第11話 熱い師弟関係‥なんてあるわけない

「師匠は数日前、俺がウラクフに襲われそうになっていたとき、助けてくれたじゃないですか」

ウラクフ、初任務のときに倒したあの狼の魔族か

でもこんな奴いなかったはずなんだが

「俺が襲われそうになって、もうダメかもと思っていると、師匠がやってきてウラクフが師匠のところに行ったから俺は逃げれたんです」

「そうなのか、俺は知らないんだが」

「まあ、師匠の戦いはずっと見ていましたが、師匠にお礼をしようとするとその時にはもう帰ってましたから」

それじゃあ知らんわ。

そういえばあのとき、ウラクフが最初俺に気づいていなかったが、あれはこいつを襲おうとしてたからなのか

「そうなのか、で、師匠とはどういうことなんだ?」

「師匠の戦いを見て、俺を強くしてくれると思いました、だから、師匠と呼んでいるんですよ」

「いや、俺許していないし何より知らないし」

「というか何で俺がここにいることを知っているんだ?」

「あの後、死体回収をしていたこの人から聞きましたから」

そう言って、コイツは石山さんを指差した


「どういうこと?」

「そういえば、あのとき聞かれたな、金くれるって言われたから話したんだ」 

「お前金で釣られるな、一応刑事だろ」

色々と駄目だこの人。

「一応ってヒドくない!?」

「いや、仕事中にFXやっていた人を刑事といえないだろ」

「てか、お前初対面のように今まで振る舞っていたよな」

「いや、忘れてたから」

「忘れるな」

石山さんのせいでここまで面倒くさいことになっていた、本当に刑事として職務を全うしてくれ


「とにかく、俺を正式に弟子にさせてください」

「俺は師匠のもとで強くなりたいんです」

「いや、弟子の育成とか全くやる気ないし、というか知らん人を弟子としたくない」

俺、間違ったこと言ってないよな?

「なら、ここで働かせてください」

「働きながら、師匠の強さの秘訣を学ぶので」

「いや、こういうヤバい人と一緒に働きたくないし‥」

「そうだ駄目だ。お前を雇うことはできない」

珍しく石山さんが強気に言った、これでコイツは帰ってくれるかな‥

「お願いします、異世界の武器は持っているし、俺は中学生です。ここに入る条件は揃ってますよ」

「でも駄目だ、ついこの前一人雇ったばかりなんだ。さらにもう一人雇うことはできない」


「お願いします、給料は安くていいので」

「給料が安くていいのか」

「はい、俺は強くなるために入るので、最低限の給料でやります」

あれ、何か流れが怪しくなってないか‥

「よし、お前を雇おう」

「本当ですか、ありがとうございます!」

どうして

「待て待て待て、お前さっきまで雇うの断っていただろ」

「何言ってる、人数が多いことに越したことはないだろ。人数が増えれば一人の負担も減るんだぞ」

「絶対給料安くていいから雇っただろ」

愛香とは違って変な人だ、大丈夫なのだろうか。

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