第48話 旅館(カプセルホテル)

グラスを作ったあと、時計は5時を指していた

「私ちょっとお手洗い行ってくるね」

繁がいなくなったので、二人だけで秘密の会話をする

「そういえば、愛香って元々どこ泊まる予定?」

俺はこのあと二人と別れてそこに行かないといけない

今のうちにどこに行くか聞いておく


「私は、カプセルホテル『水無月』に止まる予定だけど‥」

水無月、それって‥

「そこって、俺が泊まる予定だった温泉旅館の近くじゃん」

だが、近いからといってバスぐらいまでしか一緒には行けないのだが

「そういえば、これからの予定伝えておく」

俺が一緒にはいられない、この間に伝えておかないと旅館内で面倒くさいことになるだろう

「今日は、7時から食堂で夕食、その後は風呂の予定だがこれは諸事情で入れないことにしろ」

「風呂のあとは自由時間だから、風呂に入らずに先に寝ておけ、部のメンバーとの話に付き合っているとボロが出るかもしれん」

今日の予定はこれで全部だ、改めて見ると、食事中やそれまでにバレなければいいだけか

愛香なら何とかなるだろう、そう信じたい

「分かりました」

愛香も返事をした、大変だろうが頑張れ

「明日の予定はかばんの中のしおりをみてくれ」

今伝えてもよいが、伝えるとなると時間がかかる、明日のことだし今伝える必要はないだろう

「そういえば、私からも伝えたいことが‥」

「明日の手伝いは2時から3時半までだから、大変かもしれないけど、手伝ってきてください」

「分かった」


「あ、繁戻って来たみたいだ」

繁は早足で帰ってきた

「愛香はどこ泊まるの?」

「私は、神代先輩達が泊まる旅館の近くの旅館に泊まるよ」

観光で来ていると繁には言っている、カプセルホテルと言うより旅館に泊まると言ったほうがおかしくないだろう

「じゃあ、バス内でもお話できるんだ」

繁は嬉しそうだ、愛香と繁はこの前もだが仲がよい、親友という関係なのか

俺の親友‥

自分で思った『親友』というワードに、悲しさを感じてしまった


バス内では何とかやり過ごし、旅館がある街に戻ってきた

「私はここだから、じゃあね」

そこら辺にあった旅館の前で別れた、繁達は俺が泊まる予定だった旅館に去っていった

繁が完全に見えなくなったところで、目的のカプセルホテルに向かった


カプセルホテルに着く前に、コンビニに立ち寄った

愛香のお金でおにぎりを一個購入した

たとえおにぎり一個とはいえ、勝手に人の金で買ったと思うとなんか嫌な気持ちになる

後でお金返しておこう

カプセルホテルに着いたあとは、おにぎり食って寝た

俺は特に問題はなかったが、愛香は大丈夫だろうか‥

それだけを考えながら眠りに落ちた

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