第83話 眷属の装備作り⑵
「とりあえず、ジブリールのもこれで完成だ」
「ご主人様、ありがとぉ!」
出来上がったアクセサリー付きの服を、ジブリールが大事そうに抱きしめてくれる。
ジブリールの髪は黄色っぽいから、アクセサリーの色はオレンジ色にした。形はメモリーネと同じやつで、ジブリールにも似合っていると思う。
「あと……そうだ。少し武器も見せてごらん」
「ブーメラン? バズーカ?」
「どっちがいいかな……」
「おすすめはバズーカです! でも、ブーメランもおすすめです!」
「だったら、ブーメランにしよう」
「どうぞ!」
両手で、差し出してくれるジブリール。
俺はその頭を撫でて、ジブリールからブーメランを受け取った。
刃渡り20センチほどのブーメラン。くの字をしており、握った感じは軽かった。
そして、この感触……。固いけど、鉱石ではない。魔物の素材とかで作られた武器とも違う。
これは……。
「魔力だったか」
「うん! 魔力が固まってできてると思うの!」
どこか魔石に近いけど、それとも少し違う。なんとも不思議な手触りだ。
「これも加工してみようか」
「「できるの!?」」
「うん、多分。魔石も、魔力が土や魔物の中で凝固して、結晶になったものだから、それを仮定すれば……いけるはず」
とりあえず、やってみよう。
俺はジブリールから受け取ったブーメランに、さっきアクセサリー作りの際に魔石を削って出た粉をまぶした。そして、自分の魔力をそこに流してみると、魔力が吸収されていくのが分かった。
そして……その時だった。
「あ、テオっ、腕輪が光ってるよ」
「スキルが使えるのかな。ジブリール」
「どうぞ!」
俺はジブリールが頷いたのを確認すると、スキルを使ってみることにした。
ブーメランを代償に、『降臨の腕輪』でスキルを発動させる。
・『降臨のククリナイフ』★★★
眷属の武器を代償に、降臨したナイフ。
攻撃力を倍増。使い心地も倍増。
所有者、ジブリール。
メテオノールの加護(極大)
「か、かっこいいぃ……!」
ジブリールの目が、キランキランと光り輝く。
色は琥珀色。ブーメランの形は維持されつつも、ナイフになっていた。
そのナイフをジブリールに渡すと、ジブリールは大事に胸に抱いて、夢中になったようにナイフを見ていた。
「ご主人様、ありがとぉ……!」
「ご主人様、メモも! メモも欲しい!」
「うん。じゃあ貸してごらん」
同じように、メモリーネのも。
・『月光のククリナイフ』★★★
眷属の武器を代償に、降臨したナイフ。
攻撃力を倍増。使い心地も倍増。
所有者、メモリーネ。
メテオノールの加護(極大)
「か、かっこいい……!」
月光色のナイフだった。
メモリーネの目がキランキランと輝いて、メモリーネとジブリール、二人はどっちも胸に武器を持ち、夢中になってそれを見ていた。
とりあえず、これで二人の武器と装備は整った。
「じゃあ、次はコーネリスのだ」
「わ、私は、別にいいんだけど……」
「ふふっ。コーネリスちゃん、照れてるっ」
コーネリスはどこか照れたように、赤い髪の先をいじっていた。
でも、コーネリスには何が似合うだろうか……と考えた時、パッと頭に思い浮かぶものがあって、すでに準備はできている。
それでも一応、
「コーネリスは、どういうのがいいかな」
「ど、どういうのって……どういうのがいいんだろう……」
「特にないのなら、リボンにしようか。赤いやつ」
「り、リボン!? だめだめ! 絶対、私に、似合わないもの!」
真っ赤な顔になったコーネリスが、首をブンブンと振っていて、似合わないと言っている。
でも、
「そんなことない」
「いいと思うよ! だって、コーネリスちゃん、可愛いもん!」
「かっ、可愛いなんて……だ、だめ! だめ! 絶対にだめ! だって、私、性格よくないし、可愛くないもん! ………………でも、本当に可愛いと思う?」
「「思う」」
「……っ。……じゃ、じゃあ、それがいいかも」
決まりだ。
俺はテトラと一緒に、真っ赤な顔でこくりと頷いたコーネリスを見守りながら、バッグから赤いリボンを取り出すことにした。
「実はもう作ってあるから、これを結んでみよう」
「も、もう、あるの!? あっ、待ってっ。心の準備がっ」
しおらしくなるコーネリス。
俺はそんなコーネリスの頭を撫でると、そっとその赤い髪にリボンを結ぶのだった。
・『紅輝光色のリボン』★★★★
攻撃力、防御力、速度を大幅に増幅させる。
最高品質の布に魔石の結晶が散りばめられており、光を浴びた際に淡い輝きを宿す。
魔法陣が刻まれていることで、作成者が所持している加護の恩恵も付与される。
信頼と期待の証。他の眷属からも、信頼されているものが持てば、その効力に上限はない。
所有者、コーネリス。
・メテオノールの加護(極大+)
「も、ものすごく凝ってある……。でも……可愛い。ご主人様……ありがと。……えへへっ」
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