第46話 演じきることが大事

「あ、繁‥」

愛香が俺を演じようとしているが、バレないよう完璧に演じきることはできない

それでも、何とか演じきれるようにしよう


「ところで、愛香‥だよね、前に会った」

「どうしてここにいるの?」

そうだよな、二人で周る予定のはずなのにいつの間にかもう一人加わっていたんだ

気になるのは普通だな

何とか言い訳しよう、幸い愛香と繁はあの日会っただけだろう

こっちは実際の愛香とは違うことを言っても疑われないだろう

「あ、私はたまたまここで神代先輩を見かけて‥ それで一緒に観光しようと思って‥」

実際、愛香と俺はたまたま出会っただけだ、そして、愛香が俺とどこか観光しようとしていたのも本当だ、もっとも俺から誘ったとはいえ

「でも、ここ長野県だよ‥何でいたの?」

そういえばここは長野県、愛香がこっちに住んでいることに最初しようとしたが、それだと学校で見かけたことに矛盾してしまう

そのため、もともと観光で来ていたことにしよう

「実は今日明日に、ここを観光しようと考えていたから‥それでここにいたんだ」

この発言に不自然なところはないだろう

「悪いけど、ちょっと一緒に観光してもいい?」

「いいよ、そっちのほうが楽しそうだし」

繁が簡単に了承した、やはり俺が予想していた通りだった

初対面のときも愛香と繁は仲良く話していた、そこも影響を及ぼしたのだろう


それから、通りから離れたところにあるガラス工房に向かった、その途中でもバレないように話を反らしたりして何とか着いた

他人を真似るのはこんなに難しいものなのか‥

ガラス工房では体験として、吹きガラス作りを行っていた、繁もこれ目当てで来たのだろう

三人分の体験を受付で申し込んだ


溶けたガラスを巻き取って色を付け、ガラスをふくらませて、その後もいくつかの工程を経てガラス容器を作る

作り方の紙を三人で何度も眺めた、そして作りはじめた

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