第16話 親バカは程々にしましょう

俺の中学校に伝わる七不思議

1 体育館で泣く子供


体育館のバスケ部の部室には、子供の鳴き声が聞こえる

その声を聞いたものは、とある部屋に連れ去られてしまうらしい‥


「まずはこれから調べるか」

理由は特にない、ただ順番通りに調べれば調べたやつが分かりやすいと思ったからだ

「これ、幽霊、じゃないですよね‥」

そういう愛香の足は震えていて、声も震えている

こういうホラーなやつ苦手なのだろうか

ま、こういうのはそっとするのが一番‥

「お前ビビってるの、ダッサ」

「黙れ」

殺気だった声で愛香が言う

そして、瞬間移動で翔を天井から落とした

「次言ったら屋上から落とします」

翔、もう少し人の気持ちを読んでくれないかな‥


「ま、どうせ魔族のしわざだろう。」

そうか?

「そ、そうですね、魔族に、決まっていますよねきっとそうですよ」

震えている愛香もかわいい

「でも、俺バスケ部だけどそんな声聞いたことないんだよな」

「夜間限定的なやつなんでしょ」

「そういうものなんかな」

体育館の鍵を愛香がピッキングで開け、バスケ部の部室に着いた

部室には、バスケットボールやユニフォームが散らかっている

が、特に変わったところはない

「何も聞こえないな」

「そうですよね子供の声が聞こえるとかおかしいですもんね」

「なら、次行くか‥」


「パパ大好き!」


「え、なにか言った?」

「いや、私は何も」

「俺も言ってないぞ師匠」

おかしい、確かに子供の声が聞こえたはずなんだが


「パパ、抱っこして!」


「え、」

「この声」

「やっぱり、七不思議は本当だったのか!」

愛香はもうビビって部室の隅で震えている

そして翔は、とっても喜んでいた

「とにかく声がするところを調べよう」

「愛香、大丈夫か」

「だ、大丈夫です」

全然大丈夫そうに見えない、無理に大丈夫に見せているようだ

「大丈夫だ、いざとなったら俺が守るから」

「神代先輩、ありがとうございます」

震えは収まったようだ


「声がするところ‥ここか?」

声がする方向に向かうと壁につきあたった

「いや、これは壁の奥から聞こえてるな」

壁には穴があった、それも小さな穴が数個

おそらく、壁の向こうの声がここまで届いたのだろう

この壁の向こうには用務員室がある

そこに声の主はいるのだろう

「二人共、隣の部屋に行くぞ」

「そこに声の主がいるはずだ」

「俺は行くぞ、幽霊とかなら会いたいし」

翔はすぐに行くことを決めた、ホラー好きだから行きたいのだろう

愛香は大丈夫だろうか‥

「私も行きますね」

「いいのか?」

「神代先輩が守ってくれるじゃないですか」

そういえばそんなことさっきいったな、特別深い意味があったわけではないが今回はよしとしよう

「さ、開けるぞ」

ドアをいきよいよく開ける、するとそこには‥

たくさんの子供の写真、そして子供の声が流れている録音機があった

「これ、ヤバイやつなんじゃないですか」

「いや、これ‥」

ここに写っている子どもたち、バスケ部顧問の子どもたちだ

社会の時間に毎回写真を見せてきたから覚えている

「これ、バスケ部顧問の子供の写真だ」

「え、それってどういう」

「これ、たぶん顧問が子供に会えない寂しさを紛らわすために作った部屋だ」

用務員室といっても、最近は用務員が突然やめたのでここを毎日使っていたバスケ部顧問の先生がよく使っていた

「え、ありえないですよ」

「こんなところに写真や子供の声を流す録音機おくなんて」

「いや、顧問の先生は‥」

「凄い親バカなんだ」

「子供の声をいつも聞きたいと思っても不思議じゃない」


つまり七不思議の1つ目は

親バカ先生による録音機が原因

これで1つ目は解決した






「最後はこれを屋上に運べば終わり」

「分かった、そっち持ってくれ」

「あれ、あそこ光ってない?」

「本当だ、なんでなんだろう」

「え、これヤバくない」

「「うわっ!」」

七不思議1つ目を調べていた頃、別の場所で事件が起きていた‥

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