第4話 コリドラス探偵、ついに役に立つ?


皆様、私はコリドラスでありながら探偵である事を忘れないでいただきたいです。

そう、私は探偵なんですよ!さて、事件を解決いたします!

事件の事をおさらいしてみましょう、私が移動中、エビさんの死骸を見つけたのが始まりでした。

その姿は、なんとも無残に頭が無い状態でした。

私はその頭部がどこに行ってしまったのか、調査に至った訳ですが…。

皆様は、なぜ頭部が無くなったのか、お判りですか?

実は…私はまだその真相にたどり着いておりません。

探偵失格でしょうか?

私は、何も成果を果たせないまま、この探偵業を終えなくてはいけないのでしょうか…。

そんなことって、あってはいけないと思います!

せっかく私は探偵になったのですから、もう少し事件に対して、調べてみようと思います!

さぁ!今回は華麗に事件の真相を暴いて、ミナミヌマエビさん達から、探偵さんすごい!と言われるようにしてみせますよ!




皆さん、私はとある事に気がつきました。

事件発覚から数日、あるいは四、五日。

そこまで日にちは立っていないはずですが、死骸が消えてしまいました。

新たな事件でしょうか、その死骸は頭部が無くなっただけではなく、体まで消えてしまいました!

今回の事件が、新たな展開に発展してしまいました!

「よう!探偵さん、どうした?そんな所でボケっとして」

「…その声は、ヌマさん」

ミナミヌマエビの通称「ヌマさん」は、私のライバル的な存在ですが、唯一、私の話を真面目に聞いてくれる方です。

ヌマさんは、私の横でソイルを“つまつま”し始めました。

ミナミヌマエビさんは、結構ソイルを“つまつま”するのが好きみたいです。

「つまつま」とは、私が勝手にその行動に対してそう言っているだけです。

正式な行動に対しての名称は分かりません。

お掃除屋さんを営む事が多いと、この間、ヌマさんが言っていました。

ミナミヌマエビさん達には、きっとその行動にも名称や理由があるのだと思います。

「あんさん、この辺にあった死骸の事を調べてるんだったか?」

「そうです」

「まぁ、あんさんには、あまりとやかく言わねぇようにと思うんだが、わしらミナミヌマエビって、水槽の掃除屋さんとして生きる者が多いって説明したよな」

「えぇ、頭部が無い死骸があった翌日に、そう聞きました」

「それでな、わしらミナミヌマエビってのは、こうしてソイルの所に餌が無いか探してるんだよ、今、わしがこうしているように、これはミナミヌマエビにとって普通の事なんだ」

「餌を探していたんですね」

「あぁ、それでな、まぁ色々と残酷な話になるんだが、その、ミナミヌマエビの死骸なんだが、仲間の誰かが食った可能性もあるんだ」

「なんと!」

「あぁ、だから、その、無くなったっていう頭部も、何かあってどっか行っちまって、体だけそこにあっただけだと思うんだが、その、あんさんが事件、事件って騒ぐもんだから、つい言いそびれちまった、すまねぇな」

「…事件では、なかったのですね」

「いやぁ、真面目に事件に取り組んで、真相解明しようとしてたのに申し訳ねぇ」

「事件ではなかったのなら良かったです…」

「まぁ、これからも、何か不思議な事があったら教えてくれよ、探偵さんの力になりてーからさ」

「はい、よろしくお願いします」

「じゃあ、またな」

「さようなら」

私がそう言うと、ヌマさんはピョンと飛び上がり、泳いで行ってしまいました。

ふぅ、だいぶ難事件なのかと思いました。

私は、ミナミヌマエビさんの事を知らな過ぎたようです。

そうですか、私が「つまつま」と呼んでいた行為は、餌を探している最中だったのですね、勉強になりました。

そして、今回の事は事件では無かったようです。

探偵業失格ではなく、良かったです。

私はこれからも、コリドラス探偵として生きていきます!


              第4話 終わり

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