精霊術師の復讐譚
@oisii
第1話
窓からの明るい日差しが少年を照らす。
「うぅぅん?もう朝?」
そういいながらもベットから起きて、身支度を整える。
「アキト~もう朝ごはん出来てるわよ~」
食床から母親であるヨムルの声が聞こえてくる。
「おいアキト!今日でお前も18歳!最初の狩りは何をするつもりだ?」
「父さん声でかい....まぁ狩りはしないよ」
「え?じゃあ何するんだよ?」
しばしの沈黙の後に僕は、
「木の実取ってくる...」
「お前...最初の村出が木の実とかおまえそれでも男かよwww」
そう笑いながらけなしてくるが、実際はとてもやさしい父だ。
「いただきます」
そうして、食事をした後に、親友のラルクと、幼馴染のリナに会った。
「おいアキト~いや、木の実野郎~」
「ちょっとラルク!からかうのもいい加減にしなさい!」
そう、リナはラルクを止めようとするが、
「いいんだよ、そうゆう仲だから...で?お前は何をするんだ?ラルク?」
「俺は2回目の狩りの準備かな?出発は明日になりそうだな」
「私はいつもどうり家事の練習になりそう....」
「リナの家族って厳しいもんね..」
「おいアキト!こんな暗い話はやめようぜ!」
確かにそうだな...
「それじゃあ僕は村出の準備してくるよ」
「がんばれよ~木の実~w」
「ちょっとラルク!」
そして僕は、村出の準備をするために家に向かった。
「えっと~、必要なものは非常食と道具袋とナイフかな...一応応急セットも持っていくか」
そうして、村出に必要な物をそろえて、
「アキト?忘れ物ない?大丈夫?」
「大丈夫だよ母さん」
「アキト!木の実の収穫..頑張れよ!」
「いってきま~す」
「無視すんなよお..」
そうして、僕は初めて村を出た。
「えっと~、ここがナヴの森か....」
見渡す限り普通に明るい。
僕が収穫する木の実は..確かオリンの実で、赤色だったはず..
そうして、探してる時に左の草むらから物音がした。
「ゴブリン!?」
全身が緑色で、瞳は紅で染まっている小さなナイフを武装したゴブリン。
まずい!そう思ったアキトは逃げようとしたが、
「パキッ」
と、音がした。
「おい..まさか...」
そう、アキトは木の枝を踏んでしまった。
ゴブリンがアキトの方へと走ってくる。
「やるしか!ねぇのかよ!」
アキトは、道具袋からナイフを取り出し、戦闘態勢に入る。
「ウギャァァァ」
と叫びながらアキトへとびかかってきたが、アキトは横へかわし、首元にナイフを突き刺そうとしたが。
後ろから来た衝撃によって、とどめをさすことができなかった。
「2匹目!?」
2匹目のゴブリンは、1匹目のゴブリンとは違い弓を使ってくる遠距離型のゴブリンだった。
「これはまずいな..」
近距離に遠距離、分が悪いのは圧倒的にアキトであった。
「逃げることは...できそうにないな..」
弓ゴブリンからくらってしまったダメージ的にも長時間走ることはできない。
しかも、左肩にうまく力が入らない。
そうなってしまっては、倒してから休憩しながら治療しなければならない。
「弓の方から倒すか...」
しかし、どう接近すればいいのかわからない。
弓ゴブリンの斜め前にはナイフを持ったゴブリン、正面から近づこうとすれば、弓に気を使いながらもナイフを持ったゴブリンも相手にしなければならない。
しかし、アキトにはそんな技術もなければ負傷している身であり、できるわけがない。
どうにかして、先に弓ゴブリンを片付けなければアキトに勝機は皆無であった。
できるだけ、走らずにゴブリンにきずかれないように弓ゴブリンに接近する方法....
