第98話 あつくなっちゃった……。


「てお様……いいえ、ご主人さま……。もっと私を見て……っ」


 ソフィアさんが青い瞳を揺らしながら、そんなおねだりをしてくれた。


 俺たちはお互いの体を密着させて、抱き合う体勢になっている。

 ベッドに座っている俺に前から抱きつくように、ソフィアさんが俺の体を両腕で抱きしめてくれている。


 薄手の服越しにでも分かるソフィアさんの肌の熱っぽさ。

 ソフィアさんの肌は暖かかった。肌はつるつるとしていて、もっちりと吸い付いてくるかのようだ。


「ねえ、てお……。私の肌とソフィアちゃんの肌……どっちがいい?」


「て、テトラ……」


 後ろから俺を抱きしめているテトラが、俺の背中に体を密着させながらそんなことを聞いてきた。


「ておさま……私も知りたい……」


「そ、ソフィアさん……」


 むにゅむにゅと胸を俺に押しつけながら聞いてくるソフィアさん。


 豊かで、もっちりと吸い付いてくる胸だった。


「て〜〜お〜〜〜」


「……っ」


 ふにふにと負けじと後ろから胸を押し付けるテトラ。

 張りがあって、形もいい胸だ。最近では、少しずつ大きくなってきているテトラの胸だ。


 そのように、前からはソフィアさんの胸が、後ろからはテトラの胸が、俺の体を挟み撃ちにしている。


 そして、テトラはソフィアさんにこんなアドバイスをしていた。


「あのね、ソフィアちゃん。ておはね、胸に顔を埋めてバブバブするのが好きなんだよ?」


「まあっ」


「……っ」


 俺は口を引き結び、真っ直ぐに見つめてくるソフィアさんから顔を逸らそうとして……そして、遮られた。


「こう、ですか……?」


 むにゅっ、と。


「……っ」


 ソフィアさんが俺の頭を胸に抱くようにしていたのだ。


 そのせいで……埋もれている。俺の顔が、ソフィアさんの薄着越しの豊かな胸に。

 ふにふにと、ふにふにと、まるで包み込むような胸が、俺の顔いっぱいに密着している。


「ておさま……赤ちゃんみたいです……」


「てお……ちゃんとバブバブできて偉いね。ちゃんと、いい子いい子しようね……っ」


「「……っ」」


 よしよしと。

 二人で俺の頭を撫でるテトラとソフィアさん。

 俺はソフィアさんの柔らかい胸に顔を埋めたまま、されるがままになっている。


「でも、私の胸に顔を埋めるよりも、テトラさんの胸に顔を埋めた方がやっぱり好きですよね?」


「そんなことないと思うよ。だってソフィアちゃん、おっぱい、おっきいもん。アイリスさんみたいにおっきい」


「……アイリスさん?」


「テオの本命」


「まあっ」


 ここで、テトラがいつものように疑惑をかけてくる。


「ておくんはアイリスさんのことが好きだもんねー」


「ち、ちがーー」


「ねえ、ておさま……。アイリスさんというのは、どういう人なのですか?」


「うんとね、アイリスさんはね、金髪で包容力がある年上のお姉さんだよ?」


「年上……金髪……あっ。私も、ておさまの年上です。そして金髪です」


「「あ……っ」」


 ハッとする二人。


「「……似てるっ」」


「ち、ちがうちがう」


 俺は焦った。


「「もしかして、重ねてた……?」」


「か、重ねてない重ねてない」


 俺は首を振って、すぐに否定した。

 俺とテトラは15歳で、ソフィアさんは16歳。一応年上のお姉さんで、金髪だけど、違う。


 ソフィアさんとアイリスさんを重ねてはいない。


「ておさま……。重ねていいよ……? 本命のアイリスさんと重ねて……?」


 そしてソフィアさんの金色の髪が俺の首筋を撫でた。


 さらさらとした、甘い匂いのする髪だ。腰まで伸びているその髪は、まるで降り注ぐ星あかりのように綺麗だ。


 それで、毛先だけが、ほんのりと青みを帯びていた。


「この前、ておさまがスキルを使って私を生き返らせてくれたから、毛先の色が変わりました。テトラさまたちとお揃いです」


「私たちの髪の毛先も、色が違うもんね」


 テトラの髪も、毛先だけが色を変えている。

 だから、同じだ。


 俺はそんなソフィアさんの髪を撫でて、そっと彼女の形のいい耳にかけた。


 そして、


「ご主人さま……首にキス、して……? ……っ」


 首を少しだけ傾けたソフィアさんの首筋に口づけをした。白いその肌は、やっぱりもっちりと吸い付いてくるようだった。


 そして、耳たぶも唇で噛む。


「んっ」


 びくりとなるソフィアさん。

 そして、上目遣いしながら頬擦りをしてくれて、見つめ合いながらキスをしてくれた。


「ご主人さま、好き……っ」


 口づけの後、今度はソフィアさんが俺の首を噛んでいた。


 それを続けていると、テトラが安心したように微笑んだのが分かった。


「あとは二人で大丈夫、だね……っ」


 と、そう言って、立ち上がり、この場を去ろうとするテトラ。


 だけど……。


「テトラさん……待って」


「あっ」


 ソフィアさんが握っていた。テトラの手を。

 そして「行かないで」と言っていた。


「テトラさんも一緒にいてほしいです……」


「でも……もう二人で大丈夫だと思うの。私、お邪魔だし、今日の主役はテオとソフィアちゃんだよ? だから……」


「だからです……。テトラさんも、一緒にいてほしいです……。私、3人でがいいです……」


「……っ」


 テトラの頬が赤く染まり、こくりと喉を鳴らしていた。


 そして、俺の体を抱きしめていたソフィアさんが一旦立ち上がると、テトラと一緒に俺の前に立って、ベットのふちに座っている俺の両足に二人で跨っていた。


「「ん……っ、座る、ね……っ」」


 俺の右の足にソフィアさんが跨り。

 俺の左の足にテトラが跨る。


 柔らかい太ももで俺の足をきゅっと挟んで、二人は俺の両足に跨ったまま、俺の体に柔らかい胸をむにゅむにゅと押し付けて、二人で正面から抱きしめてくれた。


 そのように、すっぽりと俺の胸に収まる二人は、まるで雛鳥のようだった。


 そして……。


「「3人で……しよ?」」


「……っ」


 頬を赤く染めて、甘えた目をしてくれる二人。


 やっぱり雛鳥のように。


 ピヨピヨと、まるで幼い雛鳥が餌をおねだりするように唇を向けてくれて、その綺麗なピンク色の唇はしっとりと湿り気を帯びていた。


 だから俺は、二人の頭を撫でて、唇を向けた。


「「ん……っ」」


 そうやって、餌やりをするようにすると、二人は啄むようにそれを受け入れてくれた。


 そして、



「「あつくなっちゃった……っ」」


「……っ」



 はらり、と。

 二人が薄手の服をはだけた。


 それは色っぽく、まるで羽化をするかのように、二人の白い鎖骨が丸見えになっていた。

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