第26話 疲れを無視できたらいいのに

大量に現れた魔族、男は約100といったが、実際もっと多そうだ

一体一体が改造でそこそこ強くなっているというのに、この数だ

愛香と俺が剣を振り、そこに翔の空気球が加わって倒していく、しかし、このままではこちらの疲労がきつそうだ


「やっぱこういう、一人のボスをパーティー組んで倒す感じ、いいよね」

「お前らは一人じゃないんだけど」

男はこちらの様子など考えもせずに話す

こちらは魔族を倒すに連れ疲労が溜まっていくのに、あっちは魔族の群れの後ろで壁にもたれかかって傷を癒やしていた

はっきり言って今すぐぶん殴って倒したいが、そんなことをできる暇ではない

「まず、あなたから倒す」

愛香が瞬間移動を使おうとした

瞬間移動、それならこの魔族の群れを無視して直接攻撃できる

しかし、愛香がいくら瞬間移動を使おうとしても、使うことができなかった


「なんで、なんで瞬間移動できないの‥」

愛香は涙目だ、瞬間移動は瞬間移動先の様子や状態が分かっていれば使える

この場合、愛香が見ているところに飛ぶのだから使えて当然なのに‥


「君、瞬間移動使えなくて不思議に思っているよね」

男は俺、そして愛香も多分思っていることをズバリ言った

「それはね、SPが切れているからなんだよ」

SP、武器の力を使うのに必要な想像力のことだ

だが、今回より愛香が短時間で何回も瞬間移動したことはある

なぜ、今回だけ‥


「SPって言うのはね、疲労の量が多くなると最大値が減るんだよ、知らなかった?」

「それに、そもそも瞬間移動ってかなりSP使うからね、最大値が使用SPを下回っているんだ」

「ゲームで強い技が序盤は使えないのと同じ原理さ」

そんなことは知らない、俺達は石山さんにSPについて詳しく教えてもらっていないから仕方ない

この男が言っている内容、嘘のようには見えない

「疲労を回復できたら君達が技を使えるかもね、この状態で回復できたらだけど」

愛香を少し休ませて、瞬間移動であいつを倒すのがいいのだろう

だが、この状態では無理だ

この大量の魔族はとてもじゃないがオレ一人では捌ききれない

翔は動けない二人を守っているから、俺の手伝いはあまりできない

どうしろと‥

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