第4話 初任務から山と地獄行き

「ここが異世界対策少年課だ」

俺は今、警察署にいる。異世界対策少年課に入ることになったあと、すぐにパトカーで連れてこられた。

「俺しかいないんですね」

そう、この部屋には誰もいない。本当に警察署なのか疑いたくなるレベルだ。

「ああ、ここは代々続いているんだが、先日急に刑事が皆いなくなってしまってな」

「え、それって‥」

ここは警察、しかも普通の部署よりも危険な任務が多いだろう。

となると、前の人たちは皆強敵にやられて殉職してしまったんじゃ‥という悪い予感が頭をよぎった。

「ああ、お前も気づいてしとおり‥」

「高校生になって部活と両立できなくなったから皆やめてしまったんだ‥」

「え?」

塾辞める理由?

「こんな理由なら深刻そうに言うな!」

俺は流石に怒っていた。

「え、分かっていたんじゃないの?」

「いや分かるか」

この流れで理由がわかる奴がいたら俺はそいつをエスパーと呼ぶ

「まあそれはいいとして、今から魔族退治行ってきて」

いまからだと、俺はついさっきここに来たのだが‥

「今から!? 早くないですか」

「いや、習うより慣れろっていうし、習わせるの面倒くさい」

おい、建前が建前だとすぐわかるのだが

「本音聞こえたぞ」


まあそんなこんなで初任務に取り掛かることになった。

初任務の内容は、山の中でウラクフという魔族を退治することだ。

ウラクフは白い狼の魔族で、山に現れる人を喰っているらしい。

「ここがウラクフがいる山か‥」

パトカーに乗ってその山まで来た。

「じゃあ頑張れ」

「石山さんは来ないんですか?」

てっきり、石山さんと一緒に戦うものと思っていたのだが‥

「俺は武器使えないから」


山に入って30分ほど、目的の影を見つけた。

「アイツか‥」

幸いなことに、まだこちらに気づいていないようだ。

「バレる前に、一気に仕留めるか」

そうして、剣で斬りかかった。

その時だった。

足を捨てられていた鉄パイプにぶつけてしまい、大きな音が鳴った。

「やばい」

その時には遅く、ウラクフにバレてしまった。

ウラクフは俺に襲い掛かってきて、俺は必死に避けた。

剣で斬りかかろうとしたが、相手が速くて剣が当たらない。

「なら、これなら!」

俺は電気を放電させ、ウラクフを感電させた。

「やった、これで」

しかし、ウラクフは少し怯んだだけですぐに襲いかかってきた。


そう、ウラクフは電気耐性持ちの魔族だった。


「何でだ、何で電気やったのに倒れないんだ?」

「いや、そんなことを言っている場合じゃない」

「奴を倒す方法、何かないのか」

そうだ、鉄パイプ!‥


俺はさっきの鉄パイプを素早く拾い、それを持っていた10円玉ではさみ、10円玉に電気を溜めた。

すると、鉄パイプが超スピードで飛んでいった。

鉄パイプはウラクフの心臓を貫き、ウラクフは絶命した。

「よかった、レールガン成功して」

そう、さっきはレールガンの要領で鉄パイプを飛ばしたのだ。

軍好きの理科の先生が電気の授業で言っていたことを覚えていて良かったと思った。

その後、石山さんによってウラクフの死体は回収された。


「本当に死にそうだったんですけど」

「いいだろ、新しい技も使えるようになったし」

いや、この技かなり反動が強いので、あんまり使いたいと思わないのだが

「それに、こんなので死にそうになるとここではやってけんぞ」

「はい、そうでしたね」

ここは異世界対策少年課、魔族を退治するところだ

危険な任務があるのは当たり前、そのリスクがあってもアイツのために入ったんじゃないか

これぐらいでくじけちゃ駄目だ

「じゃ、明日も任務あるから」

「明日もですか!?」

任務は週一程度だと思っていたのだが

「異世界対策少年課に休みなんてないぞ、わかったら明日も働け」

前言撤回、流石にこれは無理だ

「少しぐらい休ませてください」

ここに馴染めるのは、まだまだ先になりそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る