美南ちゃんマル秘大作戦──②

「美味かった……ご馳走様でした」

「ふふ。お粗末さまでした」



 ガチで全部美味かった。

 今までやって来なかっただけで、ちゃんと習えば料理もできるんだな、美南は。

 美南のスペック、めちゃめちゃ高い。


 満腹で色々満たされていると、湯船にお湯が溜まったメロディーが聞こえて来た。



「あ、お風呂入れますね。裕二君、ゆっくり入ってきてください」

「え……料理を作ってくれて、風呂まで入れてくれたのか?」

「はい! これも裕二君を労うためです!」



 しまった。俺が居眠りしてる間に、そこまでしてくれたのか。

 美南も疲れてるだろうに……反省しなければ。



「それなら、先に美南から入って来ていいよ。美南も疲れてるでしょ?」

「いえいえ。今日は何がなんでも裕二君ファーストなのです。なのでお風呂も裕二君が先ですっ」



 気のせいだろうか。なんか企んでるようにしか思えない。

 ……いや、美南が俺の為にしてくれてるんだ。ここは美南に甘えさせてもらおう。



「それじゃあ、先に入る。ありがとな」

「いえいえ、ごゆっくです」



 美南に見送られ、俺はリビングを後にした。



   ◆美南◆



 はーっはっはっはー!

 まんまと引っかかりましたね裕二君!


 どうも、黒田官兵衛の生まれ変わりとして名高い美南ちゃんです! いえい!


 むふふ。裕二君は今お疲れの様子。

 疲れてお眠な裕二君。可愛い。

 じゃなくて。

 お眠な裕二君は知能指数が下がり、色々とチョロくなるのです。

 これは同棲を始めてわかったことです。


 お眠でチョロい裕二君は今、お風呂に入っています。

 そう、お風呂です。

 つまりこれは、お風呂に吶喊する絶好の機会!


 ふふふ。前はまだチェリーで、裕二君は恥ずかしがっていましたからね。


 ですが! 今はもう一線を越えています! つまり一緒のお風呂もオーケー! のはず!


 ふっ、我ながら完璧な計画。自分の天才さが恐ろしい。


 さあ裕二君、一緒に入りましょうね〜。


 脱衣所で服を脱ぎ脱ぎ。

 うーん。自画自賛ですが、相変わらずエロい体をしていますね、私。

 こんな私を独り占めできるなんて、裕二君はなんて罪な男の子なんでしょう。


 さあ、いざゆかん。遥か遠き理想郷!



「ゆーうーじーくーん。お背中流しますよー♪」



 ガチャッ……ガチャガチャガチャ。


 鍵、掛かってます( ´•ω•` )



「あのー、裕二君。鍵掛かってるんですけどー?」

「やっぱり来たか。美南の考えてることはお見通しだぞ」



 なんと。やはり私達は以心伝心だったのですね。

 これはもう熟年夫婦と言っていいレベル。



「って、そうじゃないです! もう何度もお互いの裸を見てるんですから、お風呂くらい一緒に入りましょうよ!」

「そう言うと思ったから閉めてるんだよ」



 ぐぬぬ、照れ屋さんめ……!



「……ふ、ふふ。……ふふふ。ふーふふふふふ……!」

「え、何怖い」

「甘い。甘いですね裕二君。もうキャラメル〇キアートにホイップとチョコレートソースを追加したその上澄みのように甘いです」

「それ実質ホイップとチョコレートソースだから、キャラメル〇キアート関係なくない?」

「揚げ足取らないでください!」

「えぇ。これ俺が悪いの……?」



 全く、裕二君は揚げ足さんです。ぷんぷんがおーです。



「裕二君、この家は誰が買ったものでしょう?」

「……お義父さんだけど」

「そう、パパが買いました。ということは、この家の中にある鍵は娘である私が管理してるも同じ!」

「え、まさかっ」



 そのまさかです!

 これを見よ! ばばーん!

 ……いや半透明のガラスだから、裕二君からは見えないんですがね。



「なんとここに、お風呂場の鍵のマスターキーがあるのでーす!」

「マスターキーまで用意するとかガチ過ぎだろッ」



 裕二君と混浴するためには、手段を選ばないのです!

 さあ、オープン!


 ガッ……ガッガッガッ。


 鍵、入らないです( ´•ω•` )



「え、あ、あれぇ……? おかしいですね。以前ちゃんと確認したのに……」

「こんなこともあろうかと、お義父さんにお願いして鍵変えてもらった」

「なんてことを!?」



 というかパパ、そんなこと一言も言ってないですよ!?



「お義父さんに、美南には言わないでってお願いしたからな」

「我が家全員裕二君のこと好きすぎでは!?」



 くぅ、さすが私と同じ遺伝子……! 裕二君大好きすぎるっ。


 仕方ありません。ここはひとまず退散するしかありませんが……なぁに、まだ私のマル秘作戦は大作戦は続きます。


 なんとしても、明日までに抱いて頂かなければ──!

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