第4話 ステータス確認 *
何としてでも早急にもっとおいしい物を食べられる環境を作らねば!
そのために必要なもの、それはやはり強さだ!
完全栄養食のあまりの不味さにテンションがおかしなことになっている俺。
だが気にしない!
というわけで、ステータス確認行ってみようか!
~~~~~
人族 LV1 名前 オオカミ ロンリ
職業 狩人
ステータス
HP:38/100
MP:100/100
SP:88/100
身体:80
頭脳:60
魔法:0
スキル:
「集中LV10」「弓の才能LV2」「索敵LV2」
保有ポイント:13
~~~~~
やばい、HPがめっちゃ減っていた。
もちろんこれはあまりの不味さから受けた精神的ダメージが反映されたものではない……ないよね?
ゴブリンとの初戦闘。
ゴブリンから受けた攻撃は背中にもらった一発だけ。
それで俺のHPが半分以上削られている。
つまり、ゴブリンの攻撃をもう一度受けていたら俺は死んでいたということだ。
ゴブリンが強いのか、俺が弱いのか……ゴブリンが強いとは思えないしおそらく後者だろう。
木の棒で叩かれただけで瀕死とか、俺、弱すぎるだろ。
今回勝てたのは運が良かっただけだ。
このまま戦闘を続けていたら命がいくつあっても足りない。
なんとか身を守れるだけの力を手に入れなければ。
そういえば、HPがこれだけ減っているのに体は平常時と同じように動けているな。
もちろん痛みはあるが、それにより行動が阻害されている感じは少ない。
ゲームみたいにHPが0になるまでは、ある程度動けるのだろうか。
……うん。これは検証をしたくないな。
そうしてステータス表示を見ているうちにHPが1回復した。
どうやらHPもSP同様時間経過で回復してくれるらしい。
というか、身体と頭脳の数値が下がってる!?
特に頭脳! 60って、半分近くにまで落ち込んでいる。
俺、いつの間に馬鹿になったの!?
と冗談はさておき、おそらくこれは戦闘による疲労の影響だろうな。
思うに通常時を100としてどれぐらいパフォーマンスが下がっているかを表しているのではないだろうか。
さっきHPが減っても身体能力に変化は無いのではないかと仮説を立てたばかりだが、身体が80、頭脳が60に下がっていることからやはりダメージの影響はあるようだ。
そして、スキルのレベルアップだ!
俺自身のレベルは上がらなかったが、『弓の才能』と『索敵』のスキルレベルが上がっている。
ゴブリンを倒した影響か、はたまたスキルを使い込んだことにより熟練度が上がったのか。
これは今後ちょくちょくステータス画面を開いてスキルのレベルアップ条件は検証が必要だな。
最後に問題の保有ポイントだ。
現在が13ポイントで異世界に来た時は14ポイント。飲料水と完全栄養食をそれぞれ1ポイントで交換したから、ゴブリンを倒して得られたのは、1ポイント。
つまりおにぎりを交換しようとしたらゴブリン三匹分のポイントが必要だということだ。
……うん。おいしい食事への道のりは長そうだ。
ここは森の中だ。
食べられる野草もあるだろうが、毒があるかの判別ができない。
スキル『鑑定』があれば食べられるかどうかの見分けがつくのかもしれないが、取得に掛かるポイントは30。
『鑑定』は一般スキルに含まれるためだいぶお高くなっている。
スキル取得画面は保有するポイントで交換できるスキルのみが表示されるため、鑑定は表示すらされていない。
うん。ポイントがたまったら最優先で取りたいスキルの一つだな。
もう完全栄養食はごめんだ。
ふう。ステータス確認はこんなところか。
こうしてステータスを見ながら休息をとっていたが、痛みはなかなか引かず、体も重い。
正直このまま横になって休みたいぐらいだが、このまま寝てしまえばモンスターたちの恰好の餌食となってしまう。
どこか拠点とできるところを探さないと安心して休憩もできない。
洞窟みたいなところがあれば一番だが、高望みしすぎだろうか。
せめて身を隠せるだけの空間が欲しい。
俺は重い腰を上げる。
戦闘の疲労は抜けないが、じっとしているわけにはいかない。
俺は気合を入れると雨風をしのげる拠点を求めて歩き出した。
*
???視点
とある森の中、そこにゴブリンの集落があった。
ゴブリンは仲間意識の強いモンスターで集落を作り集団で行動する。
その集落の中央に生える一本の巨大な木の洞の中には5体のゴブリンが集まっていた。
集まるゴブリン達の体は通常の個体よりも大きく、手に持った武器も森の中では手に入らないであろう鉄製。
当然彼らの強さは一般のゴブリンとは一線を画す。
そしてそのゴブリン達の中心にいるのは人間が着るようなローブを身に着け、先端に宝石のはまった上等な杖を持つゴブリンだ。
この集落の長、ゴブリンメイジである。
本来ゴブリンは魔法に適正を持たない。
この世界では言語を操る全ての生物が魔法を発動させることができるのだが、ゴブリンは魔法を発動させるのに消費するMPの保有量が非常に低く、最下級の魔法ですら発動させるのに足りないからだ。
そのゴブリンが進化を繰り返し、魔法を扱えるだけのMPを獲得したのがゴブリンメイジだ。
その強さは進化前のゴブリン100体が相手でも勝利するほど。
ゴブリンメイジは、肉体を高めたゴブリンキングと対をなすゴブリンの到達点である。
ゴブリンメイジは暗い顔を浮かべている。
彼は『索敵』のスキルを応用し、集落のゴブリン達の行動を常に把握していたのだが、今日一日の内に仲間のゴブリンの反応が4つも減っていたのだ。
モンスター達は違う種族同士では敵対する。
消えたゴブリンたちがモンスターに倒されたということも考えられるが、そんな反応があれば索敵で気づくだろう。
つまり、考えられるのは索敵スキルで存在を察知できない人間にやられたということだ。
「
怒りの形相でゴブリンメイジが憤る。
その熱は周囲のゴブリンたちに伝播していく。
「
「
「
血気盛んなゴブリンファイターが声を上げると周りのゴブリンたちもそれに賛同する。
「
一同を眺めたゴブリンメイジは『統率』のスキルを発動させる。
ゴブリンメイジの怒りの感情が集落の全てのゴブリンへと伝播する。
100体を超えるゴブリンが敵対者を殲滅すべく動き出す。
目指すは同胞を殺した愚かな人間どもの下。
森の中をゴブリンたちの殺気立った足音が行く。
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