第2話

「うぅぅん...ここは?...」


目が覚めたらベットの上にいた。




「ッ痛い!」


少し動くだけで鋭い頭痛が襲ってくる。




このままではロクに動けそうにもない。


「しっかし...一体どうすれば..」




魔王軍から逃げたのはいいものも、生き残りはリナと俺だけ、しまいにはリナともはぐれてしまった。


そもそもなんで村に魔王軍が襲ってきたのかがわからない。




そう、状況を整理してると、


「失礼しま~す..」




静かな声で部屋に入ってくる女性がいた。


「あ!起きたんですね!」




そう言って駆け寄ってくる。


「えっと~あなたは誰ですか?」




「私は、この宿の従業員のミーナといいます、あなたは?」


「僕はアキトっていいます、ちなみにここはどこですか?」




「ここは、サマール王国のリビンの宿ですよ!」


サマール王国?....確か僕の村からかなり離れている国だったはず..




「確か、アキトさんはサマール王国の近くにあるリッカル平原で倒れてましたよ?」


僕が、そんな長い距離を走ったのか?...




「アキトさん?アキトさ~ん!」


「いえ...考え事をしていただけです..」




「ともかく!三日ほどは絶対安静ですよ!いいですか!」


「わかりました....その~あとで詳細を教えてくれませんか?」




まずは、身の回りの状況を理解しなければ。


「一仕事終わってからならいいですよ~」




そう、彼女は言って部屋を出て行っていく。


そのあとにミーナと話していると。




まず、僕がボロボロになって倒れているところを見つけて、この宿まで運んでくれたらしい、しかし、僕は身分を証明するものがないため、王国に入るときに作成したらしいが、その時にかなりお金がかかったらしいので、ケガが治った後には一か月間この宿で働かないといけないようだ。




いや.....なんでそこまでするんだ?...と思っていた僕だったが、ミーナのものすごいくらいの天然気質を見ていた僕は.....こいつ絶対「困っている人がいるなら!助けるのが当然!」みたいな善人なんだろうな~と理解した。




「ちょっとミーナ!こぼしてるこぼしてる!」


「へ!?嘘!」




ミーナは豪快に床にビールをこぼしていた。


「ここは俺がやっとくから、ミーナは接客やっといて!」




「分かった~よろしくね~」


このようにミーナの後処理はだいたい俺がやるようになっている。




しっかしまぁ...よくここまでやれたよなぁ...


宿の手伝いをしだした頃は本当に何もできなかった。




掃除や接客、皿洗い、どれも都会の人たちならできて当然のことなのだろうが、田舎から出てきた俺からすればかなり難易度が高い。




そうして後処理をしていると、ちかくの冒険者から、


「おい知ってるか?また村が魔王軍に襲われたらしいぞ」




「え?またか?最近多くないか?とゆうかなんで村なんだ?」


「いや~それがな..全くわからないらしいんだよ」




「ただ単に人を殺したいだけじゃないのか?」


「そうかもな...まぁこの国が襲われないことを祈るしかないな」




「そろそろ時間だ、行くぞ」


「わかった」




これは...かなり有力な情報...かと思ったが、俺には魔王を殺すほどの力はない。


まぁ..後々考えるか...




「ミーナ後処理終わったよ~」


「オッケー!皿洗い残ってるからやっといて~」




また皿洗いかよ....


「分かった!」




あと30分ぐらいで今日は終わりか...しかも今日で宿の手伝いも終わり.....


あれ?お金どうやって調達しよう.....




そう考えてるうちに、30分が過ぎてしまった。


「アキト!今日でお手伝いは終わるけど、これから..どうするの?」




ミーナさん...俺もそこで悩んでるんですよ...


「このままこの宿で正式な従業員になるか、それとも冒険者にでもなってみる?」




....その手があったか!


「冒険者になってみるかな...さすがにこれ以上お世話になったら迷惑だし...」




「そっか...まぁアキトが言うんだからそれでいいよ、でも冒険者になってもこの宿に寄ってきてね~」


「これからもよろしくね!ミーナ!」


「うん!よろしく!アキト!」




そうして俺は、次の日から冒険者になったのだが...


「アキトさん..あなたの職業は...精霊術師...?....」




何故疑問形なんだ?...


「いや..その聞いたことがない職業でして..精霊使いは知っているのですが...精霊術師とは聞いたことがないもので...」




「いや、そのもう一回..」


「次の方~、前にどうぞ~」




いや無視かよ....


職業の詳細がわからなければ、戦闘はそう楽にはならない。




「とりあえず、知り合いが知ってるか聞いてみるか...」


といっても知り合いはミーナしかいないわけなんだが...




「いっらしゃ~い!ってアキトじゃん!」


「いや..その..」




「ねぇねぇ!職業なんだった!?」


やっぱりこうなるよな....




「精霊術師...まぁ知らないと思うけど..」


「あ~、やっぱりそうだったんだね!」




「知ってるのか?神官ですら知らなかったんだぞ!?」


「いや~、私のおじいちゃんが昔から教えてくれて...」




「まさかおじいちゃんが精霊術師なのか?」


「多分、精霊術師の知り合いとかじゃないかな...」




「ちなみにどんな能力なんだ?」


ここが一番の問題点、職業には、下級職、中級職、上級職があり、それぞれの級によって性能が大きく異なる。




しかし、上級職でもはずれの職業もある、下級職でも上級職におよぶ職業もある、まぁ強いものは強い、弱いものは弱いよいう認識でいいだろう。




「まず、精霊術師は上級職で、精霊術師は精霊使いと違って、基本的には1体しか契約できないんだよ、でも精霊使いと契約した精霊よりも精霊術師と契約した精霊の方が何倍にも力が跳ね上がるんだよ、しかも精霊の力と術師の力は比例するようになってるみたい」




「ちょっと待ってくれ.....基本的には一体ってどうゆうことだ?」


「それはね.....」


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