第17話 プラン様は私の太陽です。
「プラン様。この度はフラワーエデンに来てくださりありがとうございます。私はカレストラ・エデンと申します。どうぞ、よろしくお願いします」
そう言って丁寧に挨拶をしてくださったのは、花の国フラワーエデンの第一王女カレストラ・エデン様だった。
黄金色の髪が、背中まで流れている。
それは美しく、光を伴っている綺麗な髪で、思わず見とれてしまうほどだ。
その黄金色の髪には、蒼色の花の髪飾りがつけられている。
桃色と白銀色のドレスを着たカレスティア様はすらりと細く、背筋が綺麗に伸びている。
そんな物静かそうな表情の彼女は、頬を赤く染めて、僕の方を見てくれている。
今いるここは、フラワーエデンの中にある城の部屋の中だ。
この城には、謁見の間などはないらしい。そもそも、来客を迎えることが皆無なので、必要ないとのことだった。
花が飾られている今いる部屋の大きさは、結構広い。そこにいるのは、僕、カレスストラ様、アリアさん、そしてメイドのリーネさんの四人だ。
「リーネ、ご苦労様でした。プラン様たちを迎えに行ってくれてありがとう」
「ありがたきお言葉。この使命を私に任せてくださったことを心より感謝致します」
綺麗に礼をするリーネさん。
カレストラ様はそれを優しい目で見守ると、今度は僕の方を見てくれた。
「プラン様。改めてお礼を言わせてください。先日は私たちを助けてくださり、本当にありがとうございました」
「い、いえ。ご無事でよかったです」
「はい。プラン様のおかげで助かることができました。お礼を言っても言い足りません。私にできることならなんでもさせていただきますので、どうぞ、好きにおっしゃられてください」
「どうするの、プランくん! お姫様がなんでもしてくれるんだって……! いっぱい抱きしめてもらえるよ!」
「あ、アリアさん……」
少し興奮した様子のアリアさんが、僕の背中をぐいぐいと押す。
アリアさんは城に入ってから、ずっとテンションが高くなっている。
花の国は憧れの国だ。そんな国のお姫様が目の前にいるのだから、それも当然とのことだった。
「そうだよ! だって、カレストラ様! 噂でしか聞いたことなかったけど、すごい! とっても美しい……!」
「ふふ、ありがとうございます、アリアさん。それとプラン様、おいでっ。是非、抱きしめさせてもらいたいです」
「……むぐっ」
そうして本当に抱きしめられる僕。
城に入ってすぐに抱きしめられたし、実は城に入ってからすでにもう何回もこんな風にカレストラ様には抱きしめられていた。
僕の背中に正面から両手をまわしてくれるカレストラ様が、まるで優しく包み込むように抱きしめてくれて。
僕はカレストラ様の胸に顔を埋めるみたいになっている。
カレストラ様は……とにかくすごい。
こうして彼女の胸に顔を埋めていると……ものすごく、柔らかいものに包まれる。
「でしょうね。カレストラ様は隠れ巨乳ですので」
「きょ、巨乳だって! どうしよう!? プランくん!」
リーネさんの言葉に、すぐに反応するアリアさん。
「ち、違います。今日はたまたま、大きくなっているだけです。……で、でも、プラン様が喜んでくださるのなら、私も頑張ってみようかなっ」
「「「……カレストラ様!?」」」
頬を赤く染めたカレストラ様が、優しい目をしてモジモジとしながら僕を見てくれていた。
そんなカレストラ様は甘い匂いがする……。
とにかく、甘くていい匂いだ……。
「プラン様、私のことはどうか、カレストラとお呼びください。歳も多分近いと思いますので。私は今年、18になります」
「で、では、カレストラさんで……」
「はいっ、そう呼んでいただけると嬉しいです」
カレストラさんは一層笑顔になると、また僕を強く抱きしめてくれた。
ものすごく優しく接してくれているのが、体全体で感じられた。
カレストラさんはもうずっとこんな感じで、とてもよくしてくれる。
「もちろんです。だってプラン様は私の太陽なんですもん!」
「た、太陽……?」
「はい。キングキャタピラーから救ってくださったこともそうですが、その後、プラン様のことを調べると、ますます、プラン様の魅力を知りました。一生懸命にいつも頑張って、優しくて、とても素敵な方なのですよね。眩しい方です」
「そ、そんな……」
……別に、僕はそこまで言ってもらえるほどじゃないと思う。
それは嫌という程、自分でも分かっている。
「ふふっ。自分でそう思えるプラン様は、やはり謙虚なお方ですよね」
「そうですね! プランくん、とっても頑張り屋でいい子だもん!」
「はい! 私、そんなプラン様のことが、大好きです!」
「「私も〜!」」
「く、苦しい……」
カレストラさん、リーネさん、アリアさんが三人で抱きしめてくれて、僕は甘くて柔らかいその彼女たちの温かさに、どっぷりと包まれるのだった。
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