第30話 火は氷に弱い

「てか、どうやって飛んだんだ?」

中1の女子が中3を掴んで飛んだ、普通じゃできないだろう

繁に質問したが、繁は答えなかった

「まあいいや」

そのことも気になるが、先にあいつを倒さないといけない

翔や愛香が待っているだろう

そして、走って屋上まで登った、繁は危険だから置いていこうとしたが、何度言ってもついてきてしまった

そして今に至る


愛香は俺と同じように、凪に空を飛んで助けてもらったそうだ

一体、彼らは何者なんだろうか

「おい、何をしている、さっさとあいつらを倒せ!」

男は今まで黙ってこちらの様子を見ていたが、ついにしびれが切れたのか襲うよう命令してきた


「私が、あいつを倒す」

繁は怒って言う、だが、繁にこの戦いに関わってほしくない

これは魔族と人間の戦い、一般人が介入するのは危ない

「繁、下がっててくれ、俺達が倒す」

「いや、私も戦います」

こうなってしまうと、どうしようもない

だが、なんとかしないと‥


「ごちゃごちゃうるさい、もう1回爆発しろ」

男はあのドラゴンのような魔族に命令を出し、火を吹いて爆発させるようにした

「皆、こっちに避けて!」

あの爆発はまともに喰らうとだめだ

あれを耐えるには、翔の盾を使うしかない

続々と盾の後ろに集まる、だが、繁だけは盾の前で立ったままだった


「繁、こっちだ!」

何度も繁に呼びかける、しかし、繁には聞こえていないのかこっちに来る気配はなかった

「私達を傷つけたこと後悔させてやる」

繁はいつもとは違う感じだった

「凍れ!」

繁がたった一言叫んだ


その後すぐ、辺りの魔族が氷漬けになった、爆発する火を放った魔族を含め、全ての魔族が凍った

男のところまでは凍っていなかったが、それでも大部分が凍った


「え?」

自分には何が起きているのか分からなかった、目の前で凍るよう唱えただけで、全てが凍ったのだから当然だ

「さ、あとはあの男だけです」

繁が言う、この言い方からして繁が凍らしたので間違いないだろう

正直頭が追いついていなかったが、さっき飛んで助けたことを思い出して無理矢理納得した

何はともあれ、あとはあの男だけだ


「どうした!?」

後ろから凪が来た、少し遠くにいたのだろうか

「繁、またやったのか‥」

「いいじゃん、これは仕方ないんだし」

繁と凪が話していた、またやったのかということは、前にもやったのかと思った

「そうだ新、これ使え」

凪はコップに入った透明な液体を見せた

「疲れが回復する」

「ありがとな」

凪の料理には、疲れが回復するなどの特殊な効果を持つものがある

これもその一種なのだろう


その液体を3人共飲んだ、今までの疲れが取れる

あの男を倒す準備ができた

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