第43話 神様だって楽しみたい!

楽しませる、だと?

普通に楽しませればよいのか? そういう能力あんまりないんだが

「楽しませるって、具体的に何をすれば‥」

愛香が聞いた、俺もそのことは聞きたかった

「ま、お前らは自然体でいいさ、条件付きだがな」

条件? そして自然体? これでこの神様は楽しむのか?

「ま、やってやる」

神様が言うと、目の前が白い光で包まれた

「うわっ!」

眩しくて目を開けていられない、そして何かが変化しているように感じた

光は徐々に弱まった、しかしそこでは不思議なことが起こっていた‥


光が弱まったように感じたので、つぶっていた目を開けた

何だか目線が低い気がする‥

「お前、小人化したのか?」

「いや、そんな面白くないものしねーよ」

でも目線は低い、例えるなら小学5年生ほどの‥

というか、愛香は大丈夫か?

辺りを見回した、そこで見てしまった

「俺が、前にいる‥」

目の前には俺が倒れていた、何が何だか分からない

そして、見回しても愛香はどこにもいなかった

「お前、愛香をどこにやった!」

「何言っているの、そこにいるじゃん」

神様は倒れている目の前にいる俺を指して言った


「あれ、何で私が目の前に?」

目の前で倒れていた俺はそのように言った

そのことで、多分だがこの神様が何をしたか理解した、だが、確証がないのでこの俺?に聞く

「お前、愛香か?」

「はい、そうですけど‥」

これで確実となった、目の前の俺?が自分は愛香だと言ったのだ

「お前、俺と愛香を入れ替えさせたな」

入れ代わりなんて、小説の中だけにしてほしい

「そうだよ、楽しそうじゃん」

この神様は悪びれる様子もなく言った

ただ自分が楽しみたいがために、俺達にこんなことをしたのか

普通に殴りたい、神様じゃなければ殴っていた

「ま、1日だけだから」

「今すぐ直せ」

冗談じゃない、明日は試合がある、愛香にはバスケ部の試合なんて無理だろう

「いや、それは無理」

「俺は直す方法は知らない、おとなしく1日楽しませろ」

この野郎、もう気がすまない

一発だけなら罰当たらないよな


「神代先輩、止めてください!」

突然、俺の体をした愛香が叫んだ、そのせいで殴るのを止めた

「この神様、一人ぼっちできっと寂しかったんですよ」

「神様の仕事をただ黙々とこなして、この土地を守ってきたんです」

「だから、きっと他の人と楽しみたかったんですよ、許してあげてください」

愛香の言葉に、殴る気持ちも落ち着いた

「は、そんな理由でするわけねーだろ俺様が!」

神様は必死に否定した、しかしこの顔、愛香の言ったことが正しかったのが分かった

「仕方ない、許してやる」

「ただし、明日には直るんだよな? なおらなかったら殴る」

そのことだけ言って、その祠を離れた

その後に思い出した

明日まで1日、どう過ごそう‥

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