ほんとうに護り給うのは誰?
ギャトリンはリーダーの資質を備えている。それは自分が全てを統率しないと済まないっていう矮小なそれじゃなくって、今ある人財を一人余さず・・・後ろめたさを誰一人に持たせずに・・・物事を進めて行こうという感性だった。
だからこそ神というものへの懐疑が強い。
「
「ベタベタしてるんじゃないよ。お護りしてるんだよ」
わたしが日本語で言うとニュアンスは伝わったようでギャトリンが怒った。
「護るも護られるもないだろう!?速くガリンを見つけるんだ!」
「ギャトリンちゃぁん、美人さんが台無しよぉ」
ジェトの柔らかい応対そのものがギャトリンには気に入らないようでますます声を大きくした。
「神が全員を主役にしたためしがあるものか!」
じっと聴いていた
「ギャトリン様。『主役』とはなんですか?」
「ある局面において主体的に行動し、かつその行動そのものと結果とに満足できる人間のことだ。神がこれまで人類に対してそういう配慮をしてきたか?」
「おそらくはしておられると思います」
「ではなぜガトリンは死んだ」
「わかりません」
「ふざけるな!」
「ふざけてなどいません。本当にわからぬのです。神様ではありませんので」
「ほらみろ!結局誰も納得できないことを神は繰り返して来たではないか!疫病、災害、戦争!」
「ギャトリン様。戦争は人為です」
「だが!人間が互いに呪い合いいがみ合う心を人類から取り除かなかったではないか!一人一人が人生に満足して心の平和が保たれるのならば戦争など起こらぬはずだ!」
「神。為。常時努力」
「なんだと」
「常時努力。神。同」
「オマエ!」
「ギャトリンちゃぁん」
「女神さまはねぇ、努力してるのよぉ」
「神が努力だと!?」
「そうよぉ。むしろ神様だから努力し続けてるのよぉ。ほら、観てぇ」
ジェトは右耳にピッタリと右の二の腕をくっつけて真っ直ぐに伸ばし、中空を指差した。
「お日さまは1秒たりとも休まずに照らし続けてるわよぉ」
「天体だから当然だろう!」
「ギャトリンちゃぁん、日本ではねぇ、神様が岩戸にお隠れになるとねぇ、日の光が翳って世は闇になったのよぉ」
「ただの神話だ」
「ギャトリンちゃん!」
初めて聴いた。
ジェトが語尾を伸ばさない言い回しを。
「ギャトリンちゃん!気付くのよ!どちらがホンモノか!ニセモノを崇めようとする奴らは神様の威を貶めたいのよ!だからUFOを引っ張り出したのよ!」
「う」
「たかだか次元が違う程度のあくまでも『科学ごとき』でしかないものを神のごとくに威を持たせて世の人間をなびかせようとしてるのよ!あるいはUFO以外の選択肢はないと諦めさせようとしてるのよ!気付かないと負けるわよ!」
「うっ」
鬼選がつぶやいた。
「
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