第7話 レモンの部屋

 二人は螺旋階段を下り、東の塔にあるレモンの部屋に向かった。レモンがバラの花が彫られた木の扉を開け、アスパラに声をかける。

「私の部屋に人が入るのは、お前が初めてだ」

 アスパラはドキドキした。

 憧れの先輩の部屋に招待されたドキドキと、秘密をのぞき見するようなドキドキ。   

 アスパラは、恐る恐る足を踏み入れる。そこには、不思議な魔法アイテムが数多く置かれていた。玄関横の棚の上には、パワーストーンで作られた魔法陣結界。部屋の窓に吊るされた、7つのサンキャッチャー。太陽光が、虹色の光を部屋中に拡散している。白いチェストの上に並べられた天使の置物。天蓋付きベッド。たくさんの観葉植物。小さな丸いテーブルの上では、真っ赤な一輪のバラが光に包まれて良い香りを放っていた。

 まさしくここは、プリンセスルーム!

 華やかさと美しさが同居した部屋に慣れていないアスパラは、一瞬めまいを起こした。

「ん? アスパラどうかしたか?」

「あっ、大丈夫です」

「そうか。まぁ、見ての通り、私の部屋には強力な結界がある。ここでの会話は、誰も受信できない。この学園の先生たちもな。ここなら安心して、敵の動向が探れるはずだ」

「——そのようですね。レモン様、みんなの生命力を表す第一チャクラと第二チャクラの数値が低下しています。早急に手を打たなくては……」

「あぁ。しかし、城の結界状況を確認してみたが、やはりどこにも破れはない。まぁ、夢操作なら結界の外側からでも術はかけられるが、その為には受信アイテムが城の中に仕掛けられているはずなんだ」

「受信アイテムですか?」

「おそらく、城の中にあっても違和感がなく邪気も発していない何か……」

「邪気のない受信アイテムなんて、どうやって探せば――」

「うーん。みんなが変な夢を見るようになったのは、一昨日の夜からだ。一昨日は、食料や備品の配達日。その荷物の中に紛れ込んでいたとしたら……。よし、荷物管理人のゴブリンの所に行ってみよう」

 

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