「これしかないな....」
そう言って、アキトは負傷した肩をかばいながらも木に登った。
そうして、物音を立てないように移動し弓ゴブリンの真上まで近づくことに成功した。
ナイフを構え、落ちる時の衝撃を利用するようにする。
そして木の枝から飛び降りて、弓ゴブリンの頭めがけてナイフを向ける。
グシャッと君の悪い音とともにアキトに返り血がかかったが、アキトはナイフを持ったゴブリンに対して走り、上から攻撃すると見せかけて足払いをした。
豪快にころんだゴブリンに対してアキトは全身全霊で首元にナイフを突き刺した。
「ギャァァァァァ!」
と、叫びアキトの首を絞めようとしたが、アキトはその手を踏みつぶしとどめをさした。
「やっと終わったか....」
そう言って、アキトは木に寄りかかり、道具袋から応急セットを取り出し消毒液を左肩にぶっかけた。
「いっっっったぁぁぁ!」
「あの弓ゴブリン...許さねぇ...」
と、言ってももう殺してしまったのでできるわけがない。
そうして、方から包帯をぐるぐる巻きにして止血をした。
「やべ...オリンの実取らねぇと」
そう言って、木に登りオリンの実を探した。
「お!あった!」
オリンの実を見つけたアキトは、手を伸ばし取ろうと試みるが、ツルン、という擬音がとても似合う様子で、見事にからぶった。
「うそ~ん」
そういって、落ちていくアキト。
ドン!と大きな衝撃音とともに、ナヴの森に男の叫び声が鳴り響いた。
「いっっっっっっっっっっってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
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「あぁ...やべぇ気絶してた....」
時間は...周りの様子から見るに真夜中ってところか。
道具袋に、散らばっているオリンの実を詰め込み、村に向かった。
実に村に向かうのは簡単だった、なんにしろ灰色の煙がたちくもっていたのだから。
「おい!なんだよこれ...」
目の前には、自分が生まれ育ったはずの村が炎で真っ赤に染まっているのだから。
「父さん!母さん!ラルク!リナ!」
そう叫んだところで帰ってくるのは静寂だけ。
僕は走った、自分の家があったはずのところへ。
ドアを蹴り飛ばし家に入った。
「母さん!父さん!」
そして、奥の部屋に入ると、二人とも焼け死んでいた。
「う..嘘だ!いったい何が!」
泣き叫ぶ、ただただ泣き叫ぶ
「クソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「一体誰が!?誰がこんなことをしやがった!?」
きずいた時には、唇をかみ切っていた。
家の入口の方から物音がする、
「アヒャヒャヒャヒャヒャ」
「イビルスカル!?」
正真正銘の魔族の初級種がなんでこんな村に!?
僕が驚いている隙にイビルスカルはこちらに攻め立ててくる。
「まずい!死ぬ!」
斬られると思った。
「あれ?痛くない....」
しかし、目の前の床には血が広がっている。
「おい..嘘だろ...」
目の前には、炎の剣で貫かれている親友がいた。
「馬鹿野郎...油断してんじゃねぇよ...ゴホッゴホッ」
親友が口から血を吐いている。
「おい...大丈夫なのかよ?...」
「グダグダすんな!逃げ」
ラルクが何か言おうとした瞬間、ボワッとラルクを貫いている剣からさらに強い炎
が点火される。
「アキト!こっち!」
声がした方向を向くと、そこにはリナがいた。
僕は走った、
「リナ!無事だったんだ!」
「えぇ!何とか!今はとにかく逃げるよ!」
「一体何があったんだよ!?」
「急に魔王が攻めてきたのよ!」
「なんでこんな村に魔王が攻めてくるんだよ!」
「わからない!わからないの!」
そして、僕とリナは走り続けた、しかしそれは突如として起こった現象によって止まらされた。
「ッ!地割れ!?リナ!」
そうして、リナに手を伸ばすが。
「ヒィィィィィィィ」
と、叫びながら飛んできたガーゴイルによって妨害された。
そして、完全にリナと分断されてしまった。
「アキト!今はとにかく逃げて!私のことは気にしないで!また近くの街で会いましょう!」
「分かった!」
そうして、僕は走って走って走り続けた。
そして、僕は西に、リナは東に逃げていった。
「はぁ..はぁ..はぁ..」
一体何時間走り続けたのだろうか。
いつの間にか森を抜け、広い平原に出ていた。
「やべぇ..めまいが...」
目の前がゆがみ、足元がふらふらする。
そして、いつのまにか僕はまた気絶していた。
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