第12話 デリカシーのない男は終わる

「というか、ここは危険な場所だぞ、大丈夫なのか?」

頼む帰ってくれ、面倒くさいことに関わりたくない

「大丈夫です、師匠に憧れて、長い間修行したんですから」

「長い間と言っても数日だろ」

「あと、師匠と呼ぶのやめろ」

「それはできません、師匠は俺の師匠なんですから」

「だから俺を師匠と呼ぶの許してないから」

「俺が許したからいいんです」

「勝手に許すな」


「まあそれはいいとして、本当に強いの?」

もう俺がなんて言おうがコイツはここに入る気だ

なら強いのかどうか確認しておきたい

本当に強いなら、雇ったあとも大丈夫そうだからだ


「師匠には及びませんが強いですよ」

「どんな武器を使うんだ?」

「これです」

「これ、武器なの‥」

こいつは武器といって、盾を出した

「武器ですよ、振り回せば戦うこともできますから」

そう言って、このそこまで広くない異少課の部屋で盾を振り回し始めた

まぁまぁ速く振り回していたので、確かに攻撃はできそうだ

「ところで、それも異世界の武器なのか?」

「はいそうです。なので、こんなこともできるんですよ」

「はぁ!」

盾を振り回しているとき、急に掛け声を出して盾を止めた

「え?」

そう驚くのも無理はない、盾を止めたとたん、空気の球が飛んでいったように見えた

窓を開けてたから良かったものの、開けてなかったらどうなっていたことだろう


「どうです、俺の武器特有の力、≪空気球≫です」

「盾で集めた周りの空気を、圧縮して球として飛ばします」

「敵の魔族を吹き飛ばすのに有効ですよ」

「貯めるのに少し時間がかかりますが、結構使えると思います」


「結構強いじゃん」

「防具としても武器としても使えるって、結構すごいし」

こいつなら魔族にやられて殉職してしまうことはないだろう

「最初は乗り気じゃなかったけど、ここ入っていいよ」

「ありがとうございます、師匠」

「お前が乗り気になるとはな、意外だった」


「あれ、どちらさんですか?」

そこに愛香がやってきた、仮眠は終わったらしい

「師匠の弟子の大木翔です、はじめまして」

「神代先輩、お弟子さんいらっしゃったんですね」

「いや、違うから」

俺は今までのことを愛香に話した


「なるほど、そうだったんですね」

「私は波山愛香です、愛香と呼んでくださいね」

「分かった、俺のことも翔でいいよ」

「分かりました、翔さん」

「でも、もうちょっと胸が大きければ良かっ‥」

ドスン

愛香が怒って本を頭に瞬間移動させる

また片付けないと‥

「貴様殺してほしいのなら今すぐ殺してやる」

「え、何かわからんけど、すまん‥」

「まあ、一回だけだし、許す」

「神代先輩のお弟子さんを傷つける訳にもいかんし」

いや、弟子じゃないんだが‥

「でもまな板はちょっと‥」

そうこいつが言おうとしたとたん、愛香が瞬間移動でどっかにやった

「愛香、どこにやった?」

「この近くのゴミ捨て場のゴミ袋の中に飛ばしました」


愛香が少し怖く見えた

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