第3話

  〜2年前 秋


昼休み、僕は同じクラスの大地、キコと一緒に購買に行き、ラスクをひとつ買って彼らと教室に戻った。

「キコは弁当プラス、メロンパンとカツサンド」

大地は自分も焼きそばパンを頬張りながら言った。

「お腹減るからね、卓球部は身体が資本だよ」

「いや身体が資本なのは卓球部だけじゃないだろ。あれ、秀一はどこ行ったんだろ?」

僕は秀一に借りていたCDを返さなきゃと思い出した。

「多分あいつのことだから図書室だよ」


大地の勘はだいたい当たる。僕がCDを持ってひとりで図書室へ行くと、彼は机で本を読んでいた。

「あ、忘れてたよ。ありがとう」

そう言って彼はまた読書に戻った。

僕は秀一の読んでいる本の表紙を覗き込んだ。


科学の法則と原理

    

ノイマンのゲーム理論 ピタゴラスの原理…。


「ゲーム理論のとこ読んだか?」

僕はそこだけ気になって訊いた。

「パソコンのプログラムの根本になってるらしいよ」

「へえ」

僕は自分も本を探そうと席を立った。

 そういえばスタンドバイミーって映画あったけど原作が読みたいな。

洋書の棚へ行き、スタンドバイミーを手に取ろうとすると同じ本を手に取ろうとする手と手がぶつかりそうになった。

隣見た瞬間僕は雷に打たれた。


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