら辺にはいないのか?おそらくまだ魔物の動きが活発ではない昼の時間帯だからだろうと思い、周囲の枝を集めて、火を焚いた。




そうして、夜に備えて、少しナイフを研いでおいた。


周囲の視界が悪くなってきたころに、ナイフを研ぎ終わったので、タイミングがかなり良かった。




すこし、暗くて見にくいので、木の上に登り、周囲を偵察し、赤い瞳が何個か見えたので、おそらくクラッシュボアだろうと思い、足音を立てずに後ろに接近した。




やはりクラッシュボアだったが、数がかなり多い。


ざっと、7体程だろうか?




そして、忍び足で一番後ろのクラッシュボアに近づこうとしたが。


「ブギィィ」




と、こちらに振り向いてしまった。


何故気づかれてしまったのかはわからないが、今はそれどころではない。




圧倒的に分が悪いのは、完全に俺だった。


7体の姿を見てるうちに、一つ気が付いたことがあった。




「鼻でか!?」


鼻が普通のイノシシよりも異様にでかかった。




「だから匂い消してもばれたのか...」


普通はイノシシを狩る際は、樹液などを全身に塗り、自然と一体化することによって、気づかれることなく狩れるのだが、クラッシュボアは鼻が発達しているため、匂い消しの効果がないようだ。




しかしその分、自分の急所を大きくしているような物なので、鼻を潰せば、かなり戦闘が楽になるだろう、そう考えて、俺は走った。




「まずは、お前から!」


俺に最初に気づいたクラッシュボアに向かって投げナイフを鼻にめがけてぶん投げて、怯んだすきをついて、近づき投げナイフをさらに押し込んだ。




「まずは一匹駆除完了」


残りの6体の内、3体が俺にめがけて突進してきたが、正面から突進してきた奴の上に乗ると同時に、鼻に蹴りを入れて、左右のクラッシュボアはこちらに向かってまたもや突進してきたが、乗っていたクラッシュボアから飛び降りて、左右からの突進は俺ではなく乗っていたクラッシュボアに当たった。




グシャリと気持ちが悪い音がなったが、おかげで突進した2体とも、怯んでいるので鼻をナイフでえぐりとる。




「のこり3体」


そう言って、両手に三本ずつ投げナイフを構えて、前方の三体にめがけて投げる。




「おぉ...珍しい..」


見事に2本ずつ刺さり、三体共怯んでいた。




手で押しつぶすのが面倒くさいので、三体まとめて足で一気に鼻を蹴った。


そして、忘れずに耳を五個ずつ切り落とし、クラッシュボアたちが嫌うにおいが染みついている玉のようなものをまいて、ギルドに戻った。




そして、受付人にクラッシュボアの耳を五個見せて、クエスト完了となった。


「では、報酬の銀貨20枚と銅貨50枚となります」




やっと、やっとこれで飯が食える...そう思い、果実を売っている店に行き、


「おじさん!この実を10個ください!」




「銅貨5枚だよ~」


俺は、銅貨を5枚渡し、念願の食い物にかぶりついた。




「うまいぃ!」


しかし、何故だろう、森に入ってから誰かにずっと見られているような気がした、


まぁ...気のせいだろう、そう思って果実にかぶりついた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る